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[13]貧困農民支援
1.事業の開始時期・経緯・目的
開始時期
 1977年度より、食糧増産援助としての特別の予算措置を講じて、農業資機材の供与を開始。
経緯・目的
 日本は、開発途上国の食糧問題は、基本的には開発途上国自らの食糧自給のための自助努力により解決されることが重要との観点から、1977年度以前は、食糧援助による供与品目の1つとして農業資機材を供与していたが、1977年度からは食糧増産援助として新たな枠組みを設け、農業資機材の供与を行っている。
 2002年7月の外務省「変える会」の最終報告書を受けて、見直しのための調査団を派遣し検討した結果、同年12月、農薬については、適正使用及び環境配慮の観点から原則として供与しない等の抜本的な見直しを行った。
 日本は、今後とも世界における食糧不足や飢餓の軽減に積極的な貢献を目指すとの考えから、これまでの関係者との意見交換を踏まえ、2005年度より、食糧増産援助を「貧困農民支援」に名称変更し、裨益対象を貧困農民、小農とすることを一層明確化し、その上で、食糧生産の向上に向けた自助努力への支援を目指していくこととした。
 今後も引き続き、国際機関との協議や実施状況のモニタリングとの強化等を通じて、2KRのあり方につき適宜見直しを行うこととしている。
 (2KRとは食糧援助の略称のKRに準じた呼称であり、日本独自の用語)

2.事業の仕組み
概 要
 被援助国による要請に基づき、当該国の食糧事情、経済社会情勢、外貨事情、日本との関係、援助受入体制等を総合的に勘案し、被援助国が農業機械(耕耘機、トラクター、脱穀機、小型農機具等)、肥料などの農業資機材、役務等を調達するための資金を供与している。
 また、援助の効果をより高めるため、日本は調達品目(種子、農具)の拡充、政府間協議会の導入等の制度改善を行ってきている。
審査・決定プロセス
 日本の在外公館を通じ被援助国から援助要請がなされた後、外務省において、現地調査を踏まえつつ要請資機材、数量、調達国、受入体制、援助効果等につき審査し、実施の可否等につき政府部内で検討した後、日本政府としての決定を行う。
決定後の案件実施の仕組み
 日本政府として実施を決定した後、被援助国政府との間で、供与限度額、資機材の品目及び調達国等を定めた資金供与に関する交換公文の署名を行う。交換公文署名後は、調達代理機関が被援助国政府に代わって行う資機材調達のための競争入札により落札業者が決定され、調達代理機関は落札業者との間で調達に係る契約書を締結する。交換公文の署名以後は、JICAが援助の実施促進のための支援業務を行う。
 なお、被援助国政府は、日本が援助資金(外貨)を供与する際に、援助資金で調達した資機材の本船渡し価格(FOB)の一定額を内貨立てで銀行口座に積み立てることとしている(見返り資金)。被援助国政府は、在外公館を通じて日本と使途につき協議の上、見返り資金を貧困農民が裨益する経済・社会開発に資する事業や物資の調達等に使用することができる。

3.最近の活動内容
概 要
 2005年度は、二国間援助として15か国の開発途上国に対し46億6,700万円(予算ベース、以下同じ)、国際機関経由として被災民等への援助として3億1,200万円、総額49億7,900万円の貧困農民支援を実施。
地域別実績
 2005年度の貧困農民支援の対象地域別の内訳は、アジア2か国(7億1,000万円)、アフリカ9か国(24億1,900万円)、中南米4か国(14億2,000万円)及び東欧・中央アジア2か国(3億3,000万円)、中東1か国(1億円)となっている。


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