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囲み II-3 バーチャル・ウォーター(仮想水)ではかる日本の海外食料依存度

 日本は多量の農畜産物や工業製品を輸入しており、仮にそれらをすべて国内で生産したとすると大量の水が必要となります。このように輸入食料等を国内で生産する場合に必要となる水は、仮想水(バーチャル・ウォーター)と呼ばれます。つまり、食料等の輸入は仮想水を輸入しているようなもので、結果として自国の水資源を大量に節約していることになるのです。
 東京大学生産技術研究所の沖大幹助教授等のグループが試算した結果によると、白米1kgを生産するのに3,600Lの水が必要となり、小麦では2,000L、鶏肉では4,500L、牛肉では20,000Lの水が必要とされています。例えば、牛丼1杯に必要な仮想水を計算すると、1,890Lになります。これらをまとめて、日本が輸入している仮想水量を示したのが下の図で、総輸入量は年間640億m3となっています。日本の年間水使用量は839億m3(2003年)(注)ですから、その約3/4に当たる仮想水を輸入していることになります。
 日本は、このように海外の水資源に大きく依存していることもあり、開発途上国の飲料水や農業用水等の水供給にも積極的な支援をしています。水と衛生分野の二国間援助額は、2000年から2004年の5年間で、DAC諸国による拠出額全体の41%に当たる46億ドルにのぼります。また、1980年代以降に実施した上水道整備に関する円借款案件では、世界各地で1億人以上の人々が安全な飲料水にアクセスできるようになるなど、日本は開発途上国の水問題の改善に向けた援助を行っています。

図

出典:沖大幹助教授ホームページ
   (http://hydro.iis.u-tokyo.ac.jp/Info/Press200207/Img2003-01/vw2003-0130_08.jpg

(注)出典:「平成18年版 日本の水資源」、国土交通省土地・水資源局水資源部、2006年8月


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