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[13]国連大学(UNU:United Nations University)
1.設立及び日本の協力開始の時期
開始時期
1972年第27回国連総会決議に基づき、1975年、東京に国連大学暫定本部が設置された。日本の協力は1972年以来行われている。
経緯・目的
●1969年、ウ・タント国連事務総長(当時)が、国連総会で国際的な大学院大学としての国連大学創設を提唱。
●当時日本に本部を置く国連機関がなかったこともあり、日本国内で同大学の設立・誘致の機運が高まり、1970年4月にウ・タント国連事務総長が訪日した際、佐藤栄作総理(当時)は国連大学創設構想実現への協力を日本政府として約束した。
●1972年、第27回国連総会で国連大学設立決議を採択。ただし、英国、米国等主要国が伝統的な意味での「大学」とすることに反対したため、「学者・研究者の国際的共同体」として設立されることとなった。
●1973年第28回国連総会は「国連大学憲章」を採択。国連大学本部を東京首都圏内に設置することが決定した。
●1975年、東邦生命ビル(東京)内に国連大学暫定本部を開設し、本格的な活動を開始。
●1992年、東京・青山に新本部ビル完成。土地は東京都が無償提供、建物の建設経費は日本(旧文部省)が負担した。
2.事業の仕組み
概 要
国連大学は、その構成機関である大学本部(東京)及び研究・研修センター・プログラム(世界13か国)が世界各国の大学等と連携・協力関係を結び、それらをつなぐネットワークを通じ、人類の存続、発展及び福祉等に係る地球規模の諸問題についての研究、人材育成及び知識の普及を行うことを目的としている。その活動資金は各国政府、国際機関及びその他非政府財源からの任意拠出金によってまかなわれており、2004-2005年(一会計年度は暦年2年間)の予算は8,134万2,000ドルである。
審査・決定プロセス
国連大学の最高意思決定機関である理事会が、国連大学の活動及び運営をつかさどる原則及び方針を定め、また、国連大学の事業プログラムを審議、承認し、また予算を決定する(年1回開催)。理事会は、個人の資格で任命される理事24名、職務上の理事3名及び学長で構成される。
決定後の案件実施の仕組み
国連大学は本部(東京)もしくは研究・研修センター及び研究・研修プログラム(世界13か国)を通じ、または世界各国の大学・研究機関とのネットワークを通じて事業を実施する。事業実施後、学長は事業報告を理事会に提出しその審議を受ける。
3.最近の活動内容
概 要
国連大学は2002年の理事会で採択された2006年までの活動目標を設定する「戦略計画2002」に基づき、国連システム全体、世界の学界及び日本を中心とした国連大学ホスト国とのパートナーシップの発展に寄与することを最優先課題として活動している。
主要な事業
(1) 研究活動
国連大学は「平和とガバナンス」「環境と持続可能な開発」の2つの領域で研究活動を行っている。2004年から2005年の主な活動テーマは以下のとおり。
●国連と国際秩序
●紛争と安全保障
●人権と倫理
●政策と制度的枠組み
●自然資源管理
●水資源の危機
●地球環境ガバナンス
●持続可能な都市と産業の発展
(2) 研修活動
国連大学では主に開発途上国の人材育成を目的として研修事業を実施している。
●研究者個人や研究機関全体の能力向上を支援する「大学院レベルの学者・専門家のための長期研修コース」(テーマ:遠隔探査技術、中央アジアの平和と環境等)
●若い研究者、特に開発途上国出身者の研究レベルの向上を支援する「修士・博士課程や博士修了者向けプログラム」(テーマ:開発経済、都市と地域の発展等)
●国際機関の職員、または外交官を目指す人たちのための「国際講座」(テーマ:国際協力と開発、環境と持続可能な開発等)
●大学生、大学院生(留学生を含む)、若い社会人のためのグローバルセミナー(テーマ:地球社会の安全と共生、文化の多様性をどう生きるか等)
4.日本との関係
意思決定機構における日本の位置づけ
国連大学の理事会は、個人の資格で任命される24名の理事、職務上の理事3名及び学長から構成される。日本は設立以来連続して邦人理事を送り込んでいるが、現在は寺田輝介フォーリンプレスセンター理事長が理事に就任している。
邦人職員
邦人の正規職員数は2005年1月現在で29名。
日本の財政負担
日本は国連大学への最大の拠出国であり、2004年は外務省から366万6,000ドル、文部科学省から2億2,381万2,000円(下記「国連大学研究・研修センター学術協力信託基金」への拠出を含む)を拠出している。2004年の拠出額の第2位はドイツ、第3位はオランダである。
各国の国連大学に対する拠出額及び拠出率

主な使途を明示した特定信託基金への拠出、活用状況
日本からは「国連大学研究・研修センター学術協力信託基金」として国連大学高等研究所に対して拠出しており、2004年度は「都市のエコ・システム」「持続可能な開発のガバナンス」「バイオ・ディプロマシー・イニシアティブ」のプログラム等に対し計1億4,500万円を拠出している。
5.より詳細な情報
書籍等
●United Nations University Annual Report
当該年度の新規事業に重点をおいた報告書。毎年春に発行。国連大学広報部で入手可能。
●国連大学年次報告 上記の日本語版
ホームページ
http://www.unu.edu/