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[9]食糧援助(KR)
1.事業の開始時期・経緯・目的
開始時期
 1968年度より開始。
経緯・目的
 1964年に開始された関税引下げに関する多国間交渉(ケネディ・ラウンド交渉)の結果、穀物による食糧援助に関する国際的な枠組みを定めるため、1967年に「1967年の国際穀物協定」の構成文書の1つとして「1967年の食糧援助規約」が作成され、その後、累次更新を経て、現在の「1999年の食糧援助規約」に引き継がれている。同規約は、食糧不足に直面する途上国に対し、加盟国が国際協調の下、援助として拠出する穀物の量等を規定している(日本の年間最小拠出量は小麦換算で30万トン)。日本は、途上国の食糧不足の問題を緩和させるため、1968年度より一貫して食糧援助規約に基づき食糧援助を実施している。
 (ちなみに、KRとはケネディ・ラウンドの略であるが、上記経緯に鑑み、日本独自の食糧援助の略称となっている。)

2.事業の仕組み
概 要
 食糧不足に直面している途上国からの援助要請を受け、当該国の食糧不足状況、経済社会情勢、外貨事情、日本との関係、援助受入体制等を総合的に勘案し、被援助国が小麦、米、メイズ等の穀物を購入するための資金を供与する方式により食糧援助を実施している。また、自然災害や紛争により発生した難民や国内被災民の食糧不足に対処するため、食糧不足状況等を踏まえつつ、WFP等の国際機関経由により難民等に対する食糧援助を実施している。
 なお、1996年度以降、日本政府米の需給状況の緩和に鑑み政府米を食糧援助に活用している。
審査・決定プロセス
 日本の在外公館を通じ被援助国から援助要請がなされた後、外務省において、穀物の種類、数量、調達先、受入体制、援助効果等につき審査し、実施の可否等について政府部内で検討した後、日本政府としての決定を行う。
決定後の案件実施の仕組み
 日本政府として実施を決定した後、被援助国政府との間で、供与限度額、穀物の種類及び調達先等を定めた資金供与に関する交換公文の署名を行う。交換公文署名後は、被援助国政府が行う穀物調達のため日本企業による一般競争入札により落札業者が決定され、被援助国政府は落札業者との間で調達に係る契約書を締結する(契約締結後に、外務省は契約書の認証を行う)。交換公文の署名以後は、JICAが援助の実施促進のための支援業務を行う。
 なお、被援助国政府は、日本が援助資金(外貨)を供与する際に、援助資金で調達した穀物の本船渡し価格(FOB)の一定額を内貨立てで銀行口座に積み立てることとしている(見返り資金)。被援助国政府は、在外公館を通じて日本と使途につき協議の上、見返り資金を経済・社会開発に資する事業や物資の調達等に使用することができる。

3.最近の活動内容
概 要
 2003年度の実績は、二国間援助として20か国の途上国に対し47億円(予算ベース、以下同じ)、国際機関経由の難民・国内被災民等への援助として60億6,400万円、総額107億6,400万円となる。日本の援助により被援助国等が購入する穀物の種類は米、小麦、小麦粉、メイズ等となっている。
地域別実績
 2003年度の食糧援助のうち、最大の対象地域は食糧不足が深刻な問題となっているアフリカであり、具体的には、17か国に対する二国間援助及びケニア、ウガンダ、スーダン、コンゴ(共)、大湖地域等への難民・国内被災民等に対する国際機関経由の援助で合計60億5,400万円となっている。アフリカに次いで大きな対象地域はアジアであり、3か国に対する二国間援助並びにカンボジア、バングラデシュ、ラオス及びスリランカの国内被災民等に対する国際機関経由の援助で合計22億1,000万円となっている。その他、イラク被災民、パレスチナ難民、タジキスタン被災民、グルジア被災民、ハイチ被災民及び中央アメリカ被災民に対する国際機関経由の援助(25億円)を供与した。


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