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7 オランダ

(1)援助政策等
 オランダは貧困削減を援助政策の主要目的としている。オランダでは、MDGsを自国の援助政策のガイドラインと位置付け、2015年までの極度の貧困の半減、初等教育への子女の参加確保の目標を特に重視している。
 内閣においては、これまで外務大臣とは別個に無任所の開発担当大臣が任命されてきた。ODAの規模はGDP比0.8%が政策目標として設定されており、2003年5月の現内閣連立合意でもこの目標は維持された。また、援助政策と貿易施策(具体的には被援助国産品の欧州市場へのアクセス強化)との間の一貫性が重視されている。
 また、援助実施の重点項目として以下を掲げている。
 [1]政策の統合性:援助政策と他の外交政策の関連づけ強化。この関連でオランダ政府は安全保障政策と開発協力との無益な区分を取り去り、緊急な紛争が発生する地域に迅速・柔軟な支援を行うことを可能とする「安定基金」を創設し、この基金は2004年1月から実行に移される。
 [2]地域アプローチ:紛争予防・平和構築における地域毎アプローチと同様に、国毎ではなく地域別の援助政策により効果を高める。
 [3]アフリカ重視外交政策一般におけるアフリカ重視と同一歩調。西側的価値(人権、良い統治)の押しつけではなく、NEPADに見られるようなアフリカ諸国の自助努力を重視。オランダの経済協力の約50%がアフリカに向けられている。
 [4]民間部門の重要性:援助国及び被援助国の市民社会、企業が果たす役割を重視。雇用の確保、産業及び投資の促進が貧困削減に果たす効果に注目。
 [5]一貫性:不適当な貿易政策・農業政策によって援助政策の効果が減殺されることを懸念し、オランダ及び欧州連合、国際機関において援助政策と貿易政策との一貫性が保持されることを確保。
 現政権の下、2003年夏に作成された「構造的な二国間援助政策」に基づき、社会・経済政策、統治、貧困レベルの3つの基準に基づき選定された国及び環境、人権、良い統治、平和構築といったテーマ別の援助を行う国の36か国(パートナーシップ・リスト)、並びに民間部門に焦点を当てた援助を行う国の31か国(民間部門リスト)を対象に二国間援助が実施されている。
 オランダの経済協力実績は、2002年には33億3,800万ドル(DAC統計ベース)で、対前年比5.2%であった(2003年の暫定値は、33億7,700万ドル)。2002年は金額面で世界第6位の援助国となっている。ODAの対GDI比では0.81%規模であり、OECD諸国内ではMDGsで設定された0.7%の目標を達成する数少ない国の1つである。さらにNGOによる援助活動も活発であり、経済協力予算の役10%はNGOを通じて実施されている。地域別では、サハラ以南のアフリカが約50%を占め、最大の援助対象地域である。

(2)援助実施体制
 外務省で開発援助に携わる職員の数は約1,050人(2003年。在外公館に勤務する職員を含む)であり、同省には外務大臣に加えて、援助政策専任の開発協力大臣ポストが設置されている。
 援助政策の基本的枠組みは外務省が決定し、その他、他省との協力を要すべき主要な政策は閣議によって決定される。閣議の準備会合として、事務方レベルの「国際協力問題関係各省連絡会議」(議長は外務省国際協力総局長)及び大臣レベルの「関係大臣会合」(議長は開発協力大臣)が開催される。両会合における各省の権限は等しく、仮に各省間の意見の相違が右会合で調整されない時は、大臣レベルで決着がつくまで調整が行われ、閣議にて最終的解決がなされる。参考として、ODA予算の約9割が外務・財務の両省に計上され、残り1割が経済省を含む他省庁に分散計上されている。
 外務省は援助政策の実施に関し主要な責任を有し、援助実施は3つの主要な形態、つまり、二国間援助(大体が政府間のセクター別援助)、多数国間援助(国連等の国際機関)、民間機関(NGO)を通じて行われる。
 経済援助実施上の手続代行機関として、オランダ開発途上国投資銀行(NIO:オランダ国立投資銀行(NIB)の100%出資機関)があり、二国間援助すなわち贈与の支出を政府に代行して行っている。

(1)ODA上位10か国


(2)地域別割合の推移(外務省分類)


(3)分野別割合の推移



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