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資料編 > 第3章 > 第3節 > 2.主な国際機関の概要と実績 > [20]アジア開発銀行(ADB:Asian Development Bank)及びアジア開発基金(ADF:Asian Development Fund)


[20]アジア開発銀行(ADB:Asian Development Bank)及びアジア開発基金(ADF:Asian Development Fund)

1.設立及び我が国の協力開始の時期・経緯・目的
開始時期
63年に開催された第1回アジア経済協力閣僚会議において、ADBの設立が決議され、66年に正式に発足。我が国は設立準備段階より参画しており、原加盟国である。
経緯・目的
ADBは、ESCAP(国連アジア太平洋経済社会委員会、旧称ECAFE)の発案により、アジア・太平洋地域における経済成長及び経済協力を助長し、開発途上国の経済開発に貢献することを目的として設立された(本部マニラ)。2001年末現在で59の国及び地域が加盟しており、日本を含む域内加盟国は43か国、域外加盟国数(アメリカ、ヨーロッパ)は16か国となっている。歴代総裁は全て日本人であり、現在の総裁(第7代目)は千野忠男氏である。

2.事業の仕組み
概 要
ADBの主な機能は、[1]開発途上加盟国に対する資金の貸付・株式投資、[2]開発プロジェクト・開発プログラムの準備・執行のための技術支援及び助言業務、[3]開発目的のための公的・民間支援の促進、[4]開発途上加盟国の開発政策調整支援等、である。
ADBの財源には、比較的所得の高い開発途上加盟国への融資業務に使用される「通常資本財源(OCR)」と、低所得国向けに緩和された条件で融資業務に使用される「アジア開発基金(ADF)」がある。また、加盟国からの拠出金とOCR及びADFからの配分金からなる「技術援助特別基金」があり、技術援助に用いられている。2001年末現在、OCR(応募済資本ベース)は436億ドル、ADFは200億ドルとなっている。
審査・決定プロセス
ADBが融資借入国との協議の上、プロジェクト・プログラムを策定し、理事会において審査、決定がなされる。
決定後の案件実施の仕組み
ADBが事業を実施している。

3.最近の活動内容
概 要
ADBの業務活動は域内諸国の持続可能な開発に貢献するという役割の中で、中期業務戦略(92年~)に定められた戦略的開発目的である、経済成長、貧困の緩和、人的開発の支援、女性の地位向上及び環境保全の5項目を主眼としていた。その後、99年11月には貧困層重視の持続的経済成長、社会開発、グッド・ガバナンスを三本柱とする貧困削減戦略を策定し、貧困削減をADBの最重要目標としている。2000年の融資承認額は、OCRが43億ドル、ADFが16億ドル、2001年はOCR が40億ドル、ADFが14億ドルであり、最近は運輸・通信部門への支援が増えてきている。
2000年、2001年中の部門別実績は以下のとおり(OCR+ADF)。


国別実績
借入国別2001年の実績では、インド・中国・パキスタン等が上位を占め、数年前と比較して通貨危機の影響を受けた国のウェートは低いものとなっている。
2001年中の国別実績は以下のとおり(OCR+ADFの上位10か国)。


2000年中の国別実績は以下のとおり(OCR+ADFの上位10か国)。


主要な事業


4.我が国との関係
意思決定機構における我が国の位置づけ
最高意思決定機関は、各加盟国の総務により構成される総務会であり、我が国は財務大臣が総務に任命されている。また、融資の承認等日常業務の意思決定は12人の理事(域内国8人、域外国4人)からなる理事会で行われており、我が国からは単独で理事が選出されている。
邦人職員
職員総数2,149名のうち千野総裁をはじめ日本人職員95名(補助職員2名を含む:2001年末現在)。
我が国の財政負担
2001年末現在、通常資本財源(応募済資本ベース)436億ドルのうち、我が国の出資額は69億ドル(シェア15.9%)であり、米国とともに加盟国中第1位。また、アジア開発基金200億ドルのうち我が国の拠出額は75億ドル(シェア37.6%)であり、加盟国中第1位である。
主な使途を明示した信託基金への拠出、活用状況
(イ)日本特別基金
 日本特別基金( Japan Special Fund、88年に創設)

  2000年度拠出  約37億円

  2001年度拠出  約29億円
使途
[1]プロジェクトの案件発掘や事業化のための事前調査などプロジェクトの案件形成に対する支援。
[2]開発途上国政府の制度の企画・立案等に対する政策助言の支援。
[3]我が国研究者との交流の促進や日本を含むアジアの経済発展の経験に関する調査・研究活動の支援。
[4]開発途上国政府職員等を対象とした研修プログラムの実施など人材育成活動の支援、我が国の人的貢献を支援。
[5]その他ADBでは、地域的なプロジェクトへの技術援助も実施しており、例えばメコン河流域開発の関係国間の調整及びインフラ整備や環境面に携わる各国機関の能力強化等にも技術援助を行っている。
なお、2001年において日本特別基金による支援案件は96件(実績)であり、主なものを列記すれば以下のとおりである。


(ロ)貧困削減日本基金( JFPR:Japan Fund for Poverty Reduction)
  2000年度拠出  100億円

  2001年度拠出  79億円
貧困削減日本基金は、新興市場国の経済危機の影響を受けたADB開発途上加盟国における貧困対策を支援することを目的として、我が国からの資金拠出により、2000年5月にADBに創設されたものである。本基金は、ADBの貧困削減への取り組みを側面から支援するものであり、同資金はADBにより運営・管理される。
2001年中の主な案件は以下の通り。


我が国のODAとの協調実績
2001年は実績なし(2000年は約1.6億ドル)

5.より詳細な情報
書籍等
年次報告:1年間の途上国援助活動をテーマ別・国別に取りまとめているほか、種々のデータが掲載されている。例年4月に発行。ADB駐日事務所に請求することにより、無料にて入手可能(本、若しくはCD)。又、一部ではあるがホームページにおいて掲載されている。
ホームページ
 http://www.adb.org



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