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[17]国際農業開発基金(IFAD:International Fund for Agricultural Development)
1.設立及び我が国の協力開始の時期・経緯・目的
開始時期
国連の専門機関として78年より業務を開始。我が国は、原加盟国として IFAD設立当初より資金協力を行っている。
経 緯
74年11月、ローマで開催された世界食糧会議において、開発途上国の農業生産増大に必要な資金調達のため、国際農業開発基金の設立構想が決議されたことにより設立、78年よりローマにおいて業務を開始。
目 的
開発途上にある加盟国の農業開発のため、追加的な資金を緩和された条件で提供。
2.事業の仕組み
概 要
所得が低く、かつ食糧が不足している地域での飢餓と貧困を撲滅するため、被援助国である開発途上国からの依頼に基づき、農村開発プロジェクトに必要な資金を融資することで食糧の増産、所得の向上、健康・栄養・教育水準を改善し、持続性のある生計が営めるような援助を実施している。その活動資金は、加盟各国から過去複数の増資を通じて拠出されている。
審査・決定プロセス
IFADの行う事業のうち、融資及び贈与等個々の具体的なプロジェクトについては、年3回開催される理事会において審議、承認が行われる。他方、IFAD 事業に係る方向性、政策を決定する場合には、理事会での審議・承認に加えて全ての加盟国から構成される総務会における承認を経て決定される。
決定後の案件実施の仕組み
IFAD自身は「金融機関」として資金の提供を行うものであり、個々の事業実施は、IFAD の融資対象国たる加盟国、必要に応じて関係する国際機関及び NGO 等市民社会団体の協力をも得つつ実施される。なお、IFAD 融資事業の管理・評価等は、IFAD 自身も行っているが、同機関は現地事務所を有していないため UNOPS 等の他機関にも委託されている。
3.最近の活動内容
概 要
近年、IFADは、貧困と環境破壊が相互に深く関係していることに鑑み、そのプロジェクトの実施に当たり、環境問題に十分留意し、環境保全をも最も重要な課題の1つとして取り組んでいる。
また、国際的な開発協力の議論に関し、「貧困削減」重視の姿勢を強める中で、従来より貧困国の最貧地域におけるコミュニティ・ベースでの農村開発を行ってきた IFAD の知見をとりまとめた「地方貧困報告」が2001年に発表され注目を集めた。
地域別実績
主要な事業
IFAD の中心となる融資分野は、農業開発、農村開発、農村金融、灌漑、畜産、漁業、定住、食糧の貯蔵・加工・マーケティング、調査・訓練の9分野。
4.我が国との関係
意思決定機構における我が国の位置づけ
IFAD が実施する個々のプロジェクトを中心とする機関の活動や今後の活動方針等は、年3回開催される理事会において事実上決定される。我が国は、理事国としてその発言を反映させうる立場にある。
邦人職員
邦人職員が勤務。
我が国の財政負担
IFAD 設立時の当初拠出及びその後行われた4回の増資における累計拠出で、我が国は、総額約2.2億ドルを拠出、拠出シェアでは6%となり、米、サウジアラビアに次ぐ第3位の拠出国として貢献している。2001年に妥結された第5次増資についても我が国は、これに貢献することを表明している。
主な使途を明示した特定信託基金への拠出
95年、我が国は、途上国の農村開発における女性の役割の重要性に鑑み、 IFAD にて各種調査、技術訓練等を行うことを目的として日・ IFAD・WID 基金を設け、2001年度まで累計で545万ドルを拠出している。
5.より詳細な情報
ホームページ
http://www.ifad.org