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資料編 > 第3章 > 第3節 > 2.主な国際機関の概要と実績 > [15]国際原子力機関(IAEA:International Atomic Energy Agency)


[15]国際原子力機関(IAEA:International Atomic Energy Agency)

1.設立及び我が国の協力開始の時期・経緯・目的
開始時期
57年、国際原子力機関(IAEA)は米国のイニシアティブの下に国連総会決議を経て創設された。我が国は、同年のIAEA設立と同時に予算計上を行った。
経緯・目的
ウラン、プルトニウム等の核物質は、原子力発電のような平和目的のためにも、また、核兵器製造等の軍事利用のためにも使用されうる。このため、原子力平和利用の開発は、常に核兵器の拡散をいかに防止するかという問題を伴う。第2次世界大戦終結後、世界が原子力平和利用から得られる経済的利益に注目しはじめたこと等を背景に、原子力平和利用の推進と核拡散問題に対処する国際協力体制の必要性が高まり、創設された。
IAEAの主な目的は、IAEA憲章に定められている(技術協力を通じた)原子力平和利用の促進及び原子力活動が軍事転用されていないことを検認するための保障措置の実施、並びに原子力安全の確保である。

2.事業の仕組み
概 要
IAEAは、原子力安全、原子物理学及び原子化学、並びに農業、医療、工業、環境等の放射線及びアイソトープ利用の各分野で、専門家派遣、機材供与及び研修員の受け入れ等の分野の技術協力事業を実施している。その活動資金は、各国に割り当てられた「技術協力基金」に対する拠出により賄われている。2002年の同基金の予算目標総額は7,300万ドルである。
審査・決定プロセス
開発途上国の要請に基づき、事務局が事業計画を作成し、基金の目標総額を理事会の承認を得て総会に提出し、決定する。
決定後の案件実施の仕組み
決定された事業計画に基づき、当該事業を要請した国または地域に対し、IAEAが専門機関として自らその知見を活用して事業実施に係わる調整を行う。事業の実施に際しては、当該裨益国の自助努力に加え、先進国或いはIAEAの専門家の参加をうることもある。

3.最近の活動内容
概 要
原子力安全、医療、食料・農業、工業、環境等の分野において専門家派遣、機材供与、訓練コース開催等を実施。

活動実績
技術協力基金による活動の、地域別及び事業別実績は以下の通り。


4.我が国との関係
意思決定機構における我が国の位置づけ
原子力の平和利用の推進及び核不拡散の重要性を認識する我が国は、IAEA憲章の原加盟国であるとともに、発足当初からIAEAの意思決定機関である理事会の指定理事国として、IAEAの政策決定・運営に一貫して参画し、その活動に積極的に協力してきた。また、我が国は世界有数の原子力推進国として、開発途上国のための原子力平和利用のためのIAEA技術協力プログラムへの人的・財政的協力を積極的に実施している。
邦人職員
事務局には、2002年1月現在、谷口富裕事務次長、村上憲治保障措置局実施C部長、小溝泰義IAEA事務局長特別補佐官はじめ25名の邦人職員が在籍している(正規ポスト職員全体の2.5%)(この他にコストフリー20人)。
我が国の財政負担
技術協力基金に対し2000年度1,484万ドル(全体の19.7%)、2001年度1,398万ドル(全体の20.3%)を拠出している(米国に次ぎ第2位)。

技術協力基金拠出割合(2001年暦年の実際の拠出額)


主な使途を指定した特別拠出
我が国(78年より加盟国)を含む17か国が加盟国であるRCA(IAEA・アジア原子力地域協力協定)の活動を通じて、我が国はアジア地域の国に対して放射線を利用した環境保全、医学生物学分野での技術協力プロジェクトを行っている。

技術協力分野に対する日本の拠出総額


5.より詳細な情報
書籍等
毎年、Annual Reportを発刊しているほか、技術系の書籍等を多数発刊している。
また、その一覧は下記のホームページに掲載されている。
ホームページ
 http://www.iaea.org


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