I-14 NEPADの概要
1.NEPAD
(1)NEPADとは
2001年7月のアフリカ連合(AU)首脳会議にて採択されたアフリカ自身によるアフリカ開発のためのイニシアティブ(但し採択時は「新アフリカ・イニシアティブ」、その後2001年10月にNEPADに改称)。当初、ムベキ南ア大統領が提唱し、99年頃より南ア、ナイジェリア、アルジェリアを中心に策定され、その後、エジプト、セネガルを共同提案国に加えた。
(2)NEPADの目的
国際社会の援助に従属するのではなく、アフリカ自身の責任においてアフリカにおける貧困撲滅、持続可能な成長と開発、世界経済への統合を目指す。また国際社会にはアフリカの自助努力(オーナーシップ)を補完する形での支援(パートナーシップ)を求めていく。
(3)NEPADの開発戦略
○平和と安全保障、民主主義と政治・経済両面でのガバナンス、市場拡大と競争力強化に向けた地域協力の推進を開発の前提条件と認識。
○具体的優先分野としてのインフラ、人材育成、農業、環境、文化、科学技術等を重視。
○開発の資源として債務削減やODA、民間投資誘致による資金の確保及び生産の多様化、輸出の促進等による市場アクセスの拡大を目指す。
2.NEPADの特徴
(1) アフリカ自身のイニシアティブ
○国際社会の要請に基づいたものではなく、アフリカのオーナーシップの発露。
○ドナー諸国への要求ではなく、アフリカ自身が何をしなければならないかを提示。
○国際社会とのパートナーシップはアフリカのオーナーシップを補完するものと再定義。
⇒オーナーシップとパートナーシップというTICADの基本哲学を反映。
(2) ガバナンスの重視
○アフリカの開発における重点課題としてガバナンスの問題を前面に提示。
○アフリカン・ピア・レビュー(相互審査)・メカニズム(APRM)を提唱。
⇒ODA、民間投資、貿易の促進とガバナンスの連携を意識。
(3) 地域協力の重視
○国家レベルではなく地域レベルでのアプローチを推奨。
⇒アフリカ各国間の相互依存を深化させ、地域の安定につながる。
(4) 民間資金の活用
○ドナーのODAのみならず自力での民間資金の活用、特に海外直接投資の誘致を重視。
⇒ODAと民間資金の双方の活用により資源のより効率的な利用が促進される。
3.NEPADの体制
(1) AUサミット
NEPADの様々な方針等について最終的な承認を付与することにより、NEPADがアフリカ全体の開発イニシアティブであることを担保する。
(2) NEPAD実施委員会
アフリカを5つの地域に分け(原則AUの地域割り)、各地域から4か国ずつ合計20か国の元首から構成される。議長はオバサンジョ・ナイジェリア大統領。NEPADの方針、プロジェクト等を決定し、AUサミットに報告。現在の構成国は以下のとおり(2002年12月現在)。
北部:エジプト、アルジェリア、チュニジア
西部:ナイジェリア、セネガル、マリ、ガーナ
中央:カメルーン、ガボン、コンゴ(共)
東部:エチオピア、ルワンダ、モーリシャス
南部:南アフリカ、ボツワナ、モザンビーク、アンゴラ
(3) NEPAD運営委員会
NEPADの創設国である5か国(南アフリカ、ナイジェリア、アルジェリア、エジプト、セネガル)の特別代表により構成。NEPAD実施の方針について実施委員会へ提案したり、実施委員会の決定した方針を具体化する。
(4) NEPAD事務局
委員長はヌクシュル(Nkuhlu)南ア大統領経済顧問。