前頁  次頁


I-12 日・ASEAN包括的経済連携構想


1. アジア域内の経済取引の拡大と共に、域内の経済的相互依存関係が近年急速に拡大・深化し、国境を越えた人、モノ、カネ、情報の動きは益々活発化している。アジアにおける域内協力の強化が今後の重要な対外政策の課題となっている。

2. 近年のグローバリゼーションの進展と並行して、地域化(リージョナリゼーション)の動きも活発化し、現在では世界の大部分の国が地域貿易協定に属している。

3. このような状況を背景に、わが国は既にシンガポールとの経済連携協定を署名したところだが、小泉総理は、2002年1月のシンガポールでの政策スピーチにおいて、ASEANとの包括的経済連携を模索する本構想を提案した。

4. 2002年11月に開催された日・ASEAN首脳会議後、東アジア地域においても、他の地域において達成されたものに匹敵する性質の経済統合をできるだけ早期に達成すること、日本とASEAN全体との間で包括的経済連携実現のための枠組みを検討・起草する一方で、用意のあるいずれのASEAN加盟国とも日本が二国間の経済連携を確立するための作業を始めることができること、それぞれの国における経済レベルやセンシティブな部門を考慮に入れて、10年内のできるだけ早期に可能な自由貿易地域の要素を含む連携の達成することを謳った「日・ASEAN包括的経済連携構想に関する共同宣言」が署名された。本宣言には、早期に実現可能な分野の一つとして、連携に意味のある参加をするための競争力を向上させるため、特に新加盟国に対する技術的支援及びキャパシティ・ビルディングを必要に応じ実施することもあげられている。

5. 既にシンガポールとの間では、物品の貿易の促進、人の移動の促進、サービス貿易の促進、資本・情報の移動の促進を内容とする日本・シンガポール新時代経済連携協定が発効したほか、タイ、フィリピンとの間でも、作業部会を開催し、日本・シンガポール新時代経済連携協定を基礎または参考にする形で、幅広い分野での経済連携のための作業が行われている。また、ASEAN全体との間では、政府間の委員会を設置し、本年中に経済連携のための枠組みを作成し、2003年10月の日・ASEAN首脳会議に提出することとなっている。



前頁  次頁