(*1)主な感染症

●HIV/AIDS
 国連エイズ合同計画(UNAIDS)報告によれば、99年末現在のHIV/AIDSの感染者数は3,430万人(また、これまでのAIDSによる死者は推定1,880万人)、99年のHIV新規感染者数は540万人、AIDS死亡者は過去最高の280万人にのぼる。その大部分は途上国で生じている。特に、サブ・サハラ・アフリカへの影響は最も深刻(感染者2,450万人。例えば、ボツワナでは成人の35.8%が感染)。平均余命の顕著な短縮(国連開発計画(UNDP)報告によれば、HIV感染率が10%を越えるアフリカ諸国で平均寿命が17年縮まったと推定)のみならず、労働者人口の減少や社会経済開発の停滞を惹起している。
●結核
 世界最大の再興感染症。アジアをはじめとする途上国を中心に18億人の感染者がおり、WHOによれば、年間800万人の新患者、約200万人の死亡が見られる。不適切な治療による多剤耐性結核菌の増加、HIV感染による結核患者数の増加等新たな課題も生じている。
●マラリア
 WHOによれば、世界で年間約3億人の新たな発症が見られ、100万人以上が死亡。その大部分がアフリカに集中している。2000年4月、ナイジェリアにおいて、アフリカ・マラリア・サミットが開催され、マラリアがアフリカの開発と貧困削減の障害となっている旨強調している。
●ポリオ
 小児麻痺。世界のポリオ患者は1980年代後半、3万人を超えたが、1990年代に入って着実に減少し、WHOによれば、1999年には6,659例(アフリカ及び南アジアが中心)。我が国は、東アジア及び西太平洋地域を援助の重点地域として積極的に協力を行ってきた結果、2000年10月、京都において開催予定の国際会議において西太平洋地域ポリオ終息宣言が出される見通し。
●寄生虫症
 フィラリアや住血吸虫、メジナ虫(ギニア・ウォーム)、回虫・鉤虫・鞭虫などの消化管寄生虫があり、途上国住民には高率に感染している。