(注11)我が国の「人間の安全保障」の考え方
「人間の安全保障」の概念は1994年の「人間開発報告書」で国連開発計画(UNDP)が提唱した新しい概念。「人間の安全保障」の定義は様々あるが、我が国の考える「人間の安全保障」は次のとおり。
(1)人間の安全保障とは、人間の生存、生活、尊厳に対する脅威から各個人を守り、それぞれの持つ豊かな可能性を実現するために、一人ひとりの視点を重視する取組を強化しようとする考え方。
(2)現下の国際社会は貧困、環境問題、紛争、対人地雷、難民、薬物、HIV/AIDS等感染症などの様々な脅威に直面している。このような冷戦後の国際社会における多様化した脅威に対処していくためには、各国政府のみならず、国際機関、NGO等を含む市民社会等の様々な主体が協力し、人間個人の潜在力が現実化するような社会を造り、持続させていくことが重要である。このことが、日本外交の重要な視点の一つである「人間の安全保障」の考え方が目指すものである。