前頁  次頁


資料編 > 第3章 > 第3節●国際機関 > 24 地球環境ファシリティ(GEF:Global Environment Facility)の概要と実績


24 地球環境ファシリティ(GEF:Global Environment Facility)の概要と実績


1.設立及び我が国の協力開始の時期・経緯・目的


開始時期


 91年5月、パイロットフェーズとして発足。我が国は発足時より参加している。

経緯・目的


 89年7月のアルシュ・サミットを受け、途上国の地球環境問題への取り組みを支援するファシリティの設立が検討され、91年5月、94年までのパイロットフェーズとして設立された。その後、92年にリオデジャネイロで開催された国連環境開発会議(地球サミット)での議論を受け、パイロットフェーズの経験を踏まえた改組・増資の討議が行われ、94年3月、GEFの基本的枠組み及び向こう4年間の資金規模が合意された(GEF-1)。さらに、98年3月には、98年7月以降4年間の活動のための増資交渉が合意された(GEF-2)。
 開発途上国が地球環境の保全・改善に取り組むことにより増加する費用を賄うため、原則として無償資金を供給することを目的としており、2001年5月末現在の参加国数は168か国(そのうち拠出国は36か国)である。

2.事業の仕組み


概 要


 世銀、国連開発計画(UNDP)、国連環境計画(UNEP)の3実施機関により共同運営されており、世銀に信託基金を設置している。GEFの対象分野は、(1)地球温暖化の防止(例:太陽熱等のクリーンエネルギーの開発・利用)(2)生物多様性の保護(例:動物保護区の制定・管理)(3)国際水域汚染の防止(例:産業廃棄汚染水処理施設)(4)オゾン層の保護(例:家電製品からのフロン回収施設)等である。

審査・決定プロセス


 世銀、UNDP、UNEPの3実施機関は相互に協力取極を結び、資金受入国と協議の上、プロジェクトを発掘・策定し、GEF評議会において審査、決定がなされる。

決定後の案件実施の仕組み


 世銀、UNDP、UNEPの3実施機関がプロジェクトを実施している。

3.最近の活動内容


概 要


 設立以来、地球温暖化防止、生物多様性保護、国際水域汚染防止、オゾン層保護の4対象分野に取り組んできている。特に、地球温暖化防止及び生物多様性保護に関しては、GEFは、それぞれ気候変動枠組条約及び生物多様性条約の資金メカニズムとして指定されている。

地域別実績



図表-173 地球環境ファシリティ(GEF)地域別実績

地球環境ファシリティ(GEF)地域別実績


 2000年における地域別実績(プロジェクト数)は下表の通り。

主要な事業


 分野別の実績は下表の通り。



 主なプロジェクトの例は以下の通り(いずれも2000年11月承認プロジェクト)。
●ブルキナファソ:農業と生態系保護の調和を目指した自然生態系マネジメント・プロジェクト(生物多様性分野:総費用4,300万ドル、うちGEF1,800万ドル)
●中国:風力発電開発プロジェクト(地球温暖化分野:総費用9,800万ドル、うちGEF1,200万ドル)
●アルゼンチン/ボリビア:ベルメホ河流域における土壌汚染防止のための行動計画プロジェクト(国際水域分野:総費用1,900万ドル、うちGEF1,100万ドル)

4.我が国との関係


意思決定機構における我が国の位置づけ


 3年に1回開催される総会の下に半年に1回開催される評議会が設置され、実質的な意思決定機関として機能している。評議会は32議席(先進国14、中東欧及び旧ソ連諸国2、途上国16)で構成され、我が国も1議席をもっている。

邦人職員


 2001年5月末現在、事務局職員51名のうち邦人職員は3名である。

財政負担


 我が国は米国に次ぐ第2位の拠出国であり、GEF-1では4億1,460万ドル(拠出シェア20.5%)、GEF-2では4億1,260万ドル(拠出シェア20.0%)を拠出している。

主な使途を明示した特定信託基金への拠出、活用状況


 該当なし。

我が国ODAとの協調実績


 タイ発電公社の電力消費効率促進事業について、旧OECF(現国際協力銀行)と協調した。

5.より詳細な情報


書籍等


 年次報告をはじめ各種情報は、GEFのホームページよりダウンロード出来る。

ホームページ


 http://www.gefweb.org


前頁  次頁