平成19年度 あなたの目で見る国造りの現場 ODA民間モニター報告書 Official Development Assistance
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中華人民共和国 People's Republic of China
1. 環境モデル都市事業計画(貴陽)フェーズI、II(有償資金協力)
視察プロジェクト概要
実施年度
 
 
供与限度額
 
 
 
実施機関
平成12年4月~平成21年4月(予定)
E/N締結日  フェーズI:平成12年3月27日
フェーズII:平成13年3月30日
フェーズI:6,266百万円、フェーズII:8,169百万円
合計: 14,435百万円
条件: フェーズI、II 金利年0.75%、
  償還期間40年、据置期間10年
貴州省人民政府
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実施目的
必要性
 平成9年の日中首脳会談(当時:橋本首相)にて提唱された「日中環境開発モデル都市構想」は、中国で深刻化する環境汚染に対して、効率的な支援を行うために生まれた。この構想は、モデル都市において集中的な環境対策を行い、その成功例を他の都市へ普及させることを目的としている。モデル都市の一つとして選定された貴陽市は、石炭に依存したエネルギー構造、重化学工業中心の産業構造等により、また、その盆地状の形状ともあいまって、石炭燃焼による大気汚染が深刻な問題となっている。特に二酸化硫黄(SO2)濃度は、当時、都市住居地域に適用される国家環境2級基準値を大幅に上回り、また、日本の大気汚染が最も深刻であった67年の平均値をも上回る状況であった。
 本事業は、環境モデル都市構想の一環として、モデル都市である貴陽市の大気汚染等の対策を行なうことにより、貴陽市の環境改善を目的とするもの。
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事業概要
以下のサブプロジェクトを実施。
フェーズI 貴陽市ガスタンク増設、貴陽製鉄工場大気汚染対策、貴州セメント工場粉塵処理、貴州有機化学工場汚染源対策(猫跳河水質改善)
フェーズII 貴陽発電所大気汚染対策、モニタリングシステム整備、林東クリーン炭工場建設(←今次視察対象)
  貴陽市に高硫黄炭の洗炭等を行なうクリーン炭生産工場を建設することにより、クリーンエネルギー使用を促進し大気汚染改善を図るもの。
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効果
クリーン炭活用による粉塵(ばい塵)削減、二酸化硫黄(SO2)削減
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モニターからの意見・感想
中島 敏
 スモッグの350万都市ではなく、青い空の街があった。資料や現況から二酸化硫黄(SO2)や粉塵が劇的に減少、水銀による水汚染も解決等『環境モデル都市事業』は大成功。本件は環境政策のみならず産業政策として資源節約や新たな利益の創造に大きく寄与する。この成功が他都市へ波及する事や迫りくる水汚染対策に、円借款を含むODAが展開される事を強く祈念する。今後は人を中心に据えた視点を持ってほしい。健康被害のデータが無いのだ。高硫黄炭をクリーン炭として発電所に供給する工場も立派に稼動しているが、そこで働く人々の『労働安全衛生』という概念はない。中国衛生省は各地でがん患者が急増していることを発表したが、データーの収集分析手法も含め、民主的チェック機能の確立にODAが寄与してほしい。
児玉 博昭
 貴陽市は中国でも最も大気汚染が深刻な都市であったが、製鉄所・セメント工場・発電所の三大汚染源に対策を講じてきた成果か、かなり環境が改善されている。視察先の林東クリーン炭工場は、日本の有償資金協力によって建てられた施設で、硫黄分の多い炭を取り除くことで、石炭を燃焼したときに出るばい塵を減らすことができる。クリーンエネルギーの推進は政府の政策であり、企業にとっても将来性の高い事業。工場長の話では工場を拡張し増産する計画もあるそうだ。もっとも、この事業は貴陽市での成功例を他の都市に普及させることが本来の目的。企業には営利の追求に走らずノウハウの普及に努め、社会的責任もしっかり果たしてもらいたい。
小山 一輝
 対策前の工場周辺は、目に見えて汚染されているのが分かるほどで、見るに耐えられないひどいものだった。対策後、クリーン炭の活用で二酸化硫黄(SO2)排出量と煤塵排出量が減少したため、工場周辺を歩いていても大気が汚染されているとはあまり感じなかった。また、貴陽市の経済発展にもつながっていて、現地の方々から感謝の意を述べられて、この事業が貴陽市で役に立っていることが実感できた。中国の深刻な環境問題は、日本にも影響を及ぼす恐れがあるので、中国だけの問題ではない。それ故、この事業は日中両国にとって必要だと思う。貴陽市だけで終わらせずに、ここでの成功例を他の都市に普及させていってほしいと思う。
寺田 憲代
 かつては大気汚染が深刻であったという貴陽市。汚染度は貴陽市内だけでも日本全体のSO2排出量の60%に相当する二酸化硫黄が排出されていたという。
 原因の石炭をクリーン炭に変えたことにより、二酸化硫黄濃度が減ったのは一定の成果が現れていると思う。この工場ができシステムが稼動して1年余というから、これからも引き続き濃度が下がり、大気汚染が改善されることを願う。
 また、今後の課題としてはクリーン炭を必要としながらも行き渡っていない人々もいるため、稼働率を上げていくことが早急に望まれる。そして「環境モデル都市」の1つである貴陽から、この事業が更に多くの市へ受け継がれていってほしいと思う。
青島 はるな
 現地へ視察と言っても、実施前は行っていないし、実施前後の比較は勿論できない。単なる配布資料に挙げた実施前後の写真と数字によると、驚くほど成果を得たようだ。
 視察した林東クリーン炭工場は、市場のニーズに応えられないほどの需要があることを聞いて、これは地元の企業と住民の環境改善の意識が高まってきた事を感じ取った。工場も利益を得られるし、ここまで積み重ねた成果を失うことはないだろう。2008年円借款の完結につれ、せっかく得られた成果が再び失われる心配は無用だ。但し、現場で見た工場の労働条件は悪すぎる、皮肉なことで、クリーン炭を作る作業場はクリーンとはとても言えない。環境改善に貢献した作業員たちの健康を心配する。
菅沼 しずか
 平成12年から始められたこのプロジェクトにより、都市の空気、酸性雨等の深刻な環境問題は著しく改善され(比較写真により一目瞭然)、街の人たちの不安は著しく軽減された様子。かなり包括的に行われたこのプロジェクトの効果は非常に高く、驚嘆に値する。この経験が他省において、上手く応用されることを願う。しかし、各工場が安定的に・健全に運営されていくためには、第三者としての監視役であるJBICが、長期的視点から経営に関するアドバイスを、また経験に基づく情報提供を、今後も行っていく必要があると思われる。真にクリーンで健全な街づくりが中国国内に広まることを目指して。
本田 浦子
 北京のスモッグを経験した後、最も中国で大気汚染が酷い地方への視察ということでどれほどかと危惧していたのですが、雨上がりということもあり、空気は澄み切って、緑も青々としており、意外に感じました。既に第一弾の大気汚染対策が終了した後で、その為私達が訪問した時には、大気汚染がかなり改善されていたようです。第二弾としてクリーンな石炭の供給も始まっていました。政府の環境政策もあり、処理された石炭の販路の拡大が見込まれ、更なる増産を計画していました。工場の見学受入れや全国的な環境セミナーでの講演等、他の地域にも波及させようと努力しているとのことです。日本の借款を基に、それをより発展させるエネルギーを頼もしく感じました。訪問した日が日曜日だったので、操業状態を視察できなかったのが残念でした。従業員の塵肺対策がどの程度なされているのか気に掛りましたが、確認できませんでした。
西 正志
 環境モデル都市事業計画フェーズIIの案件、林東クリーン炭工場を視察した。ここでは、原炭を風力で3種類の大きさに選炭し、3工程で処理をしてクリーン炭を生産し、火力発電所に供給するというものである。そしてこのクリーン炭を使い二酸化硫黄(SO2)を規制・削減をし大気汚染を改善することに繋がるというプロジェクトである。将来、出荷量80万トンまで生産力を高めていく予定という。そのため、よりニーズに応えるために地元の炭坑から原炭の入手、貯蔵量の増加や販路の拡大にも力を入れていくという。現時点では生産量は満足のいくものではないそうだ。手すりにも炭塵が付着している。「塵肺」になるおそれがあろう。労働者の健康管理が課題である。
小野 俊明
 盆地にある貴陽市は長い間、上空にスモッグがとどまり視界を遮るほどであった。鉄鉱、セメント、火力発電所がエネルギーとして石炭に依存し二酸化硫黄(SO2)を排出し続けたからである。貴陽市が環境開発のモデルになり、その一環として林東クリーン炭工場はつくられた。ここで、原料炭は洗炭され、クリーンなエネルギーとして大気環境を大幅にかえることにつながっていった。貴陽のスモッグは消えたのである。現地の関係者は、「この様な成果を上げ、日本ODAは役に立ち、感謝している。」と述べた。ただ、工場労働者への粉塵対策の不備や他地域の工場から出されている明らかに有害な煙は気掛かりだ。きめ細かな環境対策までには時間が必要だろう。
西本 睦子
 日曜日だったので、工場は休日で機械は動いていなかった。クリーン炭で環境が改善されることはよく理解できたが、労働環境が気になった。通常工場内や工場周辺はすごい粉塵だという。工場長に詳しくお話をうかがうと「ちゃんとマスクを支給している」とのこと。しかしながら、粉塵の程度はどのくらいで、マスクの効果はどのくらいの精度なのだろう。設備に堆積している粉塵を拝見する限り劣悪な労働環境ではなかろうか。日本の炭鉱であったような塵肺訴訟がおこらないであろうか。また、クボタのアスベスト問題でも取り上げられたように、作業服を洗濯されるご家族の方にも健康被害が及ばないであろうか。そこまで考えた支援であってほしい。
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