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カンボジア王国 Kingdom of Cambodia
6. 日本国政府アンコール遺跡救済チーム(JSA)活動
(ユネスコ文化遺産保存日本信託基金による国際協力活動)
視察プロジェクト概要
協力期間

 
実施機関
平成6年11月~平成11年4月(第1フェーズ)
平成11年5月~平成17年4月(第2フェーズ)
平成17年11月~平成22年  (第3フェーズ)
日本国政府アンコール遺跡救済チーム(JSA)
カンボジア側機関・アプサラ機構(APSARA)
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実施目的
必要性
 1992年、アンコール遺跡はユネスコの世界遺産に登録されると同時に、地盤沈下等により「危機にさらされている遺跡」としても指定され、その保存修復は急務となっていた。日本はこれまで遺跡保存協力を国際文化交流の柱として位置づけ、各国への協力を実施しており、カンボジアにおける遺跡の状況を踏まえ、1994年、ユネスコ文化遺産保存日本信託基金を通じて日本国政府アンコール遺跡救済チームを結成。以来、我が国は将来的にはカンボジア国民自らの手による遺跡保存活動が実現されることを目的として一貫した支援を実施しており、2004年には同遺産は「危機にさらされている遺跡」を脱却した。現在実施中の第3フェーズでは、カンボジア側機関(アプサラ機構)をパートナーとして日本人、カンボジア人が共に本事業に参画する体制をとり、第1、第2フェーズを通じて育成したカンボジア人専門家を活用し、遺跡の保存修復やマネージメント面におけるカンボジア政府の更なる主体性強化を目的とした支援に移行している。 イメージ

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事業概要
1. アンコール遺跡修復活動の促進
 バイヨン寺院北経蔵の分解解体・再構築、「バイヨン寺院全域の保存修復のためのマスタープラン」の策定、アンコール・トム王宮前広場にあるプラサート・スープラとそのテラスの保存・修復、及びアンコール・ワットの災害周壁内にある北経蔵の修復、バイヨン寺院南経蔵の修復計画の策定・部分的解体及び再構築、バス・レリーフの劣化原因調査・保存計画の策定、中央塔の地盤調査・保存計画の策定。
2. 遺跡修復・保護技術の習得による、カンボジア人の遺跡修復・維持管理能力の向上。
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効果
 日本人専門家とカンボジア人スタッフが共同で保存修復活動にあたることで、保存修復事業を通した現地技術者への技術移転・人材育成に寄与している。また、毎年開催されるシンポジウムや報告書、ホームページを通して、修復活動や科学的調査の記録を公開することにより、専門家間だけでなく、一般の方の国際交流や情報提供にも貢献している。 イメージ
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モニターからの意見・感想
山口 真知子
 アンコールワットは国旗に、バイヨンの観世音菩薩像は紙幣に描かれており、カンボジアの人たちにとってアンコール遺跡は自国の文化の誇りである。
 「危機にさらされている遺跡」として世界遺産に登録されたアンコール遺跡はユネスコの国際協力活動により10年後の2004年にはその危機を脱却できた。そのことを今も続くバイヨン寺院の修復現場でJSAの活動を見ながら聞いた。建築当時の技法を再現し修復するのが日本チームの考えだという。カンボジアの経済にとって、観光資源としての遺跡の復興は不可欠だ。単にコンクリートで固めて修復していくのではなく、現地の人と共に自国の文化への誇りを喚起していく日本の方法は共感できた。日本の考古学・建築学の知識が生かされ、遺跡修復事業を自国の手で行う専門家が育つまで支援を期待したい。
湯浅 俊介
 ここは個人的にかなり興味のある視察案件であった。日本でも有名なアンコール遺跡群であるが、やはりかなり崩壊が進んでいる部分も多いそうだ。そのための修復作業の現場を見、お話を聞いてきたが日本が修復する上で心がけている点を聞き、とても感銘をうけた。それは、そのままそっくり新しいものに変えてしまうのではなく、今わかる時点での所までしか修復せず、出来るだけ建設当時の方法を重んじる、という点だ。これはいろいろな歴史的建築物が多くある日本ならではのとても良い方法だと思う。これからもこの方法を大切に、そして次々と数多くあるアンコール遺跡群の修復を進めて行ってもらいたい、そう思った。
棚橋 志穂
 バイヨン寺院の修築現場では、若いカンボジア人のスタッフが日本人専門家と共に作業に当たっていた。開発援助というと、新しい技術や設備の投入を思い描きがちだが、カンボジアの誇るべき遺跡を良い状態で残してゆく為の修復作業もまた、れっきとした開発援助なのだと気付いた。
 カンボジア側への技術移転も進んでいる。日本は他の援助国とは少しちがい、遺跡が建築された当時の技法をなるべく再現しながら修復をしている。そのため、数十年後には再び修復作業が必要になると言われている。その時には、カンボジア人自らの手で、アンコール遺跡群の維持・管理がなされていてほしいと思う。
黒川 貴功
 日本の木の文化は定期的に修復していかなければ、石の建造物よりも早くその形を失ってしまう。しかしその修復活動は単に建造物を保存するためだけでなく、修復を繰り返すことで当時の建築技術を後世に伝えるというもう一つの目的がある。
 バイヨン寺院の修復でもその方法が生かされていて、二度と壊れないよう頑丈に修復をするのではなく、当時の建築方法も遺跡と同じく後世に伝えることができるよう、配慮されていた。必要以上に修復するのではなく、当時の技術に沿って修復が行われていた。
 日本の科学的な技術だけでなく、文化に対する観念がカンボジアで生かされていることに、感銘を受けた。
津藤 洋一
 修復と復元。一口に遺跡の救済と言っても、その方法について様々な考え方があることを改めて実感した。現代の技術と素材で、過去の遺跡を形だけ元通りにしても、それはもはや修復ではなく、想像を交えた復元になってしまう。バイヨン寺院の修復にあたっては建立当時の技術を用いた石組みの修復を行っていた。また、初期は日本人の石工により修築が行われていたが、次第に現地の人材育成が進み現在はほとんどカンボジアの人々によって修復作業が行われていることに強い印象を受けた。現在は遺跡の修復は日本を含めた各国の支援をうけ進められているが、やがてカンボジアの人々の手により後世に遺跡が修築され伝えられていくであろうと実感した。
古関 明子
 バイヨン寺院の保存・修復工事現場に足を踏み入れたとき、現場で指揮をとっている若い女性がいた。しかもカンボジア人のようであった。JSAの方の丁寧な熱のこもった説明の随所から「現地の人々に自国の文化への誇りを喚起し、遺跡の保存・修復の重要性を理解してもらいたい。」との思いが伝わってきた。
 他国との意識の違い、日本人であるが故の伝統文化にかける思いなのかもしれない。出来るだけその国を傷つけないように、誇りを失わないように伝統的技法を生かす作業は、時間がかかっていた。しかし現地のスタッフは丁寧に、労力も惜しまず取り組んでいた。そこに、カンボジア人としての誇りがのぞいていた。援助の根幹はここにあると思った。
川嶋 康平
 私が、カンボジアと聞いて初めに思い浮かべるのはアンコール遺跡です。カンボジアの学生の方にアンコール遺跡のことを尋ねると、何回も行ったという答えが返ってきました。世界遺産でもあるアンコール遺跡はカンボジア人の誇りであるのだと思います。視察した遺跡は、崩れた遺跡の一部だと思われる石が道端にたくさん落ちていました。決して良い保存状態であるとは思えませんでした。
 また、ただ修復するだけでなく、技術者を育成して最終的にはカンボジア人自らが修復できるようにすることは、カンボジアの技術向上と世界遺産保存のためには素晴らしいことです。この支援が、日本とカンボジアの更なる友好関係に役立ってほしいと思います。
安藤 涼真
 アンコール遺跡は、仏教徒だけではなく人類全体の宝である。この遺跡の修復を日本は他の国のやり方をマネするわけではなく日本独自でよりよいやり方を考えアンコール遺跡を修復している。アンコール遺跡はとても大きく修復し終わるまでにはまだ時間がかかると思うが、たとえ時間がかかってもこの人類の宝を完全な形にしてほしいと思う。
 また、現場では、作業している間私語もなく真剣そのもので、アンコール遺跡を修復したいという気持ちが伝わってきた。たとえ自分の国のものではなかったとしてもこのような人類全体の宝となるものは、国など関係なく守らなければならないと思う。
寺田 舞香
 私はこの日本の活動のやり方にとても共感した。なぜなら、ただアンコール遺跡を元通りにすることを大事にしているのではなく、当時のやり方を中心にして修復し、そこに壊れにくくするというような技術を加えて当時のやり方で当時のアンコール遺跡を表現しようとしているからである。
 修復現場ではカンボジア人がこの遺跡を誇りに思って外国人の手に頼るのではなく、自分たちも修復活動に携わっているのを見てとてもいいことだと思った。
 新しい技術だけを使いアンコール遺跡を修復してもそれは本当のアンコール遺跡とは言えないと思う。だからこれからも本当の「アンコール遺跡」への修復を続けることが大切だと感じた。
川原 隆実
 今回の視察で、遺跡を保存・修復することの重要さとともに、その難しさを感じた。見た目が美しくなることを目指し、想像を加えて完成度の高く見えるものをつくりあげることを良いことだと考える国がある。それに対して日本のJSAは、できるだけ建築当時の伝統的技法を生かし、想像は加えず、当時のカンボジアの歴史を大切にしたいと考えている。その考え方がすばらしいと思った。そして、それこそが真の「修復」だと感じた。しかし、カンボジア人は見た目を美しくしたものを喜ぶため、日本の考え方を理解してもらうのが大変だとJSAの方はおっしゃっていた。現地の人々に自国の文化への誇りを持ってもらうことが大切なのだと感じた。
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