平成18年度 あなたの目で見る国造りの現場 ODA民間モニター報告書
日本のODAについて 平成18年度 ODA民間モニター事業について
スリランカ民主社会主義共和国 Democratic Socialist Republic of Sri Lanka
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1. ペラデニア大学歯学教育プロジェクト(技術協力プロジェクト)
(一般無償:ペラデニア大学歯学部整備計画との連携案件)
視察プロジェクト概要
協力期間
 
 
 
 
 
 
実施機関
平成10年2月~平成15年1月(5年間)
なお、一般無償:ペラデニア大学歯学部改善計画
実施年度及びプロジェクト額は以下のとおり。
実施年度: 平成8年5月(E/N締結)、
平成10年6月
(スリランカ政府へ引渡し)
プロジェクト総額:22.45億円
ペラデニア大学歯学部
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実施目的
必要性
 スリランカでは国民の歯科口腔疾患が深刻な問題となっている。同国の悪性腫瘍(ガン)のうち30%を口腔ガンが占め(日本では約2~3%)、また、その他の歯科口腔疾患によっても患者のクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)が損なわれています。国民の口腔保健医療へのニーズが高まる一方、同国の保健医療予算の伸びは限定的となっていることから、限られた資機材や財源を有効に活用した治療及び予防や、早期発見にも能力を発揮できる歯科医療従事者の養成が求められています。 イメージ
事業概要
 無償資金協力で整備された歯学部および付属病院の施設・機材を最大限に活用し、同国唯一の歯科医師養成機関として最高水準の機能を達成することを目的として、教官、技術スタッフ、看護士及び歯科助手の知識・技術・能力の向上、学部の管理運営能力の向上、施設・機材の維持管理システムの向上を達成するために、各分野の日本人専門家派遣、研修員の受け入れ等を実施しました。 イメージ
効果
 本プロジェクトの実施により、歯学教育・歯科医療サービス・研究活動に関して、スリランカ口腔保健状況の向上に寄与する等の波及効果が発現しています。本施設は、歯学部と教育病院は歯科における中心教育機関として、また、良質な診療サービスを提供する機関として期待され、保健省の歯科医療スタッフを対象に国内研修を実施しているところです。同様に、診療サービスの質の高さで近隣諸国に知られるようになり、平成14年度から近隣諸国やアフリカからの研修員を受け入れて、卒後研修コースを実施しています。 イメージ
備考
 ペラデニア大学歯学部は同国唯一の歯科医師養成機関ですが、既存の歯学部の施設・機材は老朽化が進み、また、専門の実習病院もなかったことから、わが国無償資金協力により、歯学部ならびに歯学付属病院が新たに建設されました。 イメージ イメージ
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モニターからの意見・感想
石井 琢三
 当初の援助では、医療用施設・機材の提供から始まったようであるが、その後の日本からの専門家派遣、研修員の受入により大学病院の医療水準がかなり向上した。その一つの証として、多くの患者が全国から集まってくることからも想像できる。この大学の感心するところは、今では援助される側から援助する側に立場が変わり、スリランカ国内はもとより海外の研修生を迎え入れ、研修を行っていることである。日本の援助が結実した素晴しい事例であると考える。また、この大学病院は専門の歯科以外の他の病気・怪我にも対応できる体制が整えられており、ワンストップケアが実践されているところである。日本の病院も見習うべきであるという気がした。
坂口 親宏
 病室にいたその年老いた患者さんから聞いた言葉は「もちろん知っているよ。今受けている医療技術やここの医療器具はすべて日本の援助だということは、ここにいる誰もが知っている話さ。」初めての視察案件で訪れたペラデニア大学歯学部では、私のODAに対する猜疑心を一瞬にして払拭するこの言葉から始まったような気がする。また大阪から研修医として口腔ガンの治療技術を学んでいる日本人医師に偶然にも話を聞くことができた。日本からの一方的な技術移転だけではなく、他のアジアの国々と共同研究するまでにその口腔医療技術のレベルが上がっていることを考えるとき、ODAによる自助努力援助が成功した模範的な事業といえよう。
高橋 成人
 初めて訪れた国で、始めに一般の方々と顔合わせ出来た印象深い案件になりました。大学のキャンパス内の病院という事も、リラックスして視察出来た要因かも知れませんが、整った施設・システム(専門化した処置室・見慣れた機材・研究室)は成熟した安心感を覚えました。大変スリランカの方の為に役立っていると感じる反面、一般無償の枠組の中でここまで積上げた実績は実りあるとも、過剰とも取れる甲乙付け難い結果になりました。
 先進国では当り前の、Drの感染予防保護眼鏡や使い捨てマスク、助手のマスク着用が慣習として無い様だったので、きっかけになればとアドバイスさせて頂きました。ちなみに、グローブと注射器は使い捨てとなっていましたし、医療廃棄物の扱いも出来ていました。
荒倉 由佳
 教育と総合的医療の両方が上手く連結した、私の歯科に対する概念が覆された案件だった。付属病院は14の科に分かれ、口腔内科・外科や手術室などの高度な医療技術施設や、病理解剖等の研究施設が備えられていた。臨床では、教授と生徒のチームティーチングが行われ、周辺諸国研修受け入れの一環で日本から研修に来た医師にも遭遇した。歯学分野の豊富なサンプルと高度な研究内容ゆえ、各国から研修生が訪れるという。満足と向上心で溢れた様子で案内してくれた学部長が印象的だった。
 一般的に途上国での医療問題の一つとして、医療従事者の海外流出が存在する。この案件でもその傾向は完全には否定できない様子だったが、意欲的なスタッフの手で新たな策が講じられ、医師の定着が図られることを願う。
平藤 節夫
 ペラデニア大学歯学部の存在意義は、私の想像をはるかに超えるものがあった。
 施設の外にまであふれた患者の多さからは医師養成機関というより、むしろ評判の良い医療機関に見えた。悪性腫瘍の30%を超えるという、この国特有の口腔ガン患者のことを考えれば当然のことかもしれない。
 無償資金協力によるハード面の整備に続いて行われている日本人専門家の派遣や研修員の日本受け入れ等の技術協力プロジェクトはその効果がスリランカ国内にとどまらず近隣諸国にまで波及しており、所期の目的は達成されているものと感じた。今後は、無料で施されているこの医療サービスが、地方の貧困層の住民にまで及ぶシステム作りへの支援が必要ではないだろうか。
笠原 文
 この案件で感じたことは、自助努力へのアプローチの難しさであった。日本のODAにより建設された施設を使って数多くの若者が学習しており、歯科医師育成に大きく貢献できていて、現在に至っては、諸外国からも研修生が来ているようだし、日本の大学からの研修生も学習に来ている現実を考えれば実効性のある援助であると感じた。しかし、日本のODAは、恒久的な援助ではなく、自助努力の支援でなくてはならない。その理念は日本側だけでなく、受け手側にもしっかり浸透させる必要がある。学生から「食堂が手狭になった」等の要望が出てきたのは日本側の思いがうまく伝わっていないのでないかと感じられた。
図師 奉子
 ペラデニア大学は、日本の大学から技術を学びました。スリランカでは悪性腫瘍のうち口腔ガンの割合が30%と高く、日本ではあまり口腔ガンの発症率が低いため日本から技術を学びに来ていました。口腔ガンになる主な原因は葉たばこで、人々に啓蒙活動も行っています。
 今では日本からも技術を学びに来ていたり、近隣諸国(12カ国)に技術の移転をしているそうです。そのようなことを考えるとここは成功している例だといえます。
大和田 美香
 ぺラデ二ア大学は口腔学の全ての専門医が設置されているそうで、病理学実験室を見て、高度な研究が行われていると感じた。
 また、口腔ガン防止のためにポスター・テレビでの呼びかけに加えて、農園労働者への教育を行うなど熱心な取り組みが行われていた。病院に入院している患者さんの話からは日本の援助が広く利用者の方に認知されていることが分かった。
 当大学では、近隣諸国やアフリカから研修員を受け入れる第3国研修が行われている。日本からの技術移転がスリランカだけでなく、更に他の国の医療にも貢献していることを知り、ODAの持つ新たな可能性を感じた。
鈴木 順子
 まず、8年間という短期間で、その技術力の高さ、また、口腔ガンの臨床例の多さから近隣諸国のみならず、先進国からも研修生が来ている(実際、私達の視察中にも、大阪大学から研修生がきていた)という実態=急成長ぶりに驚いた。また、患者さん達も、この病院が日本の援助によって建設されたということを知っており、学長自らテレビ等を通じての広報活動に力を入れているということであった。そして、維持管理費については、患者さんから医療費を徴収したり(もちろん私立に比べ安いが)卒業生からお金を集めたりと工夫しているということであったが、今後施設、機材の老朽化が進むにつれ、こういった問題が、課題となってくるであろう。
谷口 徹
 「日本に留学できる機会がもっとあればよい」スリランカで唯一の歯科医師養成機関で学ぶ大学生の声である。学生たちは、日本のODAの援助でこの大学と付属病院ができ、日本人の専門家などの指導を受けたことに対して感謝しながらも、さらに可能であれば高い技術を身につけるために日本に留学したいと考えている。
 日本の支援でできた病院であることをマスコミを通じて広報していること、医療技術が優れていることなどが功を奏して、患者さんが予想以上に多くなったそうである。患者さんたちが、病院の医療技術への信頼、医療費が無料という社会保障への安心からか、雑談することもなく廊下で穏やかに待っているのがとても印象に残った。
田崎 潤
 器具のメンテナンスや診察室の衛生環境、禁煙教育に問題点があると感じた。
 もし、実際に私が日本にこの技術レベルの高い歯医者があってもきっと通わないであろう。やや汚れている器具やマスクをしていない医者、清潔感のない診察室の様子を見ていると院内感染の心配がある。日本の基準をすべてに押しつけるのはよくないが、医療・教育などの面ではより進んだソフトを提供できる力が日本にはあるので人事交流を繰り返す中で、伝えて欲しい。
 また、禁煙教育の面では口腔ガンの頻発している地域を中心に啓発教育を実施しているようである。しかし実際に葉たばこを噛んでいる人の話を聞くと「自分の周りにガンになった人はいない」という意見が聞かれた。やはり幼いうちからの教育が大事であると感じた。ポスター、VTRなどでいかに危険なのかを危機感を持って教育を行って欲しい。
八幡 洋介
 スリランカではたった一つの国立歯科大学病院で、待合室には診察の順番を待つ患者で溢れ、この病院の信頼度の高さを感じた。
 低所得層の労働者の間に、紙たばこを石灰と混ぜてかむ習慣があり、それが原因と思われる口腔癌の発生率は、全ての癌発生率の約33%という非常に高いものであった。
 日本国内ではなかなか目に見えないODAの支援内容ではあるが、この病院では施設拡充や歯科治療器材の導入、メンテナンス、そして最先端の歯科治療技術の指導や諸外国から研修生の受け入れが行われ、患者の歯科治療や癌治療に大きく貢献し、スリランカ国民の命と健康を守り続けていたが、まだまだ病院施設や医療器材は日本の比ではなく、継続した支援が必要と思われた。
岡野 和子
 大学の歯学部・附属病院の役割と言える教育、医療サービス、研究の3つの分野が共に見事に実現されていると思った。病院には、予想していた以上に患者が多く、子どもから老人まで幅広く受診していた。口腔学すべてのセクションについて治療を行っており教職員や学生も多く、病院が手狭な感じがするほどだった。特に口腔がんについては、症例が多いこともあるが研究、治療が進んでいて世界的水準に達しているとのことで、日本からも研修医が来ていた。このプロジェクトにより、スリランカの口腔保健状況の向上はもとより、その成果が世界各国へ波及するまでに発展していた。院内各所に掲示していた口腔がん予防のポスターが印象的であった。
若林 加奈
 「The centre of excellence」と讃えられているペラデニア大学は、スリランカの最重要病院としての機能を果たしていたように感じた。スリランカの深刻な問題である口腔ガンに対して「早期発見」をモットーに、学部全体でポスターによる呼びかけや、講演活動を行い、積極的に啓発運動に力を入れていた姿が垣間見られた。(原因となる噛みタバコを嗜好している学生が、実際にいたことは皮肉な話であるが)
 また、どの診断・手術においても教授と学生がチームとなり、「次の世代を育てている」という印象を強く受けた。機械の老朽化による買い換えの問題などあったものの、日本の援助を、病院が自立していく次の段階へ繋げようとしている動きが見られた。
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