中華人民共和国 People's Republic of China

モニターからの意見・感想:

8. 北京市地下鉄建設計画(有償資金協力)

視察プロジェクト概要
実施年度
供与限度額
被供与団体等
【I期】
交換公文締結日(借款契約調印日):
1988年7月26日(1988年8月3日)
1989年5月16日(1989年5月23日)
供与限度額:計40億円
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【II期】
交換公文締結日(借款契約調印日):
1991年9月27日(1991年10月4日)
1992年10月6日(1992年10月15日)
1993年8月24日(1993年8月25日)
1995年1月13日(1995年1月13日)
計156.78億円
実施機関:北京市地下鉄総公司
実施目的
必要性
 本事業開始前の80年代後半、交通手段としてバスに大きく依存していた北京市において、乗用車、自転車の利用台数が大幅に増加したことから著しい交通渋滞が発生し、効率的な公共交通手段の確保による路面交通の混雑の緩和が急務であった。
事業概要  本事業は、北京市のメインストリートである北京市長安街を走る地下鉄1号線の一部である約13Kmの地下鉄建設(11の駅等を含む)及び車両174両の調達を行うものである。
効果
 路面交通の地下鉄への振替による潜在的な交通渋滞緩和効果のほか、
庶民の通勤、通学、買い物の足として、また中国のシンボルである天安門広場や故宮の足元を通る観光路線として利用されている。
 なお、本事業対象区間が全面開通した2000年以降、列車運行本数は432本/日、ピーク時運行間隔は3分となっている。
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モニターからの意見・感想
近藤 義男
 北京市の交通渋滞の緩和のため地下鉄が建設され、一号線の一部に日本の円借款が二期に渡って供与されたものである。説明では、現在の4路線を北京オリンピックまでには5路線増設するという意欲的な計画だった。現在は、資金は政府が国内外から調達し、建設は国際入札方式で決めている。日本からは車両や駅構内設備の一部を調達しており、今後も日本のODAを歓迎したいとのことであった。日本のODAについて、政府や地下鉄建設関係者は役割を果たしていることを知っているが、一般国民はあまり知らない。地下鉄開通式などでODAのことを宣伝したり、政府の新聞などで記事になったりはしている。これは「顔の見えない」ODAの例と思う。
渡辺 明春
 2008年に向け、地下鉄の大掛かりな工事を行うという。視察前日の中国青年報にも改修工事について記事が掲載されていた。説明ではさらに5本路線を新設するというが間に合うのかというのが正直な感想である。現地で見たイエローページにも4・5号線の2路線しか載っていなかった。またパラリンピックが開かれることや、日本でも施行されたハートビル法などから施設のバリアフリー化も求められる。現在、エレベーター、エスカレーター、スロープの不備が目立つ。有料トイレも2箇所あるだけだった。声の小さい人もみな普通に使うことができるインフラ整備であってほしい。今、北京は車の大渋滞がある。環境面からも地下鉄の果たす役割は大きい。
我妻 雄子
 中国の交通事情は、恐怖が先立つ。事故の数は相当なものだろう。経済社会基盤整備が急務を要することは、歩いているだけで感じる。地下鉄事業は広がって行くでしょう。
 地下鉄の内部も見学させてもらった。基本的に日本と考え方に違いを感じた。エスカレーターはない。トイレは工事現場にあるような簡易トイレで、それが有料。券売ももぎりも対面で女性であった。駅舎は立派なつくりで、電車も快適であったし、人も電車も、次々とやってくる。日本の機材が多く使われている説明もあって、安心感があった。さらに社会基盤整備をひろげ、国民が喜べるよう安全に発展してほしい。
 電車の中で他の女性メンバーとつり革につかまってしゃべっていたら、前に座っていた男性が席を詰めて私に座れと指差す。他のメンバーにはあっちがあいていると指差す。次の駅でこっちがあいたら席を詰めてくれて、他のメンバーにこっちに来いと指差す。日本語の我々に友好を表明してくれたのであった。
土井 謙次
 北京では今では地下鉄網が広がりつつあるが、初期に円借款で先駆けとなる路線を建設し、北京の発展に大きな役割を果たした。日本も新幹線や東名高速道路、愛知用水などを世界銀行などから多額の借金をして建設し、日本の高度経済成長に大きく貢献したが、返済を終えたのはわずか15年前に過ぎないことも含めて、日本国民はこの事実をあまり知らない。同様に、中国国民が北京の地下鉄がODA案件であることを知らないことは、ある程度やむを得ないだろう。
 近年、地下鉄はテロの標的になっている。北京五輪に備えて、安全対策や観光客の受け入れ態勢の強化、採算性の向上に、日本の技術協力が望まれる。
内記 和彦
 北京市は、自動車がどんどん増えており、道路の整備が増加する交通量に追いつかない状況で、交通渋滞がしばしば発生するとのことでした。こうした状況下で、予定される北京オリンピックへの対応や、今後の交通対策から地下鉄の整備は不可欠であるとのことでした。土地が広い中国とはいえ、都市における土地は限られており、地下鉄など公共交通機関の整備は確かに急務であると感じました。その整備に日本が手助けすることは有意義であると思いました。
 また、日本が資金支援を行うことで、日本の進んだ運行技術や安全対策も導入されているようであり、北京市民あるいは内外からの観光客に役立つものであると思いました。
茂木 幹夫
 自転車の波は自動車に代わり、車の渋滞はすさまじい状況である。試乗した地下鉄もほぼ満員で新たな足として定着していた。その点では、資金は有効に使われているといえるが、一部の資金だけを協力した日本の影はまったく見えなかった。たぶん、乗客はだれもその事実を知ってはいないだろう。外貨準備高の増大や過剰なほどに近代都市化を進める北京市の現状を考えると、統計的な数値としてだけ記録されるような資金協力は空しいものに思える。それでも、目的のはっきりした外交的な効果をねらったものであるなら、あえて必要性を否定はしないが、困った隣人に手を貸す精神からは区別して考える必要がある。大都市部のインフラ整備への資金協力を考え直す時期にきているのは確かなようだ。
田所 日出志
 交通量の増大による交通混雑、公共交通機関のバス依存、自動車、自転車の混合交通から交通事故の増加と路面混雑の緩和のために新たな公共交通機関として、円借款による地下鉄建設を行った。
 完成後は中心街の路面交通の混雑緩和に役立っており、安全で確実な移動が可能となったことからバス移動と比較し所要時間は半減した。しかし、残念なことに円借款が地下鉄建設や車両購入に役立っていることは殆ど知られていない。今や列車は市民生活の一部であり多くの人々が利用していることから援助効果は絶大である。実施機関の北京市地下鉄総公司には、利用者に対して円借款で実施した事実を広報してもらいたい。
横山 真弓
 中国で最初の地下鉄は、円借款によって建設された。1号線(今回視察)と13号線である。
 年を追うごとに利用者が増えているそうだが、上海の地下鉄と比べても、自動改札でない(1号線)・車内広告が少ない(広告スペースが効率よく活用されていない)・アナウンスが中国語のみ・扉の開閉に対する注意を促す言葉がないなど、まだ改善の余地はいくらでもあるように感じた。現在、2008年オリンピックに向けて、5路線(空港・オリンピック村建設予定地・市内中心部など)を建設中とのこと。2006年以降、外国人用表示・放送を整えていく予定だそうで、オリンピックが発展の契機になる様子は、ここでもよくわかった。
中森 薫
 北京地下鉄は、昨年の出張時に乗ってみたことがある。天安門東駅という中心地にもかかわらず、駅はがらんとして暗く車内も空いていた。北京の友人が言った。バスの数倍もする地下鉄にわざわざ乗るのは一部の人。
 しかし今回乗って驚いた。構内は明るく、車内は通勤時のラッシュであった。中国が刻々と変わっている現状をまさに体感し、出発前にメンバーに「きっとガラガラだよ」と豪語した自分を恥ずかしく思った。
 北京オリンピックまでわずか3年。あと5本の地下鉄をつくる計画だそうだが余裕は無い。各国が紐付き援助を申し出ている中、今こそ日本は従来の紐無し援助で協力すべきではないか。
藤井 美穂
 今回視察した案件で唯一コンスタンスに広報(看板、ステッカー、記念碑など)が行われていない案件であった。円借款が使われているのは、地下鉄全体の中の一部であることから、広報は開設の際の新聞掲載といった一時的なものに限られたという。看板や記念碑がどれだけの効果を生み出しているかは定かではないが、それでもODAが単なるボランティアではなく、国と国を介した外交ツールである以上、援助が関わった駅や一部の車両だけでもいい、何らかの形で人々に伝える努力をする必要性がある。渋滞が深刻な北京市の人々の足として日本の円借款が役立っているのに、使用している人たちは知りもしない、知るチャンスすらないのは、とても寂しいことだ。
水野 幸恵
 日本からの援助が使われているのは一部であり、特に日本が援助したことを示すような表示などはなかった。乗客はたぶんそれを知らないという話をされたが、新聞等ではとりあげられたりしているそうで感謝はされているようだ。乗った時間が朝だったからか、日本のラッシュとまでは言えないがかなりの混み具合であった。視察の帰りのバスが渋滞にはまってホテルまでかなり時間がかかったときには、帰りも地下鉄を使ったほうが早かったのでは?と思った。交通量がかなり多い北京ではこの地下鉄の存在は大きいといえる。サービスを改善してイメージアップし、利用客を増やす努力もしているらしい。この先オリンピックに向けて路線は増えるという。物資は日本から調達するとのことなのでその際には援助も必要になるであろう。この援助なら目立って、わかりやすいと思うので日本が援助しているということを、どこかで中国の一般市民にわかってもらえるような表示ができたらいいと思った。
林 義男
 北京を走る地下鉄1号線の一部が日本の協力でできたもので、中国で最も早く建設された地下鉄である。現在一日150万人の利用者があるという。道路は十数年前の北京とは比べ物にならない自動車の数で、この地下鉄の利用が路面交通の混雑の緩和に大きく寄与していることは確かである。ただ改札は人間の「もぎり」であり、車両内や構内での英語等の表示が不足しており、次回オリンピックを控え、外国人を含めた利用者の立場からみると改善すべき点もあると感じた。当局もテロ対策を含め検討し、準備をしていくとのことであった。路線や車両そのものだけでなく、運営の方法・技術等においても日本が協力できる部分があるのではないかと感じた。
菊池 敦
 1997年にこの路線を利用して、天安門広場を訪れたことがある。その当時は、その建設費用に円借款が用いられていたことは知らなかった。また、利用客もそれほど多い印象はなかったし、駅も薄暗くゴミが散乱し何となく近寄りがたかった記憶がある。
 今回およそ8年ぶりに利用してみて、乗降客がかなり増え、駅が明るく清潔になったと感じた。しかしながら、切符の販売・回収は相変わらず人の手で行われていた。例えば今後、こういった分野に日本の技術を導入することは大いに可能なことである。実際、円借款を受け建設された別の路線では、北京市内の地下鉄で唯一自動改札が設置されており、日本企業のものが採用されているそうだ。
 今後オリンピックの年までに新規に5路線建設され、その資金も国内外から調達するという。この件に関してはODAというよりももはやビジネスといった感がある。ここに新たに円借款を施すことは、それが日本企業の利益につながるとしてもODAの理念にはそぐわないのではないだろうか。
片原 恵美子
 渡航前、私は地下鉄に乗りたいと思っていた。ところが、地下鉄に乗る人は少ない。運賃が高いから、皆バスを利用するのだと聞いた。
 実際、地下鉄に乗ったら、たいへん混雑していた。車内放送で、英語での案内がないのは仕方ないと思う。しかし日本の環状線などのように、今どこにいるかの点滅表示や、次の駅の電光表示があるといいと思った。
 ここではシンボルマークは見あたらなかった。空港などと同様に、常に整備、拡張を続けるので、日本の円借款は一部であるとの認識だった。
 我々のこの日の行程は、行きは地下鉄、帰りは貸し切りバスだった。北京の路面交通はたいへん混雑していて、皆口を揃えて地下鉄で帰りたかったと言った。
岸 芙美子
 北京市内は高級車から三輪自動車まで様々な車が行きかい、日中になるといたるところで渋滞が起こり地下鉄の必要性を感じた。地下鉄内は日本のと比べると薄暗く、2008年にオリンピックが開催されるというには段差も多く、バリアフリーという課題があるように感じられた。ただ資金協力をするだけではなくこのような課題解決にも日中共に考えていかなくてはいけない。現在路線は4本、その内2本が日本からの有償資金で作られた。しかし利用者の大半はそのことを認知していないし、おそらく、観光で利用している各国の旅行者も同様の状況だろう。広報活動方法は様々だが北京市内ではある程度必要じゃないかと思う。一部ではあるが日中の政府間のズレから反日感情が高まる中、日本の支援の存在を広報することによって多少の誤解も解けるのではと考える。
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