中華人民共和国 People's Republic of China

モニターからの意見・感想:

6. 北京日本学研究センター拡充計画(無償資金協力)

視察プロジェクト概要
実施年度
供与限度額
被供与団体等
2001年度(E/N締結 2001年8月3日)
8.51億円
実施機関:北京外国語大学
実施目的
必要性
 北京日本学研究センター(以下「センター」)は、中国における日本語・日本研究、日本との交流に携わる人材の養成を目的として、国際交流基金及び中国教育部双方の協力により、1985年に設立された教育・研究機関である。(前身は1980年に創立された「日本語研修センター」)
 このセンターは、設立から今日に至るまで、日中双方の研究者の率直な意見交換、共同作業のもと様々な実績を積み重ねており、これまで修士課程修了者約300名、博士課程修了者約40名、日本語研修生約300名を排出し、中国における日本研究の中心的な役割を担っている。センターの卒業生は現在中国各地方の日本語教師などとして活躍している。しかしセンターは、北京外国語大学の第2教学楼内に1950年代に建設された建物を使用しているが老朽化著しく、また、中国で最も多く日本関係図書を所蔵する図書館の安全性にも不安があり、新施設の建設が強く求められていた。
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事業概要 センターの改築、付帯設備(机・椅子・書棚等)
効果
 日本語や日本文化を学ぶ学生のため自習室やコンピューター室、一般の方にも開かれた図書情報資料館、センターの活動を対外的に示す場としてのホールなどを備えた日本学研究の中核としてふさわしい施設が新たに建設され、中国における日本研究の充実、日本を理解する人材の育成、日中の知的交流の深化が期待される。
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モニターからの意見・感想
近藤 義男
 ここは中国における日本語・日本研究・日本との交流に携わる人材の育成において中心的な役割を担っている。我々が訪問した建物は2003年度に建設され、快適に学習や研究ができるようになっていた。多くの日本に関する図書や資料を収集・所蔵しており、辞書の編纂や中日対訳コーパスの開発、また、情報ネットワークの中心としての機能も果たしているとのことであった。卒業生や学生との懇談で、彼らが日本に興味を持ったのは、日本の大衆文化、特に漫画やアニメなどであったことが印象に残っている。ただ年々予算が減らされ、日本留学の人数や期間が短縮されていることは、日本に関心を持つ人材の育成の面から再考が必要ではないかと思った。
渡辺 明春
 日本人より日本を知っている。本学で人材育成、日本学研究、情報ネットワークに関わる方に持った第一印象である。月1回の研究会や 10月にはシンポジウムも開催する。大平学校を前身とする本学は、中日友好を担う逸材を数多く輩出している。教育、出版、メディア、JICA、JBICなどODAと関係する機関で働く卒業生も少なくない。日本留学経験を持つある方は「ODAを戦争への償いとみなす」社会科学院識者の意見に否定的であった。
 街の日本語熱は前より薄れた。しかし日系企業に勤めつつ「継続教育学院」で週2回午後、日本語検定試験2級を目指し学習している好学の士もいる。一部の反日報道だけを信じ、中国を一面的に見ないよう注意したい。
我妻 雄子
 日本人は鬼子であると、歴史の授業で人種差別を叩き込むなんて、中国ってあんまりひどすぎると思っている私です。
 日本を知りたいという健全で優秀な中国の若者に、日本について学んでもらうセンターです。日本と中国の架け橋になる、人材育成に結びついていく事業はこれからも展開していくでしょう。センターは明るい建物で、ところどころに日本の文化を感じるようなアイテムがあり、たくさんの本が並んでいました。日本の近代歴史の本は、私の地元の市立図書館よりずっと多かったです。
 それにしても中国のどこに行ってもトップの人は日本語が堪能でした。日本留学経験者です。そして話の中で、日本が大好きだと言っていたけれど、お世辞とは思えなかった。
それが印象深かった。
 自習をしていた女子大生に声をかけましたら、にっこり笑顔を返してくれました。心から平和を託したいと思いました。
土井 謙次
 日中の交流は人づくりから始まる。たとえば日本語教師といっても、単に日本語が話せるだけではなく、日本の歴史や文化、風土を学び、積極的に日本社会を理解しようとする人物がふさわしい。そうした日中友好の基盤づくりのためなら、無償資金協力としても納得できる。この北京日本学研究センターは、人材育成・日本学研修・情報ネットワークの場として中国における日本研究の中心的な役割を担い、毎年多くの人材を学校や企業に輩出してきた。ただ、対中ODA削減の影響は早くも表れ、日本から派遣される教師が減少しているという。人材育成には時間と経費がかかるので、長期的な視点に立って安定して進めてほしいものである。
内記 和彦
 相互の理解を深めるには、お互いを知ることが最も大切だと思います。こうした点から日本について理解を深めてもらうために設けられた、当該センターの果たした役割は大きかったと思いますし、今後も重要な役割を担っていくものと感じました。
 当該センターで、日本について学ぼうとした動機は、日本の文化に興味を持っていた、日本のアニメが好きだから、成り行きで等いろいろあるようでしたが、当該センターがあることで、日本についての理解者が増えていることは事実であり、整備をした意義は十分にあると思いました。岩手の生んだ「宮沢賢治」について、当該センターの卒業生の方とお話ができたことも有意義でした。
茂木 幹夫
 日本文化を紹介し、日本語教員を養成するための立派で充実した施設である。学生も教育環境に満足し、卒業生も各分野で活躍している。気になったのは女子大化しているのと予算の縮小により日本からの派遣教官の削減や学生全員の日本留学ができなくなっている点である。もちろん、全て丸抱えの生ぬるい学校運営があるなら努力や工夫を求める必要はあるが、年毎の予算枠が運営に影響を与えてはならない。また、留学については、一部自己負担の導入や奨学金の創設・拡充等を通じて、日本を理解する上で最も有効な手段である全員の日本留学を実現してほしい。また、男子学生を増やすには、より実務的な教育を組み入れたり、企業に協力を求めるなどの改革や工夫が必要と思われる。
田所 日出志
 北京市に於ける日本語や日本文化を学ぶ拠点となっており、2001年度に無償資金協力により北京外国語大学が実施機関となっている。
 教育・研究機関として、日本交流や研究に携わる人材養成のなかで、大学卒業生の受け入れなど、修士課程、博士課程の修了者や日本語研修生を輩出し、卒業生は中国各地で日本語教師など活躍している。反日感情から日中関係の改善や相互理解が求められるなかで、日中双方の研究者の率直な意見交換の場となっている。また、市民にも開放されているため、ODA活動のPR効果もある。
 この案件は、将来の日中関係を考えると必要不可欠で存在意義の大きさは計り知れない。
横山 真弓
 2003年、無償資金協力により建物と設備が最新のものに生まれ変わり、学生も教職員も恵まれた環境で学んでいる。建物内には、和書10万冊・中国書3万冊という中国最大の最新日本語文献が揃う日本研究の図書資料館もある。新旧両方の建物を見てきた卒業生からは、感謝の言葉があった。大平学校時代からの目標を達成し発展してきたセンターは、今後の日中相互理解にも役に立つ立派な教育研究機関であり、建物に見合った教育活動がなされていると確信できた。 
 卒業生の多くは、日本語能力・知識を活かした職場に勤務しているとのことで、日本を深く理解し、日中をつなぐ架け橋にもなる人材育成の続行と彼らの活動に期待している。
中森 薫
 ここ数年中国では、日本語よりも英語を習う人の方がはるかに増えている。日本人としては少し寂しいが、その意味でも本センターを盛り上げたい。
 学生および卒業生に聞いたところ、日本文化はテレビドラマで親しんだようである。山口百恵の赤いシリーズ、最近では松嶋菜々子が好きと言った。そうだ、ミーハーな私も韓流ドラマにはまり、韓国事情は随分調べて親近感を持っている。逆に、中国に関してはニュースくらいしか通常の情報源がないのだ。ぜひ日本のテレビで、中国のドラマを放映すべきである。
 生徒数は多くないが、日中文化交流のひとつの窓口としてもっと活用できると思う。
藤井 美穂
 日本語に関心を持った若い優秀な人材育成のため、設備の整った施設やより良い勉強環境作りに日本のODAが使われていることは、大いに結構なことだと思った。この日本語学研究センターで偶然出会った生徒たち5、6人に、日本語を学ぼうと思ったきっかけを聞いてみたら、全員が日本のアニメや漫画からであった。が、同じきっかけで日本語に関心を持った卒業生のキャリアは様々で、日系企業や日本政府機関で貢献している人も多々いる。語学をきっかけに、その国に関心を持つことは自然な流れであり、それをODAによってサポートする環境を整えることは、長期的にも日本の国益に繋がって来るだろう。質を落とさない形で、より多くの生徒の受け入れを進めていって欲しい。
水野 幸恵
 建物はとても立派であったと思う。一階にはお茶用の和室もあり日本にいるような気分であった。図書館にもたくさんの日本語の本が置かれ学生たちが勉強していた。ここで日本語を勉強した卒業生たちが今や、他の大学等で活躍しているという。ここで学ぶ院生の学費は無料であって、卒論のために日本に来るのも費用は日本側が負担しているというから驚いた。しかしここに入るのには倍率は高いらしく、それだけ本当にやる気がある生徒がこの施設を使って学んでくれていることはうれしいことである。当日の意見交換会には様々な分野で活躍している卒業生たちが来てくれて、流暢な日本語で会話ができて中国にいることを忘れてしまうくらいであった。メディアに流されてしまう時代の中、中国の学生が自発的に日本のことについて調べたり、研究できる施設は必要であると思うし、日中の友好関係にも大きく影響してくると思った。中国の方々も日本からの援助を最大限に生かせるように頑張っていると感じた。
林 義男
 このセンターは、日本語をはじめ日本の社会や文化を含めた日本研究の中国における中心であり、日本を理解して日本との交流などに関わる人材を育成している。日本のODAにより新しく建設された新センターはその目的にふさわしいものであった。
 センターを卒業された方々のお話を聞くと、彼らが大学の日本語教師や人民日報社、JICAの現地スタッフ、その他日本研究者、中国の政府機関、現地日本企業などに就職し、それらの仕事をしてゆく上でこのセンターでの研究がいかに役に立っているかがよくわかった。将来の日中関係を築いていく上で、このセンターへの援助はまさしく日本にとって有効な援助であると感じた。
菊池 敦
 北京の日本大使館を訪れたとき、入り口のドアのガラスに大きなひびが入ったままであるのを目の当たりにした。今年4月にあった反日デモの際の投石によるものである。当時その報道にあたって、多くのメディアは相互理解の不足をその要因の1つとして挙げていた。
 北京日本学研究センターは、日中の相互理解を深める場として機能していくように感じた。このセンターでは日本語教育のみならず日本文学・文化や日本社会・経済といった専攻領域を設けている。卒業生も在中国の日本政府機関や企業、また中国国内の高等教育機関やマスコミといった分野で活躍しているという。
 教育は即座にその効果が現れるものではないが、ここから輩出された人材が中国国内各地で日本との架け橋になり、よりよい両国関係を築く礎になってくれることを願う。センター拡充への支援の評価にはまだ時間が必要であろう。
片原 恵美子
 施設の建設と机、椅子、書棚等に8.51億円供与された。建物、付帯設備とも立派だった。特に建物は新しくて居心地がいい。私のいる職員室は、冷房も扇風機もないので、いいなぁと思った。ここで学ぶ人たちにふさわしい立派な建物だと思った。
 センターの卒業生は次のように語った。
 新しいセンターはいい。教室が広く、机も小さいのが改善された。これまで先輩は寮の自分の部屋などで勉強していて、いろいろと尋ねたり教えてもらう機会が少なかった。それが新しくなると、先輩も環境のよいセンターに足を運ぶだろうから、後輩は助言を受ける機会を得られるであろう。
 施設の老朽化によるデメリットが改善されて、本来の教育機関の姿を取り戻したようだ。
岸 芙美子
 正直、久々に「学ぶことの楽しさ」が学生から伝わってきた。彼らは半年から1年の日本での留学研修から自分の目で日本を見ている。反日感情が話題になる中、彼らは冷静に日本を見ていた。日本を理解する人材の育成、日中の知的交流の深化を目的とするこのセンターで学ぶ現役学生は自分と同じように日本語を学ぶ学生の日本語教師になりたいと話してくれた。勿論彼女の夢は素晴らしいものだ。自分の専門分野を更に研究し伝えるのだから相当な努力をしていくのだろう。しかし、私個人的な意見だと、彼らのように恵まれた環境の人たちの間だけで研究が広がって行くのではなく、学びたくても方法すら分からない人にも日本語を伝えていってほしい。日本には中国語を母語とし、慣れない生活の中で一生懸命生きている子供たちが大勢いる。彼らの為にも日中の文化を知るセンターの学生によって文学や歴史と共にコミュニケーションの手段としての日本語も広め日中の掛橋になってほしい。これこそがODAの目的でもある真の日中友好に繋がっていくのではないかと考える。
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