中華人民共和国 People's Republic of China

モニターからの意見・感想:

5. 甘粛省植林植草計画(有償資金協力)

視察プロジェクト概要
実施年度
供与限度額
被供与団体等
交換公文締結日(借款契約調印日):
2003年3月28日(2003年3月31日)
124億円
実施機関:甘粛省人民政府
イメージ
実施目的
必要性
 甘粛省の全省面積の75%が乾燥地または半乾燥地で、1949年当時の森林率は約2.6%と全国最低レベルであった。このため長らく植林植草が重点課題の一つであった。1996年から2000年には合計160万ヘクタールの植林植草が行われ、1999年には森林率9.0%に到達していたが、継続的な砂漠化防止努力が必要と判断され、中国の自然環境保全の総合計画である「全国生態環境建設計画」(1999年制定)でも甘粛省での砂漠化防止が2010年までの重点の一つとして定められた。甘粛省が自ら策定した省レベルの計画においても第10次5ヵ年計画(2001-2005)期間、植林植草は引き続き重点課題であり、5年間に175ヘクタールの植栽が計画されている。
 本事業の実施地域は降雨量が少ない過酷な自然条件に加え、水資源の浪費、森林の過度の伐採、開拓等の人的要因が加わった結果、砂漠化が進み、植生被覆(注)も著しく損なわれている。砂漠が灌漑区や人家等に接近して民生を脅かしており、こうした砂漠化を防止するため、植林植草の事業を実施する必要性が高い。
(注)植生被覆:地面を上から垂直に見た場合に木及び草が地面を覆っている比率。
イメージ
イメージ
事業概要 本事業は、甘粛省河西回廊地区で、植林および植草を行うものである。
効果
 本事業は、甘粛省河西回廊地区で植林及び植草を行うことで同地域の植生被覆の増加ならびに、同地域での砂漠化防止により生活環境及び自然環境の改善をはかるものである。
イメージ イメージ イメージ
ページトップへ戻る

モニターからの意見・感想
近藤 義男
 ホテルでは、朝早く爆竹やバスのクラクションの音で起きてしまった、葬式があったそうだ。現地に向かうバスの中でJBICの松田さんがODAについて話をしてくれた、「円借款は顔が見えないが相手との信頼関係が重要、大切な議論はその場でする」等。現場で働く方の熱意がこちらに伝わってくる。
 日中共同で植林をした後、「草方格」という中国が開発した、砂の移動を止める工法の実演を見せてもらった。これを現地の人を雇って計画的に実施し、その後乾燥に耐える植物を植えて緑化をし、最後には棗・葡萄など経済林を植えるそうだ。このような中国の国家プロジェクトに合致した日本の協力は、黄砂の飛来を止めることにも貢献すると思う。
渡辺 明春
 始めての植林。水が少なくても育ちやすい楡を植えた。古浪県はかつて沙漠であり日本の資金協力により、玉蜀黍、葡萄などが栽培されるようになった。大学を卒業後、2年前に退職されるまで35年にわたり植林事業に取り組んでこられた李さんと話をする。まず草方格という麦わらを使った四角形の囲いで沙漠を固定する。その際、風上から作業していく。またヤギに草を食べられないよう有刺鉄線を張り巡らす。そのおびただしい労働量は想像の域を超えている。低灌木として性病に効く苦豆という漢方薬を植えていた。こんな所にも中国人の「生きる執念」を感じる。沙漠の道端に山積みされたゴミもあり余るエネルギーの現われ?と思うのは私だけなのか?
我妻 雄子
 砂漠化が進み、かつては畑だった所が今は砂漠であり、年間5~6km砂漠化が進んでいるという説明であった。砂漠化防止でもあり緑化推進にもなるわけだが、1本1本人の手で植栽されている。砂漠化の一つの原因にもなっている羊などの放牧もやめるわけにはいかない。そのため、道路に沿って杭が打ってあり進入防止柵がしてある。痛し痒しで生活しているわけだ。この過酷な環境で生き抜く知恵や技術は、天から見れば蟻の行列にも匹敵しないようなものだろう。誰の土地などと線があるわけでもないのだが、この苦労が子孫につながって、やり甲斐や生き甲斐になってほしいと願わずにはいられない。ここに生まれ生きていかねばならない人たちが、政府と手を携えて苦労を共にし、開拓してこそ国力になる、と感じました。
 それにしても元気な現地に住む人々。家族が助け合い、自然とともに生き、また楽しみをつくり、うらやましささえ感じました。
土井 謙次
 砂漠緑化という目的は共通しているが、前日の事業が大型灌漑であったのに対して、今回は人海戦術に頼る事業である。草方格という技術で沙漠の移動を防ぎ、一本ずつ植林する。井戸を掘り、根付くまでは灌水する。さらに山羊が入らないような有刺鉄線を張り、植物を守る。円借款返済のために、商品作物であるブドウを栽培する。これらには多くの人手と資金を必要とするが、それほど沙漠を緑に変えることは難しいのである。しかし、大型灌漑事業で述べたように、沙漠緑化には全人類的な価値がある。こうした分野には、技術協力を含め、今後も日本のODAが必要だ。
 次に黄砂が日本に来た時には、中国で沙漠の緑化に努力する人々を思い起こしたい。
内記 和彦
 見渡す限りの砂漠を緑化、植林しようとしている取り組みを目にし驚きました。
 私の住む沢内村は、村の9割近くが森林でかつて林業は村の主要産業のひとつでした。それが、今では衰退し、高率の補助制度があるにもかかわらず、自己負担分の負担もままならないことから、林家は山へ新たに投資しよう、つまり木を植え育てようという意欲は無くなっています。
 日本は降水量が豊富で、下刈り等の手入れは必要ですが植えれば育つ状況です。中国では沙漠の移動を防止し、水を引きといった非常に手間の掛かる状況下にありながら、低利率とはいえ、お金を借りて草木を育てようとしていることは立派であると感じました。
茂木 幹夫
 砂漠化の進行は地球的課題であり、その潅漑、植林、植草は、人々の定着化と生活基盤を築く目的とは別に地球環境保全の一面も合わせ持っている。対象地域は広大で日本だけの協力で進めるのは容易でなく、また、有償資金協力での実施にも違和感を覚える。たとえ、将来大規模に農地化が進んでも、厳しい自然環境は同じである。トウモロコシ、ブドウ等の栽培によって生活基盤は確保できても、そこからあがる収益で資金を返還することなどまず不可能であろう。また、着手したからには、あくなき挑戦を続けないと直ぐに元の砂漠に戻ってしまう。国際的な無償資金協力体制の構築、技術協力とボランティアの動員、機械化の推進等の他に、CO2排出権取引の対象にするなど永続的に資金を補えるような工夫が必要である。
田所 日出志
 甘粛省は大半が半乾燥地で耕地面積が少ないことから、灌漑設備や緑化に積極的に取り組んでいる。古浪県では円借款による植生被覆の増加のための砂漠化防止であった。
 砂漠化の防止は、中国政府が継続的に実施していた事業を一気に完了したいと言う甘粛省人民政府の強い意向で、2001年度から実施している。風による砂地の移動を抑えながら乾燥に耐えるアカシアなどの低木の植栽と植草を行っていた。課題は活着率の低さや羊などによる草木への影響であるが、視察を行った植栽地は完成目途が立ったモデル地である。事業費は人件費率が高く地域への貢献度は評価されるが、技法も確立されており中国政府が円借款に関係なく積極的に取り組むべき案件と思えた。
横山 真弓
 甘粛省は、工業が発展せず、農地が15%しかない、中国でも3番目に貧しい地域である。
 植林・植草地区では、草方格(ワラで正方形の囲みを作る)を作って砂の流動を止めて地下水を貯め、潅木を植え、3年で自然にまかせるという植林方法がとられていた。植えられた植物の成長率は90%近くに達し、現在は目標を上回るペース・規模で展開されている。そのおかげで2、3年前から降雨量も増え、白茨・カレマメといった天然の草も生えるようになったと聞いた。継続可能な自助努力が実り、彼らの生活に役立っていることは、素晴らしいと感じた。今後も、緑化が進み、貧困から脱することができるように、頑張っていってほしい。
中森 薫
 植林は砂漠化防止の為に必須であり、今日の視察は理解が楽と思った。ひとつ引っ掛かったのは、元は緑豊かな土地であったが、中世戦国時代に荒れ果ててしまったという。人為的要素が強い砂漠化なのである。
 セレモニーではあったが、私達も植林を行わせてもらった。砂は意外と重い。バケツ一杯の水をかけ、これは1カ月持つという。にわかには信じがたいが、耐乾燥の木なのだ。
 8,000haもの土地をバスで回り、ところどころ緑がある場所がこうやって1本1本植えたところ。人間が大昔、戦争で一瞬にして荒らした土地を、長い年月かけて再生する。中国全土には再生不可能な土地もあろうが、植えた木が育ったかまた見に行ってみたい。
藤井 美穂
 如何に日本という国が水資源に富んだ国であるかを痛感させられる案件である。懸命な植林植草事業によって、小さなブドウの実が砂漠の真ん中で栽培されているのを見ると、深く感銘をうけずにはいられなかった。円借款の場合、広報費が日本側から提供される無償や技術協力とは異なり、日本のODA広報のための看板や記念碑は中国側の予算によって建てられる。この案件には、あらゆるところに日本の援助を示す日本語と中国語の立派な記念碑や看板が見られた。日本からの押し付けではなく、中国側が自発的に多くの記念碑を建ててくれたことは、純粋に喜ばしく思う。あの土地で農作業などを行う人たちは、間違いなく目に留めるのではないだろうか。
水野 幸恵
 こんなに降ったのは今年初というくらいの雨が前日に降ったため、砂漠とはいえ表面は少し湿っていて歩きやすかった。とはいえ、雨量は日本に比べればほんのわずかで、暑さも厳しかった。思っていたより緑が多かったのには驚いた。低い草ばかりか木も育っていて、とうもろこし畑、ぶどう園まであった。しかしこれもここ最近のことでほんの5年前は緑のない砂漠であったという。砂漠は動くらしく、砂が広がらないように1m四方の枠をわらで囲っていき、砂漠化を防いでいるらしい。かなりの領域がそうされていたが、全てが手作業でかなりの苦労であったろうと思えた。中国側の手によって日本からの借款で事業が行われているということを示す大きな看板がいくつか立ててあった。彼らなりに日本の援助に対する感謝の意を表してくれていて、こちらもありがたく思った。
林 義男
 想像できないような“乾燥”という厳しい自然の中で生きる人々を支援する、まさに支援をするべき案件であった。河西回廊地区は降雨量180mm、蒸発量2000mm。民生を脅かす砂漠化を防ぐための植林・植草を行う事業が、国家や省レベルでの重点目標として実施されてきた。しかし広大な砂漠に緑がやっと点在しているという状況は継続した植林・植草がどうしても必要であると感じた。計画通りいけばあと三~五年で流動化している砂漠がなくなるとの甘粛の担当者の話だが、砂が移動しないよう麦わらで一m四方を囲んでそれをいくつもつなげて山なつめなどを植えていく作業は、まだまだ地道な努力とさらなる日本の知見などの必要性を感じる案件であった。
菊池 敦
 標高1500M程のこの地は、かつては草木の生えぬ不毛の地だったことが容易に想像できた。そこにこの事業によって、緑の息吹が感じられる区画ができていた。
 砂漠の拡張を防止し、固定化を図るため1M四方にわらを敷き詰める「草方格」という手法が用いられていた。これを1日、1ha設置するのに60人必要だそうだ。また、今までに500万本植林を行い、その生存率も87%に達しているという。
 砂漠化防止、植林植草は長い年月を要するであろう。甘粛省の人口2600万のうち、1日1USドル以下で生活している人は実に1000万にも及ぶという。中国でも3番目に貧しい省だそうだ。年間降水量が50mm未満の土地もあり、農地はわずかに15%に過ぎない。こういった現実を考えると、この地域での生活環境改善は不可欠であり、そこに日本のODAの資金協力を施すことは妥当だと感じた。
片原 恵美子
 ここは片道、車で2時間近くかかり、たいへん遠かった。つまりこのようなところにまで日本の資金が行き渡っている。そしてバスで移動できないところを、普通の車数台を使って移動した。
 着いたところは砂漠だったが、地面に草や低木がポツポツ見られた。木を植えるのにスコップで掘ると、地表から20センチくらい下は茶色い土がさらさらしていた。これこそ掘った者にしかわからない。
 この事業はいくつかの項目に分かれている。印象的だったのは経済林である。日本から借りたお金は返さなければいけない。だからブドウを植えて作物を収穫しようというわけだ。
 最後に、砂漠は動くということに気づいた。昔は道路の反対側も畑だったが、砂漠が押し寄せてきたという話を聞いた。
岸 芙美子
 砂漠地帯は年々移動し灌漑区や人家に接近し人々の暮らしを脅かしている。植林事業に携わる現地の人は年間計画目標を持ち、目標数は全て早期に達成されている。植林作業は現地の農家の人たちの農作業の合間の期間を利用し、1日30元で約2ヵ月住み込みで行われる。少量の降雨量の中での作業は容易なものではない。しかし、水を求め、緑を求め、仕事を求めた彼らは一生懸命働いているという。JICA畑地灌漑専門家の松岡さんの「甘粛省のスタッフは目標を持てばその目標に向かい全力の努力を尽くす。」という言葉を実感した。そこでの昼食は現地の食材が多く使われていた。その中でも特に印象的だったのは素朴な味の蒸したとうもろこしだ。その味は降雨量も少なく強い日差しの砂漠の中、涼しいバスで冷えた水を無意識に飲んでいる私には意識していなかった人間の本来の力、地球の味が感じられた。このとうもろこしの味を守るためにも同じ地球人として、たまたま砂漠を抱える中国に対してのこのプロジェクト協力は必要だと感じた。
ページトップへ戻る

モニターからの意見・感想:
Copyright (C) 2005 JAPAN Official Development Assistance, All Rights Reserved