中華人民共和国 People's Republic of China

モニターからの意見・感想:

4. 大型灌漑区節水かんがいモデル計画(景泰川灌漑区)(技術協力)

視察プロジェクト概要
実施年度
投入実績
供与限度額
研修員受け入れ
被供与団体等
2001年6月1日~2006年5月31日
(E/N署名日 2001年2月23日)
専門家派遣:長期専門家7人、短期専門家9人
機材供与:2.3億円
28人
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実施機関:水利部(国際合作与科学技術司、農村水利司、中国灌漑配水発展中心)
実施目的
必要性
 中国の人口増加および社会経済の急激な発展、特に90年代からの改革開放政策に基づく社会経済システムの急激な改革推進により工業用水が急速に増加してきた。地下水の急速な枯渇問題等環境の悪化を引き起こしており、中国社会経済の持続的発展の甚大な制約要因となっている。一方、中国国内では改革開放以来の地域・産業間の経済格差の拡大に伴い、貧困層及び地域に対する所得向上・開発促進が緊急の課題となっている。更に長期的には中国の人口が2030年前後に16億人に達する見込みの中で、食料の安定供給、社会経済の持続可能な発展や生態環境保全のために水資源の確保が益々重大な問題としてクローズアップされてきている。 イメージ
事業概要  中国政府は1999年に全国20の大型灌漑区モデル地区において、施設更新改良のための計画設計等の事業計画を策定し、合理的・計画的な節水灌漑事業の促進を図るためのプロジェクト方式技術協力をわが国に要請してきた。
 景泰川電力堤灌漑区は、プロジェクトに3ヶ所ある重点モデル灌漑区のうちの1つであり、甘粛省の東南に位置する景泰県にある畑地灌漑地区で、黄河を水源とし約2万haの農地を灌漑。本事業では節水灌漑技術を確立するため、ポンプ、ゲートの遠隔監視・遠隔手動操作施設等のハードの整備と配水計画策定の手法を見直しし、農家の節水意識を向上させるための普及活動等のソフト面での活動を合わせて実施。
効果
重点モデル灌漑区において灌漑効率、水利用効率が向上する。
モデル灌漑区において適切な節水かんがい改良計画が作成される。
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モニターからの意見・感想
近藤 義男
 合理的・計画的な節水灌漑事業の促進を図るため、2001年より景泰川電力堤灌漑区2万ヘクタールをモデル地区にして、日本が技術協力をしている。
具体的には流量計、ポンプ・ゲートの遠隔監視・操作施設等設置のハード面と、配水計画の策定や農家への節水意識の普及活動等を実施するソフト面で専門家を派遣し協力をしている。現在は情報化・集中化など高度な水の利用の仕方や、今後中国側が自分達で成果を生かせるようソフト面での協力を重視しているとのこと。用水路の見学をしている時、地元の婦人が、「今年初めてこの土地にトウモロコシの種をまく」と嬉しそうに語っていたことが印象に残っている。
渡辺 明春
 農水省派遣の松岡専門家から42年間で降水量、相対湿度は増え、平均風速、強風日数、蒸発散量は減少したという「自然との長期的取組みの成果」を伺った。ここでの専門家の役割は5年間の技術協力により、既存のハードを最大限生かす魂の交流である。現地農民用の啓発書も作成されている。「不毛の土地に作物が育つ」現地の農民が笑顔で語るのを直に聞けたことは何よりであった。さらにもう一歩踏み込んで、彼らの今、今後について忌憚のない話し合いができればよかった。
 天も憎らしい演出をする。我々に合わせたのか?今年初めての恵みの雨である。降雨量の18倍はある蒸発散量の町で感慨に耽り、シャワーを使わなかったのはいうまでもない。
我妻 雄子
 昔、歴史で習った黄河の水はまさに黄土色に濁っていたが、目の前に悠々と流れていた。三国志の故郷と聞けば、感慨深い。
 砂漠を移動しながら車中で概要を説明していただいたが、現地を見なければちょっとつかみにくいほど、スケールが大きい、というのが私の感想です。モデル事業としてうまくいってほしいものです。 
 生きとし生けるものは水が必要です。砂漠に生きる民人や動物・植物に、水をお届けするプロジェクト。400mの高低差。水をポンプアップして、砂漠の中をえんえんと引っ張って、青々ととうもろこしや葡萄を育て、町が出来た。そこで私たちは、生きる希望を得た住民の感謝の声を、生で聞くことが出来ました。
日本から行っている若き技術者の熱い思い。日中友好に架け橋にならんと飛び回る関係者。砂漠はさらに熱かったです。
土井 謙次
 飛行機から見た中国中央部の光景は、一面の赤茶けた殺伐たる沙漠の世界。生命を全く感じさせない光景には、少なからずショックを受けた。
 灌漑施設を造り沙漠を緑に変えること、それにより放牧民を定住させ雇用を確保し、食糧を増産させ、長期的にはCO2の減少・降水量の増加につながるなど、灌漑事業は地球環境への貢献度がきわめて高い。ここでは中国の資金に加え、導水路を円借款で造り、機材を無償供与し、そして技術協力で専門家を派遣するという、3つの支援を有機的にからめて効果を何倍も高めている。農村の老婆が導水路に感謝していたことは特に印象的だった。こうしたプロジェクトは、これからのODAのモデルとなろう。
内記 和彦
 想像を遙に越える事業規模に驚きました。黄河の水を利用し、広大な沙漠を緑化するという遠大な事業に、日本の技術が活かされるよう専門家が派遣されていることは有意義なことだと思いました。農家は水を得ることで農産物の生産を拡大することができ、生活の向上に結びつく。また、緑化が進むことで沙漠の拡大に歯止めがかけられ、地球温暖化の防止など地球環境の改善に役立つすばらしいプロジェクトであると感じました。
 中国政府としては、できるだけ自力でこの事業を進めたいとのことでしたが、進んだ日本の水管理技術、節水技術を学び、導入を図ることで、より効果を高めたいとしており、日本の支援の必要性を感じたたところです。
茂木 幹夫
 古い潅漑設備に、技術協力により遠隔監視操作方式が組み入れられ、貴重な水を有効に使えるように改修された。このシステムの構築には物だけでなく専門家の人としての協力が深く関わっているため、その成果はシステムだけにとどまらず、関係する人々の心にも深く刻まれているように感じる。技術協力はその点で最も望ましい協力形態であると思う。あえて、注文を付けるなら、ODAのシールが各所に貼ってあったが、中国の一般の人々にはわかりにくく、日本国旗が連想される図柄は中国人にとって好ましいものに映るとも思えない。誰が見ても理解でき、親しみのわく日中が手をとりあっているような漫画的な図柄の(ODAマークは小さく控えめ)ものに変えることはできないだろうか。
田所 日出志
 技術協力のプロジェクトとして、JICAが実施する重点モデル灌漑区である景泰川電力提灌漑区を視察した。中国政府は、36年前から内陸部の広大な乾燥地帯に対し黄河からの揚水に依存しており、専門家の派遣による技術協力が効率的な水資源管理の運営と協力体制にある。普及可能な節水灌漑技術の確立こそが貧困層からの脱却に繋がり、貢献度の高さを実感した。ゲートの遠隔監視・遠隔手動操作施設を訪れた際、地元のお婆さんに農地灌漑事業に対する感想を直接聞くことが出来た。「水が来て生活で何が変わりましたか」と聞いたところ、「今年初めて作付けをしたが思った以上に作物が出来た」と言う笑顔に、貧しさの中にも将来の希望を感じた。
横山 真弓
 甘粛省は砂漠の中に町や農村が点々としている地域である。 
 景泰川電力灌漑区は、すべての作業が集中コントロールされており、遠隔監視・遠隔手動操作で行われている。黄河から取水された水は、生活区域・農業区域まではパイプや水路を通って水が運ばれる。今はまだ、生活優先で、環境保全までは手が回らないということだった。JICAの専門家松岡さんが語った中に、「人間はどこまで手を加えればいいのか。自然は自然のままでいいのか・・・。自然相手は時間をかけて行わなくてはならない」という言葉があった。自然と人間の共存・生活環境改善は、一言では語れない難しさがあるということを感じた。管理人・農民向けの節水灌漑知識普及説明会や研修を行い、水の大切さも理解してもらうように努力をしている専門家の働く姿勢に影響を受け、その活動に感謝しているという言葉を現地の担当者から何度も聞けたことは、大変ありがたかった。
中森 薫
 巨大プロジェクトである。70km先の黄河から数100mも高位を上げながら、農業用水を持ってくるのである。技術的には非常に意味がある。
 しかし元々この土地は農地でなく農民も住んでいなかったそうだ。今は、この先の山々にいた遊牧民が定住させられて農業を行っているとのこと。なるほど節水教育も必要であるわけである。
 本プロジェクトは来年で終了するが、悪環境ゆえ設備の老朽化も早く、その後の維持費も相当らしい。収穫量と水コスト費の収支は得ていないが、赤字であることは容易に想像できる。
 何のための開発か?元遊牧民は幸せなのか?またまた余計なこと?を考えてしまい、援助の意味について引き続き悩む。
藤井 美穂
 水資源の豊富な日本では、普段から特別に気にする必要のない「水」であるが、ここでは水の確保が生活に大きな影響をもたらしている。日本の技術である巨大なポンプによって黄河の水が高地へ送られ、その土地に変化をもたらしていることは、区切られた場所にのみ点在するなんとも不思議な畑たちから感じることが出来た。偶然出会うことが出来た地元の農民から「水が来るようになって、今年はここにトウモロコシ畑を作ることができたよ」という純粋に声を聞くことが出来、最終受益者まで日本の援助が行き届いていることを喜ばしく思った。と同時に、この現場と日本国内における対中ODA論争との乖離を感じた。このような声をもっと積極的に日本国民に伝える必要性があるのではないだろうか。
水野 幸恵
 水のない生活など私たち日本人には想像できず、耐えがたいものであろう。しかしこの地域はほとんど雨が降らず、乾燥していて回りは砂漠であり、水が自由に使えないところであった。そんな中、緑を見ることができたのはこの計画があってのことだと思う。この計画は1969年から中国が独自で始めたものであったが、2001年から日本が技術的な面で援助を始めたというが、もともと中国側のプロジェクトであったからか中国側のがんばりで日本側は援助がしやすいという話であった。偶然にも現地の人と話す機会に恵まれ、水路ができてからの話を聞くと、後ろにあったトウモロコシ畑を指して、水路のおかげでこの畑ができたとうれしそうに語ってくれた。それだけでもよかったと思えたが、横で流れていたのは茶色い泥水で、蚊もたくさんわいていた。それを見ていたら、やはり素直に喜べなかった。中国国内の貧富の差を知らされた。
林 義男
 緑のない広漠とした土地に、70km離れた黄河から延々と水を引き、十数個のポンプを使い水面より400m上に水を引き上げて各農家などに供給する。年間降雨量180mm程度、蒸発量は約1700mmほど。その水資源の少なさとそれがゆえに壮大なスケールにならざるを得ないこのプロジェクトに圧倒された。日本から派遣された専門家は機材供与を含め、より効率的に水を運び、配分するための技術や電子系統の技術協力を献身的に行っていた。かつては人力で行っていたゲートの監視や流量測定などを遠隔操作でしかも正確に行うことが可能になり、中国の担当者も感謝していた。所得向上が課題のこの地域であるが、生活の基盤作りのために必要な支援であると感じた。
菊池 敦
 中国政府が策定した事業を、日本がその運用性を高めるために技術支援や機材の提供を行ったプロジェクトであり、対中ODAの今後の方向性を示すものだと感じた。
 その理由として以下の3点が挙げられる。
1.経済効果 この事業により、地域の人々は日々の生活用水を得ると同時に農業・畜産用水も得ることができ、食糧生産量も増加している。
2.社会的効果 事業実施前は、砂漠や丘陵であったこの地域がオアシスとなり、人々が定住するようになり街が形成され発展してきた。
3.生態環境効果 用水路により農地が拡がり、また平行して行われている植林によっても緑化率が向上している。それによって降水量の増加や蒸発散量の減少がみられ、砂漠化を防いでいる。
 さらに、使う側の視点に立ち、人材育成にも力を入れ中国全土へ普及できる技術の確立を目指している点も大いに評価できる。
片原 恵美子
 概要説明を受けた後、最初は中央管理所の遠隔監視のコンピュータを見た。JICAのマークが貼られ、主要部分に日本の援助がなされていると思った。次に水路を追って、ポンプ場へ行った。ここでもマークの付いたパソコンが遠隔監視に一役買っていた。
 黄河を挟んで向こう岸は畑が青々していた。一方、こちらはポンプで水を上に上げ、高度の高い地域へひたすら水を送るのである。再び水路に沿って町に戻った。途中、分岐点であるゲートで、流量測定の装置を確認した。
 そこで出くわしたおばあさんが、この灌漑設備のおかげで、今年初めて畑に作物ができたと言った。この人たちにJICAのシンボルマークは理解できないかもしれないが、事業は確実に人々の役に立っていた。
岸 芙美子
 JICAの技術協力によって壮大なスケールの中プロジェクトが進んでいた。中国の一人当り水質資源は世界平均の4分の1にしか満たない。更に人口増加と伴って水不足は深刻な問題でもある。ここでは黄河から約400m上の土地まで巨大ポンプでくみ上げ畑地灌漑区に水を流していた。また、ただ流すのではなく農地の人たちに節水についてのパンフレットを配布する活動も行われている。このプロジェクトによって緑が育ち、その緑によって降水量が増え、人の活気が戻ってきた。だがせっかく中国まで来たのだからデータだけではなく、生の声も聞いてみたくなった。ODAは発展途上国を相手に平和と安全に貢献することを目的としているが、その最終地点でもある利用者の声を知らない限り成果を把握することはできない。たまたま視察途中、トウモロコシ畑で老婆と子どもに出会った。彼女は「今年初めて水が通りトウモロコシを育てることができた。とても嬉しい」と微笑んでくれた。首都北京から遥か遠く離れた景泰県には水を必要とし、ODAを必要とした人が大勢いることを実感した。
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