同国の多数の重要遺跡群を研究する同博物館は、研究機材の老朽化により質の高い記録・保存や復元作業等は困難であった。考古学関連機材の供与により高レベルの研究成果を上げ、学術交流を促進することが期待される。また、アクアリンカ足跡博物館は、同敷地内で発見された6,500年前の人間の足跡遺跡保護と一般公開を目的として創設され、博物館の展示機能の改良と共に研究機能整備協力が要請された。








  森脇 三郎 ………………………………………………………………千葉県
   6,500年前の人の足跡が、偶然発見され、その保全のために草の根無償資金協力が行われている。文化財保護のためにここでは地下5m程度の人の足跡発見部に、屋根をかけ、水の侵入を防止する堤をつくり、盗難よけの為、周辺に壁を設け、更に考古学に必要な機器をODA資金により日本が提供した。
 それぞれに、日本からの援助によるものである事を明示し、明らかに日本のODAによるものである事が訪れる人には解るが、資金提供だけで、日本の考古学関係者との連携がなく、日本とニカラグアの文化の共有というには至っていない。資金の提供だけにすぎず、人的な貢献もセットにしたODA活動が必要であると思われる。




  栗原 巧  …………………………………………………………………千葉県
 

[アカウアリンカ足跡博物館] 
 はじめに、先人の生活の痕跡だと思っていたのだが、本当に“足跡”であった事に妙に感心させられた。この地は、やはり日本のODAで中学校建設の予定があったが、足跡の発見により保存が決定された。3つの現場に渡って足跡が続いている訳だが、それぞれに立派な屋根天井、照明、落下防止柵、見学ルートが設けられており、来訪者には利用し易い環境に思えたが、見学箇所のみの整備であり、雨天時の移動や横なぶりの時はズブ濡れになる覚悟が要ると思った。
[ニカラグア国立博物館機材供与] 
 日本の博物館とは異なり、狭い一室であったが内容は充実していた様に思う。人骨の推定年齢や時代、性別など事細かに調査されて説明して頂いた。また、発掘作業時の撮影テープも拝見し、これらに日本の技術が生かされている事を実感出来た。この様なしっかりと確立された博物館により、国民をはじめ歴史に関心を持つ人、学ぶ人が増えてくるのではないだろうか。





  五十嵐 雅哉  ……………………………………………………………東京都
   アカウアリンカ足跡博物館は、マナグア市内の幹線道路から少し奥に入ったところにひっそりとあった。博物館に到着する直前に、路上にたむろする少年達の姿が印象的だった。治安が悪いところであるという説明に納得した。
 こじんまりした入り口から中に入ると、正面に広く深い溝があり、そこに6,500年前の人類の足跡が保存されている。室内での保存ではなく、屋根と周囲を囲む壁により、風雨から守られている。説明の声は、突然降りだしたスコールが屋根をたたく音にかき消された。スコールが通り過ぎた頃、今度は室内で発掘された人骨などの説明を受け、発掘作業のビデオが紹介された。日本からの援助による発掘機材や研究機材が大役を果たしている。
 ニカラグアはマヤ文明やアステカ文明の地から遠くないところに位置しているので、まだ発見されていない未知の遺産が眠っている可能性もある。それを開発し、発見された文化財をニカラグア国民のみならず、広く海外にも紹介するのに日本の援助が役立っている。月に300名の学生と、それ以上の一般見学者がこの博物館を訪れている。幹線道路から博物館までの治安の改善が望まれる。




  川合 周作  ………………………………………………………………東京都
   「医療や初等教育も十分ではなく、衣食住さえもままならない人々も多いというこの国において、博物館への援助など受けていることにどう思うのか」という質問に対する、館長さんの答えは、「世界的にも重要視されている文化財を保護し、博物館の形で国民に提示することは、長い目で見れば、文化的アイデンティティを形成したり、歴史や環境等への広い視点を持たせたりということに大いに役に立ってゆくはずだ」ということだった。この質問に対する答えは人それぞれだろう。僕自身は、生命維持だけが生きるということではないし、館長さんの考えにも賛同できるところはあるが、生産的ではない、今回の博物館の保護やスポーツ振興等といったプロジェクトに対して、日本国としてはどのような思想によって、それが援助すべきものであるのかどうかを判断しているのだろう、という疑問を持った。




  小倉 道雄 ………………………………………………………………千葉県
   アカウアリンカ国立博物館は敷地内で発見された6,500年前の人間の足跡遺跡保護と一般への紹介を目的として創設された。しかし機材不足により発掘探査や資料整備が出来ない状況であり、博物館の展示機能の改良、研究機能の整備を図ることにより学童を中心とする見学者が容易に歴史的遺産に触れられるという教育効果を目的とする事業である。日本が資材の提供を行なった。
 この遺跡は18世紀後半に偶然に発見され中米に6,500年前に人間が住んでいた証拠となる大事なものである。C14でその証拠が確認されている。人数は14、5人で子供もいる。1988年には2度目の発掘が行なわれ湖の方向に歩いているのが確認されている。 遺跡は地下3メートルのあたりにあり、足跡が確認される。しかしここには雨が入り込みいずれ消えるのではないかと危惧を感じた。この点担当に質したところコンクリートの雨止めがあるので雨は入らないとの事であった。現に水の入っている跡があるのだから、援助する時点でアドバイスできないのであろうか。




  内田 善昭 ………………………………………………………………東京都
   ニカラグア国太平洋地域はメソアメリカ文化圏の周辺地域に位置し、土着文化などスペイン征服以前の遺跡があり、遺跡の調査・研究が求められている。サパテラ島、ニカラグア湖、チョンタレス県のマウンド遺跡群等、多数の遺跡が点在している。アカウアリンカ博物館は同敷地内で発見された6,500年前の人間の足跡遺跡保護と一般への紹介を目的として創設されたものである。適切な発掘調査・修復・保存作業を施せば観光資源として貴重な収入資源となる。12人位の男女・子供の足跡はカナダ国籍の考古学者、アライブライアンが1874年に偶然、発見したものである。採集のため、湖に向かって歩いたと思われる人間跡で、他に狸・鹿などの動物の跡もある。考古学発掘の機材(ビデオ・分析機器等)は日本からの援助で賄われているが不足しており、今後も継続して草の根無償資金協力が必要と感じた。




  市村 香織 ………………………………………………………………東京都
   アカウアリンカ足跡博物館を訪問し、火山灰上に残された6,500年前の人間と動物の足跡、ニカラグア国内で発掘したマンモスの骨、ミイラ、土器などを見学した。この足跡は、火山噴火時に湖に向かって歩く人々の足跡とも言われ、一見の価値がある。博物館は小規模だが、ニカラグアの人々、観光客も訪れる。火山国ニカラグアにおいて、考古学的に価値があるだけでなく、観光資源としても期待できる。
 現在調査活動が行われているレオン市は、旧市街が世界遺産に登録されたという。ニカラグアは、火山、湖、島と自然の宝庫である。観光産業は国力を高めるには有効な手段であり、今後観光産業がさらに発展することを期待したい。また、研究者が活躍する場を提供し、彼らが外国へ流出することを防ぐためにも、考古学に限らず、研究環境の整備は重要である。研究者の熱心な説明に、研究環境の整備に対する援助は、欠かすことのできない援助であると改めて認識した。




  根本 順子 ………………………………………………………………千葉県
   博物館において展示や公開講座を実施しても、青少年犯罪が多発する最貧困地区という立地条件及びニカラグア国民が関心を示す余裕があるかどうか、主催者側が期待する入館者数は見込むのは難しいと思われる。
 また、より高度な測定機器を得たいのはどの研究機関でも同様であり、上を見るときりがないので、現状では、日本の援助で整備された機器を含め、現在所有している機材を有効活用するよりほかないと思う。
 よって、アカウアリンカ足跡の風化を防ぐため保存処置を施した後は、国民の教育水準がもう少し向上するまで、国際協力としては優先順位が低いのは仕方がないと思う。




  清水 麻緒 ………………………………………………………………東京都
   博物館の方が、「考古学は、ニカラグアの文化的アイデンティティーを知る方法である。」と、おっしゃっていた。経済開発だけでなく、文化保全にも日本が援助をしていることは、良いことである。
 博物館には、主に学生が来館するという。ニカラグア人・外国人共に、月に300人位の学生と一般人が訪問する。ニカラグアの学生達が自分達の国の文化を大切にする機会につながるであろう。




  鈴木 幸子 ………………………………………………………………東京都
   この足跡はニカラグアの遺産としては一番重要なもので、博物館では人類がいたことの証拠である6,500年前のこの足跡を保存、そして公開している。博物館内の研究室には紀元前3 万年のマンモスやバイソンなどの骨があり、日本はニカラグアの考古学の向上のためにこれらの骨や人骨分析、保存、調査、研究のための様々な機材を提供していた。
 確かに日本の高度な機材により研究は進められており、重要な遺跡の保管にも日本の機材が役立てられていた。文化財の保存、研究は学術的にも大変重要で必要なことである。また研究結果はメディアを通して人々にも伝えられ考古学を通じて文化を伝える教育が人々の生活レベルの向上につながったり文化的アイデンティティーやそこに住んでいる人々がそこを愛せるようになるという面もあるため、考古学の研究は一般の人々にも大きな影響を与えるということがわかった。文化財や遺跡を守っていくことは自分の国を大切にするということにつながるのでこれからも研究や調査に励んでほしいと思った。




  舘 美公子 ………………………………………………………………東京都
   アカウアリンカ足跡博物館にある中米で最古の人類の足跡は、ニカラグアにとって重要な遺産であるが、その場所が貧困層の集まる地域にあるため、遺跡を荒らされないようにする保護が日本の援助によってなされていることは、2つの点で優れていると感じた。1つは、日本が文化を尊重することのアピールであり、2つ目は、この博物館を多くの学校の生徒が訪れることから、彼らに自らの文化を誇りに思う機会を提供するのに役立つからである。
 また、日本はニカラグア国立博物館に対しても考古学機材を供与しているが、これも外国人研究者によってでなくニカラグアの研究者自身によって遺跡の発掘や研究が促進されることを後押しするものであり、研究者の自立性に役立っていると考えるため援助は効果的であると感じた。




  小田 美保子 ……………………………………………………………東京都
   6,500年前もの男・女・子供12人位の足跡がありました。生き抜く為にマグアナ湖に向けて北西に歩いていたのだろう。そして野生の狸や鹿がフルーツ等を取る為に反対の北東に向けて歩いていたのだろうという面白い仮説がありました。
 ここでは地道な考古学研究を続けています。日本から送られた研究機材が大変に役に立っているとのことでした。中でもNISHIOGRAPHという機材は器などを映し出すのにとても便利な機材で、絵を描くのがさほど上手でなくても、なぞるだけでその通りに模様を映し出す事が出来ます。でも、他に小さな物を分析する機械と旧レオン市の地質学的な分析をする機材があればとてもうれしいとの事でした。最後に館長さんが、考古学を通じて、自分達が住んでいる土地を愛せるようになり、それが文化に役にたち、生活レベルの向上につながっているとおっしゃったのがとても印象に残りました。