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| 1997年の日中首脳会談にて提唱された「日中 環境開発モデル都市構想」は、中国で深刻化す る環境汚染に対して、効率的な支援を行うため |
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| に作成された。モデル都市の一つとして選定された貴陽市は、石炭に依存したエネルギー構造、重化学工業中心の産業構造等により、石炭燃焼による大気汚染が深刻な問題となっていた。このため、大気モニタリングシステムの整備、硫黄分の多い石炭の洗炭等を行うクリーン炭生産向上の建設、また都市ガス供給システムの拡張や製鉄工場大気汚染対策等を実施し、貴陽市のみならず周辺地域の大気汚染の改善による生活環境の向上に寄与した。 |
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| 山本 智彦 ………………………………………………………………愛知県 |
| 日本は豊かな生活をもたらす高度経済成長と引き換えに多くの公害問題を起こし、企業や行政(国・地方自治体)当局の無責任さや倫理観のなさを知った。経済成長や利益追求を最優先する為に地域住民や関連企業で働く労働者の健康や生活が軽視されてはならない。水俣や四日市の悲劇を中国で繰り返させてはならない。日本が学んだ教訓を生かし中国では人権や環境に配慮し、情報公開がなされた経済成長を援助して欲しい。 有機化学工場の視察で残念ながら労働者の健康問題や地域住民に対しての環境配慮が十分になされているとは感じられなかった。工場の排水溝から流れ出る有害物質が下流の住民へ与える影響を考えると「このままではいけない」と思った。住民へは安全・健康に対する正確な情報は伝わらない、被害が出てからでは遅いのだ。環境問題に関しては、今後有償資金協力にこだわらず、啓蒙・宣伝活動を含めた多面的・全面的な拡大援助・指導・交流が必要である。 |
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| 中山 隆之 ………………………………………………………………三重県 |
| ■貴陽水晶有機化工集団有限公司 日本の水俣病について研究し、熊本にも視察をしたとのことであったが、姚社長は約5,000人の健康の実態についてきちんとした把握ができていなかった。また、周辺地域への注意喚起の広報や、水銀を排出していた川の土壌改善の計画など、社長の話には「あまさ」が感じられた。環境モデル都市事業であるのだから、企業のトップには、まず環境に対するスタンスをしっかり学んでもらってから、作業工程の改善へと移っていく必要があると思う。 ■貴陽煤気源廠 石炭からガスへの転換は大気汚染の改善に非常に有効だと思った。また、工場内も非常に効率的にまた整理整頓もなされており、モデル企業にふさわしいと感じた。しかし、石炭(炭団)からガスへの転換は、貧しい家庭に於いては大きな負担だと聞いたし、また炭団売りの人も見た。彼らは今後仕事がなくなるという。日本なら政策転換で職を失った場合などいろいろな対策が講じられるだろうが、中国ではそれはないとのこと。難しい面もあると思った。 |
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| 青木 芳信 ………………………………………………………………兵庫県 |
| 有償資金協力の場合、その「プロジェクトの意義」や「費用対効果」が注目されがちだが、この有償資金を有効かつ継続するためには確実な償還が大前提であることは言うまでもない(返済不能の危機を回避する必要)。 この案件「環境モデル都市事業」は、貴州省人民政府が実施機関であることから、地方政府のこの事業に対する基本方針や実施プロジェクト等についての認識なり姿勢(能力)が大前提になければならない。現在は経済発展の時期と位置づけて突進する中国国内で、実績よりも「環境」へ配慮する雰囲気は希薄である。地方政府の有力者としては、出来ればやりたくない、勇気のいる政策であろう。 公害先進国の日本としては、その経験と技術を中国の環境問題の解決に貢献出来るのではないか。有償資金協力の1/3から1/2が環境案件となっていることは正しい方向であると実感した。 ただ、モデル事業といっても公害源は無数にあり、高額の装置や方法では全く効果がなく、「大海に一滴水を落とす」の例えが頭に浮んだ。 しかし、隣国の環境破壊は、即日本の問題でもあり、日本の国益を損なう可能性がある。 |
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| 松岡 靖 …………………………………………………………………広島県 |
| 貴陽市は石炭に依存したエネルギー構造、また重化学中心の産業構造から環境汚染が深刻化していた。そこで有償資金協力として本事業が計画され、今回、事例として有機化学工場(貴州水晶有機化工集団有限公司)と都市ガス供給システム(貴陽煤気源廠)を視察した。 有機化学工場では水銀を触媒として使わないように改良され、現在水銀は使われていない。しかし、約30年間水銀は川へ流され、少なからずの健康被害と土壌汚染が深刻である。ODAをシステムの改善だけでなく、これまでの被害に対して生かすことができないのであろうか?特に住民の健康調査と土壌廃棄を徹底的に行なわなければ、改善はしたが,将来の問題を積み残す結果となると考える。 また、都市ガス供給システムは石炭に依存した住環境から都市ガスに変える大気汚染に対応した事業であり、全ての貴陽市民に都市ガスが行き届くようその完成が待たれる。 |
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| 山下 和彦 ………………………………………………………………佐賀県 |
| モデル都市として選定された貴陽市は、石炭に依存したエネルギー構造、重化学工業中心の産業構造等により、また、その盆地状の形状ともあいまって、石炭燃焼による大気汚染が深刻な問題となっていた。特に二酸化硫黄濃度は、都市住居地域に適用される国家環境2級基準値を大幅に上回っている。 モデル都市ときいていたが、現実の環境の悪さには驚いた。現地の空気は悪いし、煙突が多いし煙が充満していた。工場内での説明では草木は成長していて、従業員も住民も何も異常はないと力説しているけれど、本当に大丈夫だろうか。私は息苦しく感じた。又工場からの排水をみても、水銀を利用しないシステムに改造しても、現に鉛色の排水がどんどん流されていく。いくら広大な領土といっても、そこで生活している人は大丈夫だろうか?日本でおこった水銀中毒等は本当にないだろうか不安である。ODAの資金援助を大いに活用し、環境対策や、生活環境の向上に力を入れるべきである。直ちに変更し実行すべきと希望する。 |
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| 砥上 悦子 ………………………………………………………………愛知県 |
| 1つ目の貴陽水晶有機化工集団有限公司では、石炭に水銀を触媒として使用して酢酸を生成していた。工場は1999年より閉鎖されている。この工場ができた1965年には、政府も工場側もすでに水銀がもたらす被害を知ってはいたが、中国の経済発展を進める中で致し方なかったそうだ。その間工場から水銀に汚染された排水は24kmもの排水路を通って百華湖に流れていた。従業員は当然、地域住民の健康をも害しているのに、特に地域住民への健康診断や公害把握についての説明には不十分さが感じられた。子どもたちに健康被害例は出ていないとはいえ、今後も学校や地域での環境衛生、公害の指導・教育は必要だ。現在、日本の千代田化工の技術を導入し、水銀を使用しない最新技術を取り入れるとともに、汚染改善にも努めるそうだ。長年蓄積され、汚染された川の土壌を3年かけて全て取り出し、山へ廃棄される。今後の課題はまだ大きい。 2つ目の貴陽煤気源廠では、石炭から有害物質を削除した石炭ガスを生成していた。まだ現在22万世帯にしか供給されていないが、これにより酸性雨も減少してきた。石炭産出国世界一の中国ならではの、資源有効利用方法だと思った。 中国の深刻な環境問題は、中国だけの問題ではないし、中国だけの責任でもない。日本も中国の工業発展からの恩恵を受けて現在がある。日本の有償資金協力によって公害を全て改善することは難しいが、1日も早く住民が安心して暮らせるようになってほしい。そしてこのモデル都市が成功し、そこから中国全体へ広がっていくことを期待する。 |
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| 小林 敏子 ………………………………………………………………大阪府 |
| 日本にもある公害同様、水銀の垂れ流しにより住民に悪い影響を与えるということで、移転前工場の見学をした。アセチレンから酢酸をつくる時に触媒として水銀が使われるようで、この工場を建設する前から、人体に水銀が悪いことは知っていたようであった。排水口から出た水銀を含む泥の回収をしていると言っていたが、なかなか大変な仕事である。酢酸生成法は他の方法に切りかえたとのことだった。 もう一カ所環境改善事業として、家庭で使われる石炭を一ヶ所に集めて、工場でガスに変え、これを各家庭に送って使用させる方法に切りかえる工場の建設費を有償資金協力で行なったとの事で、広大な土地に大阪ガスの技術を入れていた。この工場を建設したおかげで、酸性雨や大気汚染が防止できるとの事だった。資金援助のみでなく、大阪ガス会社の技術協力もあって、うまくガスを供給出来ている様子であった。資金面のみでなく、技術面も同時に協力出来ればより一層日本の顔が見えると思う。有償資金協力は「どうせお金は返すのだから…。」という感じで受けとめている様に感じた。また、中国側からと日本側からとの資金拠出だから、案外日本の協力の資金面については、一般市民は知らないと思う。 |
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| 東口 智子 ………………………………………………………………大阪府 |
| 5,000人もの従業員等の生活もあり新技術工程への転換及びその設備投資が優先されている。まずは1999年末ラインを停止させ、現在は水銀の含まれた排水が垂流されていないだけでもプロジェクトは有効と言えよう。利益優先は中国側の事情であり、結果として環境保全の第一歩となり得ていると判断する。 しかし、24kmもの排水路及び百花湖の蓄積水銀土壌の回収も直ちにできないものか。緩慢な感はぬぐえない。直接作業の従業員は健康を損なっていると言い、地域住民や新生児には食生活が異なるので異常はないとする回答は信じがたい。「魚の棲まない川」だと言う。昔は衛生観念も今以上に無く、見た目がよければ水を使い、その水や土で育てた野菜も、それを食した家畜も口にしただろう。国の体制が異なるので表に出ないのではと危惧する。工場見学は無用だが、垂れ流しの「24kmの毒の小川」は、のどかな農村風景にある素朴さと逆に現実が迫り、現場を見る大切さを痛感した。会議室での説明よりそこでの質疑に時間が欲しかった。 |
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| 松尾 しのぶ …………………………………………………………鹿児島県 |
| 熊本・鹿児島の水俣病問題に関心を持って今夏も資料館を訪問したばかりの私にとって、この案件は重視項目の一つであった。視察しながら、「水銀は体内に蓄積するのだから、この数十年間に相当な被害が出ているはず。」と叫びたかった。私は、2005年までのプロジェクトに、従業員の定期的健康診断などの具体的計画が組み込まれているのか質問したが、明快な返答は得られなかった。水銀の蓄積についての反応はあったが、日本人の食生活とは違って生物は食べないから大丈夫と説明があったことには驚いた。悪臭を漂わせている排水の流れをみつめながら、今後の行く末が案じられた。 大気汚染も土壌汚染も広がっているに違いない。今留まってでも現状をつぶさに調査して把握し、対策をたててほしい。また、石炭を有効利用する限り、大気汚染は免れないだろうと感じた。さらに、中国の国家体制の下、従業員の自治活動はどれほどの効力があるのか知りたいものである。 |
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| 上原 稲子 ………………………………………………………………沖縄県 |
| 「貴州水晶有機化工集団有限公司」視察の際には釈然としない思いが残った。確かに汚水の水銀を除去し、周辺住民の健康を守るということは有意義だし、必要なことと考えられる。そのために日本の有償資金協力が必要であるならばそのことも是としたい。 しかしながら、やはり引っかかるのが日本の水俣病の記念館にも工場の資料を送ったと言いつつ、その汚水を30年間もたれ流していたという事実だ。周辺住民に対する安全対策は川の周辺に釣りや遊泳禁止の看板設置という答えしか得られなかった。文字の読めない方や、汚染土壌を使っての農業しか残されていない貧しい農家の方は流域からの作物・生物を口にせずにどうして生きられるのか。「中国人は日本人の様には魚を食べない。それに日本は魚をナマで食べるが、中国は必ず火を通す。」という説明にも「水銀の残留特性」に対する認識の甘さが感じられた。工場の老朽化が激しいので、環境問題に取り組むという大義名分で設備を一新したいのでは?と勘ぐることも可能だ。周辺住民あるいは工場に携わっている労働者の健康管理、保健衛生などにもっと真剣に取り組むようODAから助言していただけたらありがたい。 |
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