ODA評価 年次報告書202206ては、まだ成果に結びついていない部分があるとの指摘もなされています。教育協力政策の評価においても、日本のプレゼンスや信頼感の向上、二国間関係の強化などの外交的波及効果を上げたことが確認されました。提言2021年度に実施した5件のODA評価の結果、それぞれの評価案件の個別事情を踏まえた提言がなされました(各提言と提言への対応策はp.23~p.26に掲載)。それらのうち、複数の案件に共通する提言、また、他案件へも適用が可能な提言は以下のとおりです。複数の評価案件に共通する提言● 人材育成分野における支援の継続・強化国別評価3件すべてにおいて、人材育成分野に関連する支援の継続や強化に関する提言が出されました。持続的経済成長を遂げるためには人材育成が重要であること(東ティモール)、長期的人材育成につながる技術協力を継続すべきであること(ペルー)、日本は草の根レベルでの人材育成を通じた技術協力に比較優位性をもっていること(マラウイ)などが指摘されました。● 相手国における投資環境の整備・民間連携の促進ODAにおける官民連携促進は、日本政府の方針のひとつです。国別評価3件すべてにおいて、民間企業の活動促進のための取組や民間セクターとの連携強化についての提言がありました。投資環境整備のための法整備支援(東ティモール、マラウィ)や、民間連携スキームの積極的な活用(ペルー)が言及されています。● 日本の協力についての広報の強化マラウイ国別評価と教育協力政策の評価において、相手国国民や国際社会に対する日本の協力についての広報の強化が提言されました。他への適用可能性が見込まれる提言● 政策策定時の達成目標の設定教育協力政策の評価において、「平和と成長のための学びの戦略」(2015年策定)には、実施期間、達成に関する目安・目標、指標が設定されておらず、何に対して達成度を測るのかが明確でないとの指摘があり、次期の政策策定時には、それらを設定し政策に盛り込むべきと提言されました。教育協力政策に限らず、政策を実施・モニタリングし、客観的な評価を行い、次の政策の改善につなげていくためには、政策の達成目標の設定は重要であり、他のODA関連の政策策定時にも考慮すべき内容です。
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