ラモス=ホルタ大統領に評価報告書を手交する長谷川評価主任(提供:日本国際平和構築協会)ODA評価 年次報告書202220その他の関係者へのインタビューにおいても、日本の支援の良さは、人材育成に丁寧に取り組んでいることであり、それはつまり、あれをしろ、これをしろと上から押しつけることなく、日本もパートナー国と同じ目線に立ち、カウンターパートと膝を突き合わせて議論し、パートナー国側が自国の発展について自ら判断する方向性を支援している点だとの意見をいただきました。まさに、釣った魚を渡すのではなく、釣り竿を渡して釣り方を教える、そうした日本の長年のアプローチが、相手国の方々にも伝わっていることを感じました。評価チームの評価主任であった長谷川理事長は、独立直後から国連事務総長特別代表として同国の自立的発展を現地で支え、退任後も継続的に東ティモールの発展や日本との二国間関係の促進に尽力されています。同じく評価チームの山田満教授、大門毅教授、上杉勇司教授が所属される早稲田大学は、長きに渡り東ティモールの留学生を学内に受け入れるとともに、東ティモール国立大学に教員や学生を継続的に派遣するなど、同国の人材育成に貢献されています。また、評価チームに現地コンサルタントとして参加した樋口洋平氏及び丹羽千尋氏は、長年東ティモールの開発事業に従事したり、現地でのNGO活動を継続されています。その他にも、NGOやJICA専門家、協力隊員、日本企業の方々が現地の生活に入り込んで汗水流しながら長年積み重ねてきた努力に対し、揺るぎない信頼が現地の方々から寄せられていることを今回の評価を通じて目の当たりにしました。こうしたODA関係者や民間、有識者の方々、いわば日本の東ティモール応援団による長年の地道な努力と、それに対する現地の方々の感謝と信頼は、評価報告書の中で数字として表すことはできませんが、これもまた日本のODAの波及効果なのだと、評価のプロセスを経て実感しています。
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