ODA評価 年次報告書 2022
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トリンコマリー港に設置された浮標供与した船舶ODA評価 年次報告書202218ロジェクトの成果を将来にわたって活かすため、日本国政府としてトリンコマリー港周辺地域の経済開発支援に向けた戦略を検討することを提言する。戦略検討にあたっては、周辺諸国において日本が推進する「日ASEAN連結性イニシアティブ」などとの連携も考慮されることが望ましい。(2) 外務省が実施する無償資金協力(経済社会開発計画)への提言・教訓〈提言〉 プロジェクトに関するより積極的な情報発信ODAの透明性を確保し、国民の理解を促進していくためにも、より積極的にプロジェクトに関する情報を発信していくことを提言する。 プロジェクトの目的や効果発現に向けたロジックの明確化計画当時の目的や効果発現に向けたロジックが曖昧である場合、事後的に再定義した目的について関係者間で意見の相違が生じ、納得感のある評価結果の導出が困難となる懸念がある。特に、外交的な効果についてはその再定義が困難なケースが多く、さらに評価のタイミングが適切でない(効果発現にはより長期間を要する)といった点も議論となり得る。以上の課題を踏まえ「経済社会開発計画」スキームの計画に際しては、目的や効果発現に向けたロジックを明確化するよう努め、その検討経緯を記録して保存することを提言する。〈教訓〉 海外展開支援ツールとしての外務省の無償資金協力(経済社会開発計画)外務省が実施する無償資金協力(経済社会開発計画)は、入札図書作成から契約締結までを、一貫して調達代理機関による手続だけで進められるという特徴がプロジェクトの迅速化と簡便化に繋がっている。また、パフォーマンス・ボンドが不要であること、対象が日本製品中心であることなどが、日本企業から好意的に受け止められている。以上より、「経済社会開発計画」スキームは、日本企業の海外展開を支援する有用なツールとなり得る。そのためには、プロジェクトを通じてどのように日本企業の海外展開を支援するのか、物品の内容や供与の目的について戦略的に検討することが重要である。

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