評価チームによるオンライン学校訪問(マダガスカル)ODA評価 年次報告書202216地域的な教育協力ネットワークを強化する形で行われている教育協力案件は、ASEANや中米、アフリカなどの域内協力、連携強化につながっており、外交的波及効果が発現していると考えられる。評価結果に基づく提言(1) 日本の教育協力政策内容への提言 国際潮流に沿って幅広い教育分野での協力に対応する可能性があり、次期政策では、重要分野の中でも優先順位を付けることを検討すべき。 国民への説明や関係者への情報共有のために、政策の実施期間、達成すべき目安、目標の設定を行い、同政策に盛り込むことが肝要。 同政策に次の5つの内容を盛り込む。①協力の目的、対象分野などを出来るだけ分けて表記。②当該事業と関連の深い他のアクター・事業との連携を維持・強化し、過去の協力の成果の蓄積、これまで研修を受けた人材、既存の制度の活用により、効果を高める。③相手国の実情に合わせたモニタリングの仕組みを構築。④援助効果を発現、確かなものにするため、長期的な信頼関係を被援助国と築く。⑤ネットワーク型アプローチ、多国間・二国間援助機関との連携強化や財政支援を含む多様な援助モダリティを維持し、現地のニーズに柔軟に応じた協力を実施。(2) 日本の教育協力政策の策定・実施過程への提言 教育協力政策の策定について、関連省庁、JICA、大学関係者、国際機関、NGO、民間企業などの関係者が会し、開かれた透明なプロセスで議論する既存のフォーラムなどを有効活用する。 政策実施の点検については、教育協力関係者による「国際教育協力連絡協議会」などのプラットフォームをさらに活用し、同政策の実施状況を確認するべきである。また、適切なタイミングでの同政策の第三者評価を実施し、提言を導き出し、新しい政策に反映する。そのためにも、政策の実施期間、達成の目安、もしくは目標の設定を行う。 効果的、効率的な政策実施のためには、教育案件の検討・形成・実施などにおいて、文部科学省からの知見、協力が重要である。例えば、外務省、文部科学省、ODA実施機関であるJICAの三者が揃って定期会合を開催することを検討する。 政策の広報については、これまでと同様、機会を捉えて、日本のリーダーから国際社会に対して同政策の発信をするとともに、適切な政策実施のため、外務省内、在外公館、JICAの国内外の拠点を含むODA実施機関への継続的な周知を実施する。 教育協力政策の“外交的重要性と波及効果“に係る観点の評価を充実させるため、個別協力案件の事業実施期間中、モニタリング、各種調査時において、関連する情報を収集・確認し、その蓄積した情報を整理して、報告書などに記載する。
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