ODA評価 年次報告書 2022
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● 外交の視点からの評価(1) 外交的な重要性外交関係上の重要性の観点から、日本はペルーに対し貿易促進や進出企業のビジネス環境整備に資する EPA、投資協定、租税条約などの法的枠組みの構築促進やこのような枠組みに基づく協議などを通じ、日本企業の進出の促進を始め、経済関係の強化を図っている。さらに、国際的共通課題として、両国に共通する地震・津波対策や環境・気候変動問題、核軍縮・不拡散、国連安保理改革、北朝鮮問題及び南シナ海・東シナ海問題といった多くの課題に対して連携・協力を行ってきている。なお、日本が掲げる外交理念を踏まえた相手国の重要性の観点では、2020年に外相会合において、両国が140年を超える外交関係を有し、普遍的価値を共有する戦略的パートナーであることを再確認するなど、両国間の関係性は高い。ま11ODA評価 年次報告書2022極めて高い/高い/一部課題がある/低い評価主任アドバイザーコンサルタント評価対象期間評価実施期間現地調査国清水 達也日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所地域研究センターラテンアメリカ研究グループ長磯田 沙織神田外語大学外国語学部イベロアメリカ言語学科スペイン語専攻専任講師日本テクノ株式会社2011年度~2020年度2021年8月~2022年3月ペルー(オンライン調査実施)策)の中で案件を絞り、日本の優位性を活かした支援を行っている。経済社会インフラの整備と格差是正分野ではペルーの貧困状況の改善、環境対策分野では山岳地域の灌漑施設整備や農家の収量向上、防災分野では日本の知見や経験を有する災害に強いインフラや警戒・警報体制の強化、政府が防災訓練を積極的に実施するなど国民レベルまでの防災意識の定着といった成果を得ている。     (評価結果:極めて高い)(3) プロセスの適切性開発協力方針は、日本側・ペルー側の関係者と適切な協議を行い策定されており、事業展開計画も毎年更新されている。実施プロセスにおいても、実施体制の整備、ニーズの把握、対ペルー支援重点分野に基づく個別案件の実施、モニタリング、広報が行われている。(評価結果:極めて高い)*(注)レーティング:評価の背景・対象・目的ペルーは、日本が1873年に中南米で最初に外交関係を樹立した国である。1899年に日本人が南米大陸で初めて移住した国として約10万人の日系人を擁し、日本とは長い歴史に基づく友好関係が継続している。また、ペルーは累計ベースで中南米における日本のODAの最大の被供与国である。今回の評価では、過去10年間のペルーへの支援政策を評価し、今後の日本の対ペルー支援政策立案や実施のための提言や教訓を得ることを目的とする。また、評価結果を公表し、国民への説明責任を果たすとともに、関係国政府や他ドナーに評価結果をフィードバックすることを目的とする。評価結果のまとめ● 開発の視点からの評価(1) 政策の妥当性日本の対ペルー協力の政策は、日本のODAの上位政策である政府開発援助大綱(2003)や開発協力大綱(2015)、ペルーの中長期及びセクター開発計画に合致している。また、国際的な優先課題としてMDGs、SDGs、ペルーで支援を行っている各ドナーの支援方向性との整合性も取れている。さらに、日本の比較優位性のある分野を中心に政策策定が行われている。(評価結果:極めて高い)(2) 結果の有効性日本の対ペルー協力の実績において、高中所得国に分類されるためペルーへのODA金額は減少傾向にあるものの、山岳地域やアマゾン地域といった特殊な国土に多様な援助ニーズを有するペルーに対し、重点3分野(経済社会インフラの整備と格差是正、環境対策、防災対ペルー国別評価

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