ODA評価 年次報告書2021
8/32

した5件のODA評価の対応策の例は以下のとおりです。国別評価がより政策に反映されやすいようなタイミングで実施されることが有益であるとの提言のほか、アルファベットや数字を用いたレーティングについては、分かり易さは増すものの、評価される側の評価結果の建設的な受け止めを阻害する面もあるため、両面を考慮し、レーティングの目的を踏まえて評価結果の表し方を決定することが望ましいと提言されました。これを受けて、2021年度の国別評価においては、評価対象国の選定に際し、国別開発協力方針改訂を評価年度の翌年度に控えている国を優先的に検討しました。また、2021年度からはアルファベットによるレーティング表記は取りやめ、評価結果は評語でのみ表すこととしました。案件の特質を踏まえて、「開発の視点」と「外交の視点」を統合し、評価基準として「計画の妥当性」と「実施と結果の有効性」の2つを用いること、政策レベルの評価で用いる目標体系図は必須とせず、評価チームは案件の基本情報をまとめた「評価案件概要表」を作成すること、レーティングはこれまでと同様の4段階を維持するがアルファベットの併記はしないことなどが提案されました。これらの提案を踏まえ、2021年度以降は、新たな評価基準・手法を用いた評価を実施することとしました。ブラジル国別評価では、三角協力における関係国間の対話の強化が提言されました。ブラジル開発国際協力庁との定期協議を引き続き実施し、全体の方針についての協議を行う他、実施中のプロジェクトについて、状況の変化に柔軟に対応できるよう、三か国共同での定期的なモニタリング体制の確立について検討していきます。モンゴル国別評価では、頻繁な人事異動に対するリスク軽減の取組強化が提言されました。案件の進行中に人事異動があった場合でも、それまでに得られた成果や知見が的確に引き継がれる仕組みを構築するためにモンゴル側と協議を行う他、技術移転の方法も工夫していきます。ルワンダ国別評価では、日本企業等の多様なアクターとの連携促進が提言されました。知日派のルワンダ人人材の育成や両国企業間のネットワークの構築を促進するため、ABEイニシアティブ(注)やICT分野の技術協力プロジェクトを引き続き実施していきます。(注) アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ。アフリカの若者を日本に招き、日本の大学での修士号取得と日本企業などでのインターンシップの機平成27年度ヨルダンに対する経済社会開発計画の評価では、効果的な広報の実施について提言されました。今後の類似案件では、地域外交や国際的開発課題に鑑みた案件の外交的意義について分かりやすい広報に努め、その案件のみならず、責任ある国際社会の一員としての我が国の難民支援や人道支援のあり方をアピールする内容となるような広報の実施に努めます。平成29年度モザンビークに対する経済社会開発計画の評価では、調達品の引渡し後のモニタリングの改善について提言されました。今後の類似案件では、消耗品や消費財の活用による効果を事後に確認することの難しさを認識し、あらかじめ先方政府に報告書の提出等を求めることで、調達品の使用状況や効果の発現状況を確認するように努めます。会を提供するプログラム。● 過去のODA評価案件(国別評価)のレビューと国別評価の手法に関する調査研究● 外務省が実施する二国間無償資金協力個別案件の評価(第三者評価)についての分析・評価手法の提案07ODA評価 年次報告書2021 提言への対応策ODA評価の各案件についてなされた提言のそれぞれについて、外務省は対応策を策定しています。2020年度に実施 評価手法・評価の枠組みについての調査・分析とそれを受けた対応2020年度は、5件のODA評価に加えて、「過去のODA評価案件(国別評価)のレビューと国別評価の手法に関する調査研究」及び「外務省が実施する二国間無償資金協力個別案件の評価(第三者評価)についての分析・評価手法の提案」を実施しました。これらは、それぞれ国別評価と無償資金協力個別案件の評価について、過去の実績を踏まえ、今後のより良い評価のあり方の検討を目的としたものです。

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る