ODA評価 年次報告書202106数の案件に共通する提言、また、他案件へも適用が可能な提言がありました。開発途上国の経済成長において、民間企業の投資活動の果たす役割はますます大きくなっており、ODAにおける官民連携促進は、日本政府の方針の一つでもあります。ブラジル及びルワンダ国別評価において、既に有益な民間企業との連携や協働の事例が存在しており、これらの連携を更に促進していくべきと提言されました。2020年度ODA評価5案件のうち3つの案件において、効果的広報の促進や情報公開について提言されました。2件の無償資金協力個別案件の評価では、個別事業に関して、二国間関係や支援の全体像と関連付けたり、具体的に意義や内容を説明したりなど、より効果的で印象に残る広報内容の工夫が重要と提言されました。また、ルワンダ国別評価では、政策策定の背景等について、より広い観点からより分かりやすい説明を工夫することが提言されました。外務省が実施する無償資金協力個別案件について、調達代理機関(注)から提出される報告書をもとに、大使館による事業実施状況のモニタリングが行われているものの、引渡し後の供与品の使用状況及び想定された効果の発現状況を把握する体制が不十分であるとして、モニタリング体制の強化について提言がなされました。(注) ODA事業において、被援助国政府との契約に基づき、入札手続、売買契約、支払など一連の調達手続を代行する機関。開発協力大綱は三角協力を継続していくと謳っています。ブラジル国別評価では、三角協力における関係国間での密接なコミュニケーションや、継続的なモニタリング体制の整備などについて提言され、これらは、他の地域での三角協力においても参考となるものです。(注) 援助国と被援助国が有するリソースとノウハウを効果的に生かし、協力して第三国を支援すること。モンゴル国別評価では、頻繁な人事異動や省庁再編等のリスク軽減のため、協力対象となる組織内での情報共有の仕組みの導入や、省庁再編についての事前の情報収集・対応策の準備などの取組強化について提言されました。類似の状況は他の途上国においても見られると思われ、そうした国々でも考慮すべき教訓と考えられます。● 民間連携の更なる促進● 効果的な広報の促進とより積極的な情報公開● (無償資金協力個別案件について)供与品引渡し後のモニタリングの改善● 三角協力(注)における関係国間の対話の強化● 人事異動や省庁再編が頻繁に発生する国における対応 提言2020年度に実施した5件のODA評価の結果、それぞれの評価案件の個別事情を踏まえた提言がなされましたが、複複数の評価案件に共通する提言個別の評価案件に関する提言のうち、他への適用可能性が見込まれるもの
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