ODA評価 年次報告書2021
21/32

ODA評価 年次報告書202120評価で検証項目として立てられていたが、2つの項目については、検証項目として立てられていなかったり、2~3項目まとめて一つの検証項目となっていたりする評価があった。 「結果の有効性」については、他の評価項目と比較して、検証方法が評価者によって異なる部分が多かった。また、アウトカム以上のレベルの検証については、援助政策文書上で目標が明瞭に記載されていないこともあり、「目標」に照らして日本の援助の効果発現の検証を行っている評価は確認できなかった。 「プロセスの適切性」については、評価によって立てられた検証項目数は2~9項目と大きく異なり、ま「教訓」は、他の国・地域において活用可能な情報を整理して評価報告書に示すべきであり、そのために教訓として記載すべき事項については、「提言」と同様に、ODA評価ガイドラインで記載すべき事項について説明がなされるのが望ましい。イ. 国別評価実施計画(評価実施タイミング、案件の選定)国別評価にあたっては、「国別開発協力方針の改訂プロセスの一部に組み込んでいく」という方針を設けて国別評価の実施の目的をより明確にすることは、評価実施者側、利用者側双方にとり、共通理解を図りやすいという観点から望ましい。また、対象国の選定において、国別評価と国別開発協力方針の改訂のタイミングが検討されるという点は、PDCAサイクル強化の観点からも望ましい。読者にとって根拠が明確で、納得できる評価とするためには、サブレーティングの基準を明確にすることが必要である。イ. 検証項目の明確化上記ア.と並行し、国別評価で検証する項目を整理し、標準的な検証項目案としてガイドライン上に示すことが望ましい。検証項目を明確化し、ガイドラインに示すことにより、評価者による検証項目の偏りを防ぐことが可能となる。た検証項目として立てられた項目数も多く、全部で22項目に及んだ。 評価報告書の中には、評価開始時に関係者の合意を得て確定する「評価の枠組み」に示される検証項目と、実際の検証項目が異なる報告書があった。国別評価の結果が援助政策に有効に活用されている事例の9案件のうち、4案件は国別評価実施後2年以内に国別開発協力方針(旧国別援助方針)を策定しており、両者の時期が近い方が、国別評価の結果が援助政策に反映されやすいと想定される。「結果の有効性」において、客観的な検証を行うために、国別開発協力方針で示される基本方針(大目標)、重点分野(中目標)、事業展開計画に示される開発課題(小目標)が各々どのような変化を目指すか、目標は如何に達成され得るか、どのような外部要因から影響を受けるか、「効果発現の道筋」を整理する。このプロセスを経ることにより、調査項目の洗い出しが容易になり、さらに、情報収集の結果、目標達成の判断や、貢献要因や阻害要因の特定ができ、有効性の検証が明瞭になる。さらには、開発協力方針の改訂に向けて、目標の再整理を提案することも期待できる。エ. ODA評価室による評価調査の管理評価案件を管理するODA評価室は、国別評価報告書の確認を行う際に、評価の枠組みに示される検証項目と、実際の検証項目が同じか、確認を行う。また、評価の枠組みから検証項目の変更があった場合には、評価チームから変更理由を確認し、その説明が報告書内に示されるようにする。評価の目的によって、求められる評価結果の表し方も変わる。国別評価においても、評価の目的を明確にした上で、評価結果の表し方(レーティングの有無を含む)を決定することが望まれる。アルファベットや数字を用いたレーティングの活用については、分かり易さは増すものの、評価される側の評価結果の建設的な受け止めを阻害する面もあるため、両面を考慮し、評価の表し方を決定することが望ましい。(1) ODA政策策定に向けた国別評価の (2) 国別評価のさらなる効果的な実施に向けてア. サブレーティングの再考さらなる活用に向けてア. ODA政策策定に有用な教訓の抽出(5) 評価実施のタイミングとODA政策への反映ウ. 評価計画時の目標や介入ロジックの明確化(3)国別評価の目的に合致した評価結果の示し方調査結果に基づく提言

元のページ  ../index.html#21

このブックを見る