ODA評価 年次報告書202118を迎えた。さらに、同国は豊富な鉱物・エネルギー資源を有しており、約30社の日系企業が進出している。本計画はモザンビーク北部地域を中心とするナカラ回廊地域の社会・経済活動の促進に貢献することが期待され、協力実施の意義は大きかったと考えられる。本案件はモザンビークの非開示債務問題による財政事情悪化の中、中・北部系統の電力供給の安定化に必要な電源の発電を継続するため、緊急的に要請されたものである。その要請に迅速に応え、電力供給が維持されたことは、二国間関係の信頼の強化に貢献したと考えられる。本案件では、調達代理機関より提出された四半期報告書及び完了報告を基に、外務省本省及び大使館により事業実施状況のモニタリングが実施されたが、発電船の電力供給量や対象地域への電力供給の状況等、想定された効果の発現状況については案件の記録(3) 日本及びモザンビーク国内向けの広報活動の促進本案件の交換公文(E/N)締結にかかる外務省の日本国内向けプレスリリースでは、具体的な対象地域や案件実施の背景、実施の具体的な意義・重要性といった点の説明が付されていない。また、モザンビーク外務協力省によるプレスリリースにおいても、経済社会開発計画の実施のために日本の無償資金協力にかかるE/Nが締結されたとの記載に留まっている。日本のODA事業の意義及び開発効果について十分な理解と支持が得られるよう、日本及びモザンビーク両国の国民に対する広報活動においては、案件の協力内容、対象地域、受益者、背景、実施の意義・重要性といった具体的な内容を伝えることが望まれる。発電用燃料油のように供与品の使用状況を目に見える形で一般に広報することが難しい場合もあるが、EDMの顧客向け広報資料や年次事業報告に日本の協力の内容及び効果を記載してもらうといった方法も考え られる。として残されていない。本案件は供与品が消耗品(燃料)のため、文書による記録がなければ、供与品引渡し後の使用状況や想定された効果の発現状況を事後に検証することが困難であった。したがって、あらかじめ設定したアウトカム・インパクトに照らし、燃料の引渡し後の使用状況とそれによる効果の発現状況について、燃料の使用状況に応じてEDMからモニタリング報告書を提出してもらうことも一案であったと考える。両国外務大臣臨席のもと行われた E/N署名式(2) 外交的な波及効果(1) 開発ニーズの分析に基づく案件の成果設定と管理今後の類似案件では、案件の進捗管理や国民への説明・情報公開に際して、案件の目的、協力内容、効果が案件関係者及び第三者に明確に理解されるよう、対象国の電力供給状況に即した、発電施設の運転維持によるアウトカム・インパクトを分析し、効果測定のための指標を設定することが望ましい。また、プレスリリースにおいても、期待される案件の効果について具体的に記載することが望まれる。(2) 供与品引渡し後の モニタリングの改善評価結果に基づく提言
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