ODA評価 年次報告書2021
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ODA評価 年次報告書202114ルワンダにおいて、貧困からの脱却が難しい地域・社会階層は無視できない規模で存在する。日本は、貧困層等が裨益する基礎的社会サービスへの支援や、農業分野の支援のほか、セーフティーネットを形成する観点からも、貧困層も含めた収入創出・雇用創出支援を引き続き重視すべきである。日本の技術教育・職業訓練やICT分野における専門家派遣、また技術協力プロジェクトを通じた現地の実態に即した実践的な協力は、ルワンダ側から評価されている。これまでの日本の協力経験を生かし、民間セクターと連携・協力しつつ、アフリカ地域への波及を含めた支援展開を検討すべきである。ABEイニシアティブを通じた日本の大学への留学や日本企業でのインターンは、ルワンダの人材育成に貢献するほか、日本の対ルワンダビジネスの促進にもつながっている。また、ICT分野支援において両国企業の協働機会を設けているが、日本企業からの学びの機会や、将来的なビジネスパートナーとなり得る日本企業とのネットワーキングの機会について、ルワンダからの期待は大きい。このような日本企業等の多様なアクターとの連携促進について、引き続き重視することが肝要である。ルワンダは地理的に小国であり内陸に位置するため、ルワンダの開発を考える場合、一国のみならず地域として捉えることが重要である。日本は、貿易円滑化に向けて、道路、国際橋、ワンストップ・ボーダーポスト(OSBP)施設の整備を支援し、EAC5か国の税関・国境管理能力向上を支援してきており、こうした地域の発展に貢献する事業をさらに推進すべきである。ルワンダは、近隣諸国との間に複雑な政治的・歴史的関係を有していることから、対ルワンダ支援アプローチの構想にあたっては、地域的な観点からも検討することが必要である。日本の対ルワンダ国別開発協力方針において、「開発協力のねらい」として対ルワンダ支援は「大湖地域の安定」や「平和の定着」の観点からも意義が大きいと言及があるが、ODA政策や案件の検討に際してどのように大湖地域の事情を考慮しているか必ずしも明確に示されていない。こうした地域事情については、ODA政策や案件の検討に際して、より積極的に考慮し、可能な限り対外的に公表すべきである。国際機関拠出金の案件名・実施機関・金額・支援内容や、草の根・人間の安全保障無償の支援内容に関する情報について、分かりやすい形で情報が公開されていない。日本のODAの広報促進のため、外務省HPや在ルワンダ日本国大使館HPでの掲載が望まれる。【ICTを活用した教育支援】日本企業・株式会社さくら社の算数ソフトを活用した授業の様子(さくら社提供)(1) 貧困層が裨益する開発の継続的な推進(2) アフリカ地域の情報通信技術(ICT)分野等の (3) 日本企業等の多様なアクターとの連携促進知識ハブを目指すルワンダの後押し(4) 東アフリカ共同体(EAC)地域全体の 経済連携支援の強化(5) EACやアフリカ大湖地域等地域事情のより積極的な考慮と情報公開(6)国際機関拠出金や草の根・人間の安全保障無償に関わる情報公開促進 評価結果に基づく提言

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