ODA評価 年次報告書202112国際社会におけるモンゴルによる日本の立場の支持、モンゴルにおける日本のプレゼンス強化、モンゴルへの日本企業の進出や経済関係強化、友好関係の促進、モンゴル国民の日本に対する理解度のいずれにおいても、日本の対モンゴルODAは一定程度の波及効果をもたらしたと言い得る。次期国別開発協力方針の改訂においては、モンゴルの持続可能な経済成長と社会の安定的発展を目指し、支援効果をさらに高めるためには、5年の政策策定スパンにおいて、より明確な地域開発戦略と事業計画を策定することが望ましい。プロジェクト実施中のモンゴル側関係者の頻繁な人事異動や転職により、プロジェクトの遅延、人材育成のやり直し、技術移転内容が残らないことなど、進捗や効果の定着に影響した案件が散見された。ODA事業を実施する際には、あらかじめ支援対象となるモンゴル側の組織内に情報共有の仕組みを導入しておくことが望ましい。モンゴルにおけるODA事業実施時には、省庁再編が頻繁に起こり得る国であることを十分に認識することが重要である。選挙のタイミングにおいては、支援先の組織に影響を及ぼす可能性について事前に情報を収集し、複数の対応策を準備することが有用である。また、過去に選挙後の省庁再編を経験した専門家から情報共有や助言を得ることは効果的である。複数の省庁が関与する事業においては、事前に関係省庁の果たす役割を把握し、必要な予算や人員の確保の確認や関係者による意見交換・情報共有の場を設けることが望ましい。相手国の慣習と各省庁の所管に配慮しつつ、事業における各省庁の責任を明確化することが有用である。新ウランバートル国際空港運営事業: 自動チェックインの訓練(NUBIA社提供)日モ病院におけるICU開院前のシミュレーションの様子オルホン県地域診断治療センター(RDTC)の研修医主体で実施している 勉強会(2) 外交的な波及効果(1) モンゴルの持続可能な経済成長と社会の安定的発展に向けたより明確な地域開発戦略と事業計画の策定(2) 頻繁な人事異動に対するリスク軽減の取組強化(3) 省庁再編が頻繁に発生する国における取組強化(4) 複数の省庁が関係する事業における関係者の役割分担の明確化評価結果に基づく提言
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