フィリピンでは、今後同国の中進国入りに伴い、日本の技術を活用することを条件とする円借款の終了が見込まれています。しかし、フィリピン側からは日本の技術を活用した支援の要望が強く、今後もそのニーズにこたえるような支援の工夫が望まれています。「フィリピン国別評価」では、インフラ整備における日本の技術を活用した支援や他のドナーとの協調融資や海外投融資を活用した民間セクターとの連携事業が今後より重視されるとよいとの提言がなされました。外務省は、中進国に対する開発協力の国際的ルールに沿いながら、フィリピン側の個々のニーズにこたえる協力の在り方を両国間で緊密に協議していきます。その際には、民間や他のドナーとの連携強化も検討していきます。 「日本NGO連携無償資金協力の評価」では、NGOの自主性を尊重し、NGOの固有の価値を活かしながら日本NGO連携無償資金協力が運用されていることについて評価されました。他方、支援対象事業が網羅的になっているため、日本NGO連携無償資金協力全体の方向性や重点項目を示す戦略文書の作成を検討するべきであるとの提言がなされました。外務省としては、日本NGO連携無償資金協力全体の方向性や戦略をより明確にするよう努めます。また、その過程において各NGOの組織基盤を考慮する仕組みを検討していきます。 「女性のエンパワーメント推進にかかるODAの評価」では、被援助国及び国際社会に対し、ジェンダー分野における日本の貢献を十分に示せるよう、ジェンダー分野における代表となるような案件を形成し、それを日本のODAの前面に押し出すべきであるとの提言がなされました。また、アピールできる実績を作ることは、他ドナーとのさらなる連携に役立てることができ、協力関係の強化、さらに日本のジェンダー支援の強化につながることが期待できるとの提言がなされました。日本政府はこれまで、インドにおけるメトロ事業での女性専用車両やパキスタンにおける女性専用バスの整備など、日本が得意とする公共インフラ事業を通じた女性支援を行ってきました。これらの支援は、女性の社会進出につながるとして高い評価を受けています。外務省としては、他国における同様の事業の実施可能性について検討するとともに、国内外における優良事例の周知や広報に努めていきます。 「SATREPS(地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム)の評価」では、案件採択において、共同研究を実施する相手国の運営機関に対し、不採択になった理由が十分に説明されていないとして、今後どのような改善をすれば採択の可能性があるかなど、相手国側に未来志向的な情報提供を行うことにより、相手国のオーナーシップを醸成することが重要であるとの提言がなされました。外務省としては、案件の検討結果を相手国に通報するにあたり、今後は不採択理由を説明できるよう調整していきます。 「2013年度ペルーに対する次世代自動車ノンプロジェクト無償資金協力の評価」では、今後同様の協力を実施するにあたって、現地の業界団体に対する情報発信や日系社会を通じた宣伝効果の活用などの対応を検討するべきであるとの提言がなされました。外務省は、今後、類似の事業を実施する際には、相手国の一般国民に対する日本製品の普及促進をどこまで求めるかを検討の上、広報を行なっていきます。提言への対応策例08
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