ODA評価 年次報告書2020
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提言の傾向とその対応策 2019年度に実施した5件のODA評価の結果、それぞれの評価案件の個別事情を踏まえた提言がなされました。国別評価と課題・スキーム別評価では評価の視点が異なるため、それぞれの提言を一概に比較することはできませんが、一定の共通点を見出すことはできます。その共通点として次の2分野を抽出し、主な対応策を紹介します。支援の内容などに関する情報公開の促進 支援を行う場合、その目的や背景を含む具体的な支援内容に関する詳細情報を公開し、国民への説明責任を果たし、国民の理解を促進することが重要であるとの提言がなされました。 具体的には、「フィリピン国別評価」では、経済社会開発計画(無償資金協力)や草の根・人間の安全保障無償資金協力に関する具体的支援内容の情報がより詳細に広く公開されることが望ましいとの提言がなされました。 また、「2013年度ペルーに対する次世代自動車ノンプロジェクト無償資金協力の評価」では、ノンプロジェクト無償資金協力(経済社会開発計画)事業を実施するにあたって、国民への説明責任を果たすために、具体的内容、目的、成果指標などを公表することが重要であるとの提言がなされました。外務省では、各事業の報道発表において、その事業の目的など十分に記載し、また、主に在外公館のホームページで引き渡し式の様子を掲載するなどの広報を行っていますが、引き続き、わかりやすい情報提供を通じて国民の理解が得られるよう努めていきます。成果指標の設定 政策実施の効果を測るため、政策の目標達成度合2いを測る指標をあらかじめ設定することが望ましいとの提言がなされました。 「女性のエンパワーメント推進にかかるODAの評価」では、政策目標を確実に達成するために、成果重視型マネジメントを導入すべきであるとの提言がなされました。成果重視型マネジメントとは、具体的な指標と期限を含めた行動計画を策定し、定期的に進捗状況を管理し、目標の達成度合いを測るというものです。また、開発のあらゆる段階において、ジェンダー主流化をさらに推進するための取組みを規定し、行動計画に含めることは有効であるとの提言もなされました。外務省は、成果重視型マネジメントの導入を検討するとともに、今後とも政策目標の達成に向けた取組みの強化とフォローアップを行なっていきます。また、事業実施段階に加え、企画・立案・モニタリング・評価のあらゆる段階でのジェンダー主流化を推進するために、女性活躍推進に寄与した優良事例の収集や分析、政策レベルの調査研究を推進していきます。 「2013年度ペルーに対する次世代自動車ノンプロジェクト無償資金協力の評価」では、無償資金協力全体の仕組みが分かりにくいとの指摘があり、その目的、成果指標などについて、より明確な説明と位置づけを行い、公表することが提言されました。外務省は、事業の目的などについて十分に記載し、国民の理解が得られるよう努めていきます。07

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