ODA評価 年次報告書2020
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コスタリカ・ニカラグア国別評価 (注)ニカラグアについては、情勢が悪化したため現地調査は実施せず、日本国内で文献調査や書面での聞き取り調査によって評価を実施。提言については評価の結果に基づく「教訓」とし、二か国共通のものを導き出している。提言 | コスタリカ対応策の実施状況 | コスタリカ受入槽でバイオガスプラントを作り出す様子(生物多様性保全推進プロジェクト)(コスタリカ)写真提供:今村 健志朗 / JICA 気候変動対策緩和に資する協力の中でも、特に必要性が高まっている都市交通分野における温室効果ガス削減への協力を継続するべきである。特に、温室効果ガス削減効果が高く、日本の技術力や他国における協力経験が生かせる鉄道などの公共交通機関の拡大・整備に資する協力の可能性を検討することが有益である。 地域格差是正が喫緊の課題であるコスタリカにおいて、これまで一部の地域に限られていた活動を、今後は全国的に成果が波及するように支援を強化するべきである。具体的には、農村地域における生活改善支援制度(生活改善アプローチ)構築や首都圏で実施してきた中小零細企業振興支援を全国的に普及させることが有効である。 コスタリカの事例を基に、中所得国特有の課題を整理し、開発協力がどのように貢献できるかを分析し、コスタリカ以外の中所得国への協力政策策定への示唆を得ることは有益である。 コスタリカは三角協力を積極的に進める方針を有している。コスタリカ政府の援助実施能力の強化に資するため、日本はコスタリカをパートナーとした三角協力を推進することが望ましい。 日本のODAについて、事業関係者以外の間でも認知度を高めるような広報戦略が必要である。例えば、日本の広報戦略をコスタリカ側と共有し、事業実施者や受益者の協力を得て、具体的な広報活動を協働で進めることが肝要であり、また若年層を含めた幅広い年齢層に届くようにソーシャルメディアを使うなど、よりインパクトのある広報を実施すべきである。 都市交通分野における協力については、2019年3月、コスタリカでJICAがその協力に関する経験を紹介するセミナーを実施した。また、コスタリカ側関係機関が都市交通分野における今後の事業展開を検討している。 「生活改善アプローチ」については、コスタリカ農牧省による普及活動を後押しするために、引き続き課題別研修を通じて人材育成を進める。すでに「生活改善アプローチ」を活用した活動が実施された地域において、住民が実施した活動を類型化した。中小零細企業振興については、コスタリカで育成された人材を活用しつつ、引き続き中米地域での活動の普及を進めている。 中所得国特有の問題への対応については、2021年以降に予定しているコスタリカ国別開発協力方針の改定時に検討する。 コスタリカをパートナーとする三角協力の推進については、環境保全や地熱開発など日本が技術的優位性を有する課題に関し、中南米域内での活用を念頭にコスタリカ側との協議を継続している。特に、環境保全分野について、実施中の「中米統合機構(SICA)地域における持続的な生物多様性の利用と保全に関する戦略的能力強化プロジェクト」を通じ、過去の協力によりコスタリカに蓄積された知見が中米8か国で活用されることが期待される。24

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