ODA評価 年次報告書2020
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キルギスの羊毛で作られた動物女性の活躍推進と開発~ODAプロジェクトの現場から~コラム 外務省は2019年度、ジェンダー分野におけるODA評価を実施し、ケーススタディ国としてケニアとキルギスを取り上げました。評価団一行は現地の政府関係者、国際機関、裨益者などへの聞き取りを行い、さらにプロジェクト現場を視察しました。 中央アジアに位置するキルギスでは、首都ビシュケクから車で山道を通り数時間、貧困問題がより深刻なイシククリ州にある生産所を視察してきました。そこでは、地域活性化を目指し、商品開発や生産指導などを行うJICAの専門家の指導のもと、女性たちが地域の素材を生かしたフェルト製品や化粧品を生産・販売していました。 キルギスの都市部以外では、一般的に男性が放牧業に従事し、女性が家庭で家事、育児に従事します。そのため、女性が収入を得る機会がなく、地域や家庭で女性の発言権が弱いという課題があります。 この生産活動に参加することにより、それまで仕事による収入を得た経験がほとんどなかった女性たちが、現金収入を得て、それを家計の足しにできるようになりました。この生産所で会った女性たちは、「最初は反対していた家族も自分たちが仕事に行くことに対して好意的になった」、「自分の家庭内における存在感や地位が高まった」と口々に話してくれました。 日本の支援が、女性たちのビジネススキル習得や収入の向上などの経済的な効果のみならず、彼女たちの地位の向上、すなわち女性のエンパワーメントにつながっている好事例です。 また、この地域活性化事業は他ドナーやキルギス政府機関での評価も高く、ジェエンベコフ大統領(2019年9月当時)からも謝意表明があり、良好な二国間関係の維持にも貢献しています。    女性の自立を促す地域活性化事業キルギスイシククリ州のフェルト製品生産所で作業する女性たち17

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