新たな項目が加わり6項目となった DAC評価基準改訂されたDAC評価基準有効性Is the intervention achieving itsobjectives?Effectiveness: 整合性How well doesthe interventiont?Coherence:妥当性Is the intervention doing the rightthings?Relevance:効率性How well areresourcesused?Efciency:インパクトWhat difference is the interventionmaking?Impact: 持続性Will thebenets last?Sustainability:ODA評価の新たな基準コラム ODAの効果がどれほどあったのか、それをどのような基準で評価するか、皆さんはご存じでしょうか。 2019年12月、経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)において、ODA評価の新しい国際基準が採択されました。この新評価基準の採択に向けては、DACの下部組織である開発評価ネットワーク(EvalNet)で、およそ2年間にわたる協議が行われました。議長国・ノルウェーのリーダーシップのもと、ベルギーや世界銀行などのメンバー国や国際機関が参加し、日本も副議長国として重要な役割を担いました。 新評価基準は、1991年以降ODA評価の国際基準となっていたDAC評価5項目を、国際社会の優先課題である「持続可能な開発目標(SDGs)」の理念をより明確に反映させるために約30年ぶりに改訂するものです。「妥当性」「有効性」「効率性」「インパクト」「持続性」に加え、「整合性(Coherence)」を新しい基準として追加しました。「整合性」は、「内部的整合性(Internal Coherence)」と「外部的整合性(External Coherence)」から構成されます。「内部的整合性」は、援助主体(ドナー)の内部の一貫性に着目し、そのドナーによる支援が相互にリンクして相乗効果を生んでいるか、また、開発政策以外の政策(人道支援政策や教育政策など)と整合するかを考察します。「外部的整合性」は、ある支援が他ドナーによる支援と相互補完的か、重複を避けるべく調整が行われているかなどを確認します。 これまでの評価5項目の内容も修正され、「ジェンダー平等をはじめとする公平性が確保されているか」、「環境に優しい持続可能なプロジェクトになっているか」など、SDGsの目標が評価の視点としてより一層明確に組み込まれることになりました。また、特筆すべき点として、開発援助のみならず人道・平和構築支援、民間による取組みを含むより広範な支援活動を評価の対象とすることが挙げられます。 このDACの新評価基準を受けて、2020年6月、外務省は「ODA評価ガイドライン」を改訂しました。今般の改訂では、新たな基準である「整合性」の視点を反映させるべく、「政策の妥当性」の中で開発政策に限らず、広く人道支援政策などの関連施策との政策の一貫性を確認することや、「結果の有効性」の中でジェンダーや民族など様々な裨益グループへの影響にも配慮すべきことを明記しました。また、援助の効果を分析する際には、環境面での持続可能性も考慮することを求めています。 このように、ODA評価のための国際基準は、国際社会の優先課題を反映して刷新されました。持続的な開発を実現するために重要な課題をより一層意識しつつ、日本のODAはどのような開発効果を生んでいるか、誰一人取り残さない社会を目指す上でふさわしい内容となっているか、こうした視点を大切にしながら、外務省はODA評価に取り組んでいきます。09
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