広報・資料 ODAメールマガジン

ODAメールマガジン/2006年6月21日発行 第93号

 ODAメールマガジン第93号は、ボスニア・ヘルツェゴビナから「『戦後復興』から『普通の国』へ ボスニア・ヘルツェゴビナ」「ボスニア・ヘルツェゴビナでの『人間の安全保障』~スレブレニツァ地域における帰還民を含めた住民自立支援計画~」をお届けします。

ボスニア・ヘルツェゴビナ地図

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イラクに対する円借款の供与について(事前通報)
イエメンの「第二次小中学校建設計画(第1期)」に対する無償資金協力について
グアテマラの「第三次地方浄水場改修計画」に対する無償資金協力について
政策評価法に基づく事前評価書(インドネシア)
インドネシアにおける「海賊、海上テロ及び兵器拡散の防止のための巡視船艇建造計画」に対する無償資金協力について
政策評価法に基づく事前評価書(カンボジア:モンドルキリ州小水力地方電化計画)
政策評価法に基づく事前評価書(カンボジア:国道1号線改修計画)
平成18年度外務省委嘱 「地域協力(中米地域)に関する我が国取り組みの評価」評価関連補助業務委嘱先選定のための企画書(プロポーザル)等提出招請の調達情報
ルワンダの「地方給水計画(第1期)」他1件に対する無償資金協力について
アフガニスタンの「アフガニスタンにおける児童の生存のための包括的計画」のためのユニセフに対する無償資金協力について
東ティモールにおける治安悪化により発生した国内避難民に対する国際機関経由の緊急無償資金協力について
ソロモンの「ホニアラ電力供給改善計画(第2期)」に対する無償資金協力について
カンボジアの「国道1号線改修計画(第2期)」ほか4件に対する無償資金協力について
アルジェリアの「漁業養殖技術学院訓練機材整備計画(第2期)」に対する無償資金協力について
ニカラグアの「リバス県、ボアコ県及びチョンターレス県基礎教育施設建設計画(第二期)に対する無償資金協力について
「インドにおけるポリオ撲滅計画」のためのユニセフに対する無償資金協力について
世界の国の報道から(カンボジア)
マラウイの「ブワンジェバレー灌漑施設復旧計画」に対する無償資金協力について
政策評価法に基づく事前評価書(タンザニア:ザンジバル市街地給水計画)
政策評価法に基づく事前評価書(タンザニア:キルワ道路拡幅計画)
政策評価法に基づく事前評価書(ラオス:ビエンチャン1号線整備計画(第2期))
中国の「人材育成奨学計画」および「第二次黄河中流域保全林造成計画」に対する無償資金協力について
タンザニアに対する無償資金協力(「ザンジバル市街地給水計画(第1期)」)について
政策評価法に基づく事前評価書(ラオス:ビエンチャン市上水道施設拡張計画)
タンザニアに対する無償資金協力(「キルワ道路拡幅計画(第1期)」)について
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 なお、このODAメールマガジンでは、ODAの現場で働いている人々や実際にODAを視察した方々の生の声をお伝えしておりますので、本メルマガに掲載されている意見は執筆者個人の意見であり、政府の立場を示すものではありません。


「戦後復興」から「普通の国」へ ボスニア・ヘルツェゴビナ 原稿執筆:在ボスニア・ヘルツェゴビナ日本大使館 室谷 龍太郎 一等書記官

 ボスニア・ヘルツェゴビナは2005年、紛争終結から10周年を迎えました。
 独立宣言直後に紛争が始まったことから、紛争のイメージが強いこの国ですが、10年が過ぎて首都サラエボでは紛争の傷跡を見つけるのが難しいくらいになってきました。

 今、ボスニアは「戦後復興」という特殊な国から、EU加盟を目指す「普通の国」へ生まれ変わろうとしています。

日常生活が戻ったサラエボ
日常生活が戻ったサラエボ

 戦後復興を支援してきた日本の援助も、10年が経って大きな転換点に差しかかっています。

 紛争終結の直後は、紛争で破壊された電力網、病院、市民の足となるバス等の「モノ」を直したり新しく供与する支援が重点的に行われていました。
 しかし、10年が経過して、このような復興支援の必要な時期は終わりに近づき、自立した経済発展のための「ノウハウ」が求められるようになってきました。

 復興支援に大きく貢献した日本への期待は高く、投資の促進、中小企業の振興、エコ・ツーリズムによる地域開発等への支援が始まりつつあります。

紛争終結後修復され、世界遺産にも登録されたモスタルの「スターリ・モスト」
紛争終結後修復され、世界遺産にも登録された
モスタルの「スターリ・モスト」

 一方で、まだまだ紛争の傷跡から立ち直れないで苦しんでいる人達もいます。
 特に紛争で住み慣れた町を追われた人達の中には、未だに元居た町に戻れずにいたり、元の町に戻っても経済的に自立できずに苦しんでいる人が大勢います。
 紛争中最大の悲劇の一つが起こった町スレブレニツァでは、JICAから派遣された大泉専門家が地域住民の自立のために活動しています。

 民族間の融和も大きな課題ですが、日本の支援は民族間の対話の「きっかけ」になることも少なくありません。
 紛争で分断された人々が観光開発を通じて新しい協力関係を築いたり、民族毎に別々の教室で授業をしている学校が民族合同の授業を始めることを考えたり、「平和の定着」を目指して、いろいろな試みが進められています。

 この国が「普通の国」に戻るには、経済の発展と共に、こうした住民ひとりひとりの生活の改善と安定が欠かせません。

スレブレニツァでの農村社会調査
スレブレニツァでの農村社会調査
JICAの支援で作られた観光案内所
JICAの支援で作られた観光案内所

 ボスニアの人達は誰もが日本人に対してとても優しく接してくれます。
 紛争終結直後に日本政府が供与したバスや道路建設機材は今でもよく使われていて、一番困っていた時に日本が助けてくれたことを覚えているからです。
 日本のような遠い国の人達が助けてくれたことに、彼らはとても感謝してくれています。
 私も11年前に神戸で阪神大震災を経験したので、その気持ちは良く分かります。
 「戦後復興」で大きな貢献をした日本が、ボスニアが「普通の国」になる努力を最後まで応援したい。
 それが、ボスニアで働いている日本人の願いです。

サラエボ、バニャ・ルカ、モスタルに供与されたバス。日の丸を付けて今も走っている。
サラエボ、バニャ・ルカ、
モスタルに供与されたバス。
日の丸を付けて今も走っている。
日本の支援で建てられた小学校。今では平和教育の支援も行われている。
日本の支援で建てられた小学校。
今では平和教育の支援も
行われている。


ボスニア・ヘルツェゴビナでの「人間の安全保障」 ~スレブレニツァ地域における帰還民を含めた住民自立支援計画~ 原稿執筆:JICA専門家 大泉 泰雅 さん

 スレブレニツァ市は1992年3月末に勃発した紛争により、この50年間にヨーロッパで起きた紛争の中でも最悪の虐殺事件が繰り広げられた所と言われています。
 この谷間の小さな街はセルビア人勢力に包囲され孤立状態が1995年8月末まで続き、この間に避難していたボスニアック(イスラム教徒)への凄惨な虐殺が繰り広げられました。
 特に襲撃を恐れた多くの住民は北東へ約80キロメートル離れたトゥズラの街へ向けてセルビア人勢力に支配された山中を逃避し、その道中で8千から1万人が虐殺されたと言われています。
 今では多くの遺体が掘り起こされ、身元が判明した市民1,937名が逃避の出発地であったポトチャリの集団墓地に家族の手で埋葬されています。

 プロジェクトを実施しているスレブレニツァ市スケラニ地区は、ドナウ川の支流のドリナ川に沿って広がる山間地区で、紛争後11年目の春を迎え山桜と深い新緑に包まれた酪農村です。
 この地区では2002年から住民の帰還が始まり、主要道路沿いには新しい村案内の看板が立てられ、復興が軌道に乗りつつあることを示しています。
 しかし、多くの帰還家族や一家の働き手を失った母子家族の経済基盤は脆弱で、援助物資、各種年金、児童育英基金に頼った暮らしをしています。

 プロジェクトは、このスケラニ地区の帰還民を含めた住民の経済的自立を目指して、2006年3月から2ヵ年の予定で開始されました。
 帰還家族と母子家族を主な支援対象者として、NGOが活動の中心になり果樹の植え付け、農業機械の共同利用、ハーブ・キノコ・イチゴ・野菜の栽培、養蜂、羊飼育、干草生産、家畜市場開設、各種農産物加工事業への支援を行っています。

干草生産グループの活動計画立案:地域は良質の牧草生産地帯であることから、干草を生産し都市近郊酪農家への販売を計画しています。このグループは両民族で構成されています。
干草生産グループの活動計画立案:
地域は良質の牧草生産地帯であることから、
干草を生産し都市近郊酪農家への販売を計画しています。
このグループは両民族で構成されています。

 あるNGOの責任者はトゥズラへの逃避に加わった青年で、数少ない生存者の一人です。
 彼が住む集落では、父親や青年は殺害され現在7戸の母子家族が住んでいますが、男手は彼一人で、これら家族への日常の世話をしながらNGOを設立し、集落の復興に役立とうと努力しています。
 プロジェクトでは、ハーブとマッシュルーム生産への支援を彼の住む集落でも行います。

母子家族によるハーブ苗床準備:両民族の母子家族がハーブの栽培から乾燥までの事業を行います。
母子家族によるハーブ苗床準備:
両民族の母子家族がハーブの栽培から乾燥までの事業を行います。

 彼は、「過去を決して忘れはしないが、振り返っていてもしようがない。
 二人の子供の将来が自分のすべて」と話しています。
 スレブレニツァのボスニアック、セルビア系の両民族は、10年前の悲しい記憶を誰もが持っています。
 プロジェクトは開始されたばかりですが、これらの事業が紛争によって冷えた民族間の和解への一助になり、バルカン地域の人間安全保障を重視した地域開発のモデルとなることを目指しています。



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