広報・資料 ODAメールマガジン

ODAメールマガジン/2005年12月21日発行 第81号

 ODAメールマガジン第81号は、平成17年度ODA民間モニター・中国班から「平成17年度ODA民間モニターからの報告」、モロッコから「我が国の対モロッコ経済協力について」「モロッコへの協力と帰国研修員」と、「モロッコ地方村落妊産婦ケア改善プロジェクト」をお届けします。


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New!ODAホームページ新着情報
スマトラ沖大地震およびインド洋津波被害対する二国間無償資金協力中間報告会の結果 ODAホームページ
イラク:ムサンナー県での最近の主な支援の動き
世界の国の報道から(スリランカ)
平成17年度 ODA民間モニター報告書(第II期派遣)
スリランカ民主社会主義共和国に対する債務救済措置(債務支払猶予方式)について
イラク復興支援経済協力事業について(イラク復興雇用計画 III、ムサンナー県電力網強化計画)
イラク・ムサンナー県青年スポーツ局に対する草の根文化無償資金協力について
技術協力に関する日本国政府とウガンダ共和国政府との間の協定の署名について
日本NGO支援無償資金協力(平成17年度の交換公文締結日別)
政策評価法に基づく事前評価書(ネパール王国)
「パキスタン・イスラム共和国における国道25号線(カラローワッド間)改修計画(詳細設計)」のための無償資金協力について
ネパールの「地方都市上水施設改善計画」に対する無償資金協力について
ODAメールマガジンは、ODA政策や様々な情報をタイムリーにお届けします。
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 なお、このODAメールマガジンでは、ODAの現場で働いている人々や実際にODAを視察した方々の生の声をお伝えしておりますので、本メルマガに掲載されている意見は執筆者個人の意見であり、政府の立場を示すものではありません。


平成17年度ODA民間モニターからの報告 原稿執筆:平成17年度ODA民間モニター・中国班 茂木 幹夫さん(会社員)
写真

 近頃なにかと軋轢のある中国で、なにかと批判の多い中国へのODAを、参加者の中では数少ない会社員の立場で、冷静に客観的に眺めてきたつもりである。
 結論から言えば視察した案件でODA資金は無駄には使われていなかった。

 中国は、大きくそして多様である。
 たぶん、大幅に増加した外貨準備高や沿岸部大都市の急速な発展とそこから生まれる巨額の利益も、全体に均等に振り分けたら、広大な国土と膨大な人口の前ではすぐに消費され、多くの年月を積み重ねない限り、近代化を押し進めることはできないのだろう。

 したがって、中央、地方を問わずまずは中心部だけを見違えるように整備し、対外的に表の顔だけを整え(近代化し)てから、少しずつ周辺へ広げようとする選択もやむをえないのかもしれない。

 中国の矛盾や中国に対するODAへの批判もそこに一つの原因があるのだが、一歩外れた周辺部を実際に見ると昔のままの変わらぬ中国があり、そこには厳しい環境と多くの困窮した人々がいる現実があった。

 今回の訪問で僅かな資金協力でもそれがいかに役に立っているかがよく分かり、視察するのが恥ずかしくなるほど歓迎を受けた。
 それは、人々の期待と感謝の気持ちの現れでもあったと思う。
 さらに、その厳しい環境下で献身的に体をはって働く日本人の姿もあった。

 青年海外協力隊員ばかりでなく、同行してくれた現地のJICA、JBICの関係者も、使命感にもえ情熱を傾けてそれぞれの立場で真剣に取り組んでいた。
 外務省の筋書きに載るつもりはないが、今改めて中国ODAは必要かと問われれば、即座に必要と断言できる。求められるのは、選択と連携と永続性である。
 作ったら終わりではなく、有償、無償、技術協力、草の根、NGOがそれぞれの立場で協力しあって永続性をもってフォローしていくような対応が望まれる。

 北京市の地下鉄よりは砂漠の潅漑・緑化である。校舎を無償で建てたら、NGOに引き継いで教材を支援するような連携した取り組みが必要である。
 また、支援するからには、ゆるぎない方針を堅持し、日本の意見や主張をとりいれてもらう努力も必要である。



我が国の対モロッコ経済協力について 原稿執筆:在モロッコ日本国大使館 居島 一仁 書記官

1.はじめに

 モロッコと聞いて、皆さんはどのようなイメージを抱くのでしょうか。
 映画「カサブランカ」、フェズやマラケシュのような世界遺産、サハラ砂漠のイメージ、それとも、日本が輸入してきたモロッコ産タコでしょうか?

2.モロッコ社会・経済の特徴とモロッコ政府の努力
 ~大きな格差が存在する社会とその対策~

 モロッコ経済は、農業生産が天候に左右されやすいこと、石油資源を有しないことから 石油の国際市場価格変動が貿易収支に大きく作用すること等、外的要因による経済変動が大きいという脆弱性を有しています。

 また、若年層、高学歴者を中心とする高い失業率、社会層地域間の貧富の格差、低い識字率等の社会問題が依然として存在しています。

 そのため、モロッコ政府は各国及び国際機関と協力し、これらの問題を解決すべく努力しています。
 2005年5月には、国王の指示により策定された「人間開発のための国家イニシアティブ(INDH)」が公表され、今後の国家開発の重要指針のひとつと位置づけられました。

これは、
・農村部貧困対策プログラム
・都市部における社会格差対策プログラム
・生活脆弱者対策プログラム
・横断的プログラム
 の4つのプログラムで構成され、政府、地方政府等が中心となり、2010年までに100億DHを投じて実行される政策です。

3.日本のモロッコ経済協力史

 日本はモロッコに対し、1967年の青年海外協力隊派遣取極の締結を皮切りに、我が国のODA黎明期から技術協力を中心に経済協力を実施し、その後、1974年1月の小坂善太郎特使の訪問を契機として、その後4次にわたる「国鉄輸送力増強計画」において有償資金協力を、さらに、1979年度から無償資金協力を開始し、有償・無償・技協の3本柱でモロッコへの経済協力を行っています。

 2005年末までの援助実績は、円借款1,693億1,200万円、無償資金協力288.5億円(以上、交換公文ベース)、技術協力272.77億円(JICA経費実績)です。

 2005年11月にモハメッド6世国王をモロッコ国王として初めての国賓として日本に招待し、円借款(下水道整備計画、地方電化計画(III))、ノンプロ無償及び文化無償(モロッコ王国王立図書館の音響・照明・視聴覚機材購入)の交換公文書署名式が行われました。
 モロッコ国内でもその模様が紹介され、モロッコの多くの方々から日本の協力への感謝を頂いています。

 日本は、今後とも、民主化、経済改革への努力及びモロッコの最重課題の一つである社会・地域間格差の是正への努力を支援し、モロッコ国民の生活向上に貢献するために、在モロッコ日本国大使館、JICA、JBIC等の協力・連携を更に深め、効率的な援助を行います。

4.主な協力内容

(1) 有償資金協力(円借款)
 1975年度の運輸(鉄道)分野での協力を皮切りに、同国の最重要分野である農・漁業振興のための「農業信用金庫計画(ツーステップ・ローン)」、都市部・地方部における経済インフラの整備(道路、電力、上下水道等)及び中学校建設等の社会インフラ整備に円借款が活用されており、モロッコ経済の発展及び都市・地方間の格差是正に貢献しています。

(2) 無償資金協力
 漁業訓練に係る協力を皮切りに、水産分野、農業・食糧増産分野、水供給分野、保健・医療、文化無償、草の根・人間の安全保障無償等を行ってきております。
 特に、蛸等海産物の日本への輸出が多い実績を有しているモロッコの重要性等を考え、日・モロッコ間の漁業分野の連携を重視してきたことから、漁業分野への支援が多いのが特徴です。
 近年では、地方部の生活環境の改善の視点から、妊産婦等を対象とした保健医療分野にも力を入れています。

(3) 技術協力
 農林水産、水資源、鉱工業、インフラ整備等の分野で専門家、調査団及び青年海外協力隊・シニア・ボランティアの派遣、研修員の受入を行い、顔の見える援助を継続しています。

 2003年度には日本とモロッコとの間でパートナーシップ・プログラムを締結し、主に仏語圏アフリカ諸国を対象としたモロッコにおける第三国研修が実施されています。



モロッコへの協力と帰国研修員 原稿執筆:国際協力機構モロッコ事務所 小畑 永彦さん

 カサブランカ、マラケシュ、フェズなど、日本でも観光の面で知られてきているモロッコは、北アフリカの地中海、大西洋に面する人口3千万の国です。

 日本は主にタコなど魚介類をモロッコから輸入、モロッコに対しては自動車など機械類を輸出しており、日本からの年間観光客も1万5千人を超えてきています。

フェズの旧市街(メディナ)
フェズの旧市街(メディナ)

 比較的発展している首都のラバトやカサブランカなどの都市部に対して、地方の村落部は経済的社会的にもまだまだ大きな問題を抱えており、例えば非識字率は男性が半分近く、女性では8割近くに及び、3割程度の児童しか中学校に就学できていない状況です。

 また、妊産婦、乳幼児の死亡率は非常に高く、上水道へのアクセスが6割程度です。
 国連開発計画(UNDP)の人間開発指標では177か国中124位と中東・北アフリカ諸国のなかでも低位に留まっています。

村落部の小学校
村落部の小学校
水汲み風景
水汲み風景

 先般11月下旬に国賓として訪日したモハメッド6世国王は、今年5月に人間開発国家イニシアティブ(INDH)を発表し、地方部の貧困対策、保健や教育など社会的サービスへのアクセス改善に国を挙げて取り組み始めており、日本も支持を表明しました。

 日本は、40年近くにわたる経済技術協力で、水産、農業、飲料水の供給、道路整備、地方電化や、最近では保健医療、基礎教育分野に力を入れてきています。

 この過程でモロッコからは900名を超える技術研修員を日本に受入れ、近年は環境対策分野の研修員を多く受入れています。
 協力の歴史の長いモロッコへの青年海外協力隊等ボランティアの派遣数は800名近くにのぼり、主に地方部での職業訓練や青少年の育成などに活躍しています。

 また、特に水産や道路保守、水道管理などの分野では日本の協力により人材が育成されたモロッコの実施機関がアフリカ諸国から研修生を受け入れて研修を行うに至っており、我が国はこのような南南協力促進への支援も行なっています。

第三国研修(上水道管理)
第三国研修(上水道管理)
第三国研修(水産加工)
第三国研修(水産加工)

 日本で研修し帰国した技術研修員はJICA事務所へ報告に訪れます。
 専門の技術分野だけでなく、日本人の勤勉な姿勢、道路やトイレ、ゴミ処理など衛生的な環境、ホテルやレストランでの迅速できめ細かなサービス等々、日本社会を多角的に観察してきて熱っぽく語る姿には、モロッコにも沢山よいところはあるじゃないかとついフォローしたくなるほどです。

 研修員が帰国後、同窓会をつくり活動している例は多くの国でありますが、モロッコの研修員同窓会も活発に活動を行っているひとつといえるでしょう。
 私達JICAの事務所員、専門家や協力隊員、大使館員など在留日本人とともに、地元中学校を訪ねて日本文化紹介行事を企画したり、研修旅行を行い地方の農業事情や開発プロジェクトの視察、病院・孤児院を訪問し寄付を行ったリ、環境保全に関するシンポジウムを開催したり、12月17日にも母子保健に関する啓蒙シンポジウムを開催しました。

地元中学校を訪ねて
地元中学校を訪ねて
母子保健セミナー
母子保健セミナー

 同窓会では「橋HASHI」と名づけた機関紙も年1回発行しています。
 このような帰国研修員がまさに日本との友好の架け橋となり、また、自国の発展のためにそれぞれの職場で活躍している姿を見ることは国際協力に携わるものとして大きな喜びです。
 彼らとともにモロッコの一層の発展に向けて活動していきたいと思っています。



モロッコ地方村落妊産婦ケア改善プロジェクト 原稿執筆:JICA地方村落妊産婦ケア改善プロジェクト専門家 小正路 有美子さん

 現在、モロッコでは都市部と村落地域の格差是正を目的とした地方開発支援プログラムのひとつとして、2004年から「地方村落妊産婦ケア改善プロジェクト」を実施しています。

 モロッコの母子保健に関する統計では、乳幼児死亡率(出生千人対)は40(Enquete sur la Population et la Sante Familiale 2003-2004)で、日本の約13倍、妊産婦死亡率(出生10万人対)は227(同調査)と日本の約37倍にあたり、近隣諸国と比較しても高く、モロッコ保健省は妊産婦死亡の低減を近年の最優先課題として取り組んでいます。
 また、施設出産率は都市部が83%であるのに対し、村落地域は38%にとどまり、村落地域の改善は重要な課題です。

村落地域のお母さんと子ども
村落地域のお母さんと子ども
新人助産師配属時の研修の様子
新人助産師配属時の研修の様子

 妊産婦ケア分野の課題は、保健センターへの物理的アクセスの問題、経済的・社会的な要因(夫、家族の了解が必要)など、様々な要因が絡み多岐にわたりますが、プロジェクトでは、サービスを提供する側(助産師や看護師)のケアの質を改善することが優先的で実効性の高い課題と考え、助産師・看護師の養成学校卒業後の教育の強化を図っています。

 その中でも重点を置いているのは卒後3年間の教育です。
 助産師・看護師は学校を卒業しても技術的に未熟なため、卒後の数年間は集中的かつ継続的な教育が必要なことは日本でもモロッコにおいても同じです。
 モロッコではここ数年来、助産師・看護師の卒後の教育の重要性が認識され、保健省や外国援助機関の予算で研修が実施されています。
 しかし、効果的な研修時期や内容の組み合わせ、その後の指導体制には改善の必要な点があります。

 現在、プロジェクトのパイロット県では、現場に配属前の新人助産師・看護師の研修を実施しています。
 今年は従来の県病院での産科中心の研修に、医療機材管理の研修を新たに加えるなど、 現場のニーズに沿った研修を試行錯誤しているところです。

 先日、実施した医療機材管理の研修は、県保健支局の機材担当技師が、日本から派遣された短期専門家の指導の後、自ら企画し実施したものです。
 この研修は講義と実習で構成され、半日かけ実施されました。

 県内の状況を十分に把握している技師ならではの視点で、機材管理の注意点のみならず、配属先の環境を考慮したアドバイスにより、新人助産師の今後のケアに大変有意義なものでした。

 彼女らは、学校で分娩用吸引器について学ぶ機会はあったのですが、今回の研修によって機材の組み立てやゴム管の接続等、現場で点検・使用できるレベルになりました。

 助産師はこの研修について
 「学校では教科書で習ったが、実習では使ったことが無かったので、実際に触れて学ぶことができ良かった。」
 「滅菌する物品の材質によって時間が異なることが具体的に分かった。」
 など、知らない点や曖昧であった点が明確になったことを高く評価していました。

 出来ると思っていることと実際にできることは乖離している場合があり、演習や実習を通して実際の技術を確認していくことは非常に大切です。
 また、この研修を担当した技師は、今後彼女らの配属先の保健センターを訪問して研修後も継続して指導していくと語り、指導する側の意欲も高まりつつあるところです。
 今後より活発な活動につなげたいと思っています。

医療機材管理研修の様子 医療機材管理研修の様子
医療機材管理研修の様子

 モロッコの助産師・看護師は、専門職としての教育を受けた優秀な人も多くいます。
 近年は大学卒業後に助産師・看護師学校に入学する高学歴の人も少なくありません。
 そのためか、自信を持つあまり自分の提供するケアを改善する必要性に気づかないこともあるように感じます。

 専門職としてプライドを持つことは非常に重要ですが、自らの行動を振り返ることや、なぜ改善する必要があるのかといった点に気づくことによって、ケアの質が更に向上することが期待されます。専門職として常に研鑽を積むことは適切なケアを提供するための必須条件です。

 プロジェクトが取り組んでいる卒後教育の強化を通して、モロッコの妊産婦ケアを最前線で担う助産師・看護師の能力が向上し、より良いケアが提供されることを目指していきたいと思っています。



編集・発行 外務省経済協力局(〒100-8919 千代田区霞が関2-2-1)

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