広報・資料 ODAメールマガジン

ODAメールマガジン/2005年9月21日発行 第75号

 ODAメールマガジン第75号は、タンザニアから「タンザニア国別評価チームの来訪」、ガーナから「より良い援助に向けた日本の取り組み」ウズベキスタンから「相互の助け合いで自立支援を~対ウズベキスタン草の根・人間の安全保障無償資金協力より」をお届けします。


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 なお、このODAメールマガジンでは、ODAの現場で働いている人々や実際にODAを視察した方々の生の声をお伝えしておりますので、本メルマガに掲載されている意見は執筆者個人の意見であり、政府の立場を示すものではありません。


タンザニア国別評価チームの来訪 原稿執筆:在タンザニア日本大使館 経済協力班長 横林 直樹 書記官

 アフリカ大陸の東側に位置し、インド洋に面したタンザニアは、名峰キリマンジャロや野生動物の宝庫として有名な常夏の国です。
 南半球に位置するため首都のダルエスサラームは一年で一番涼しい時期をそろそろ終え、これから猛暑の時期を迎えようとしています。

 このような中、8月末から約二週間、外務省から委託を受けた国別評価チームがタンザニアを訪れました。
 今回の評価チームは有識者評価ということで、中立的な立場からタンザニアに対する日本の国別援助計画の評価を行うため現地調査に来られました。

 メンバーはUNFPA東京事務所長を務めておられる池上清子さんをヘッドに、アジア生産性機構工業部長の井上健さん、外務省職員、コンサルタントの計5名。
 滞在期間中は政府、外国の援助機関、国際機関を始め、大使館、JICAタンザニア事務所の関係者との意見交換やプロジェクト・サイトの視察など精力的に日程をこなされました。

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 今回の現地調査の評価ポイントは、次の3点に集約できると思います。
 まず一点目は、現在の国別援助計画は2000年6月に策定され、任期を終えようとしていますが、過去5年間、日本のタンザニアに対する援助は同計画に従って実施されてきたかどうか。
 二点目は、国別援助計画に掲げられた重点分野がタンザニアの現状に即しているのかどうか。
 三点目は、今後新しい国別援助計画を策定する際に留意すべき点は何かという点です。

 現在の国別援助計画に掲げられている重点分野は、
 (イ)「農業・零細企業の振興のための支援」
 (ロ)「基礎教育支援」
 (ハ)「人口・エイズ及び子供の健康問題への対応」
 (ニ)「都市部等におけるインフラ整備等による生活環境改善」
 (ホ)「森林保全」
 の5分野です。

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 過去5年間の援助実績を分野別に見た場合、日本は農業、基礎教育、保健、インフラ整備に対しては積極的な援助を行ってきましたが、零細企業の振興及び森林保全についてはほとんど実績がなかったといえます。

 どうしてこのような対応になったのでしょう。
 これを理解するためには、タンザニアが置かれている状況を見てみる必要があります。 タンザニアは他のサブ・サハラ・アフリカと比較しても極めて政治的に安定した国ですが、独立直後より1980年代半ばまで社会主義政策が取られた負の遺産もあって、依然として一人あたりのGDPが300ドルにも満たない最貧国です。

 先日発表されたUNDPの人間開発指標(HDI: Human Development Index)でも177か国中164位という低位置です。
 まだまだ貧困削減に向けた支援が必要な状況なのだと言えます。

 また、タンザニア政府が2000年9月に策定した貧困削減戦略(PRS: Poverty Reduction Strategy)では、教育、保健、農業、水、道路、HIV/AIDS、司法制度の7分野が開発の優先分野に指定されました。
 限られた日本のリソースを、タンザニアの戦略に沿った形で実施する必要があったからだと言えます。

 評価チームからは、5つの重点分野の選定が、現場のニーズを十分踏まえたものだったのか、同じ年に策定されたPRSとの整合性を図ろうとしなかったのかという指摘がなされました。

 一方、評価チームの注目を集めたのは、この国で行われている援助協調の実態でした。
 各援助国がバラバラに支援を行うのではなく、特定のセクターや国レベルにおいて、途上国政府と援助国・機関がパートナーシップを組み、途上国の開発戦略に沿って援助を協調して行っていくことを援助協調といいます。
 その援助ツールとしては一般財政支援(※1)や共通基金(コモンバスケット)(※2)が主流化しています。

 2001年に正式に始まったタンザニアの一般財政支援である貧困削減財政支援(PRBS: Poverty Reduction Budget Support)には、日本も含め現在14の援助国・機関が参加し、総額約600億円の資金を政府に提供しています。

 このPRBSを通じ、政府は開発資金の管理、公共部門のサービス・デリバリーの改善、地方分権化等のマクロレベルの改革を推進し、開発部門における中央・地方政府機能を強化し、中長期的に持続的な開発が可能となるよう努力しています。

 興味深いことに評価チームがインタビューを行った政府機関、援助国・機関の関係者からは、現在の取組を肯定的に捉えるのみならず、一般財政支援の更なる主流化を求める声がほとんどであったという点です。

 現在、タンザニアでは政府と援助国・機関の間で共通の援助戦略(JAS: Joint Assistance Strategy)を策定する話が持ち上がっています。

 つまり、各援助国・機関がもっている国別援助計画を一本化してしまおうという野心的な取組です。
 現在の日本の国別援助計画が任期を終え、次の援助計画の策定を検討する際には、JASの内容を十分踏まえなければならなくなると思われます。

 今回の調査チームの報告書・提言が、外務省に提出されるのは明年初頭になると思います。
 調査チームの方々にとっては中立的な立場から客観的にタンザニアにおける日本の援助の現状、日本の援助に対する期待につき現場の生の声を聞くことが出来たことはとても有益であったと思います。
 現場における援助が更により良いものになるような提言が行われることを期待します。

※1 開発途上国と援助国・機関が合意した戦略に基づいて、国家レベルでの開発効果を目指して、被援助国政府の一般会計に資金を直接拠出する援助方法のこと
※2 特定のセクターの戦略を実施するため、援助国・機関が資金をプールする援助方法のこと


より良い援助に向けた日本の取り組み 原稿執筆:在ガーナ日本大使館 中瀬 崇文 専門調査員

 ガーナは、タンザニア、ウガンダ、エチオピア、モザンビークなどと同じように援助協調と言われるものが活発な国の一つです。
 援助協調とは、途上国自身が作った開発の指針に基づいて援助国が支援を行おうとするもので、色々な分野で援助国とガーナ政府は率直な意見交換をしながら、一緒に開発に取り組んでいます。

写真

 援助協調はガーナ政府の開発の指針と十分に連携をとり、日本の援助がガーナの人々に長く役立つために必要なもので、言い換えれば日本がより良い顔の見える援助をするためにも非常に重要なものです。

 このような考えから、日本もその例にもれず、教育、民間部門開発、保健などをはじめとした分野でガーナ政府や他援助国と共に協議、活動をしています。

 ガーナ政府の主導による援助国との意見交換の結果、教育分野では学校教員の能力向上を重点分野の一つとしています。
 日本もその意見交換の場に積極的に参加しながら、「小中学校理数科教育改善計画(STMプロジェクト)」という技術協力プロジェクトで教員を育てるためのガーナ政府の活動を支援してきました。
 このプロジェクトによって、対象地域の多くの教員が理数科の教授法についてのアイディアを育み、それぞれの学校でそのアイディアを同僚教員に広げています。

 また、日本は、STMプロジェクトの効果を更に広げるべく、プロジェクトの研修を受けた教員が活躍する現場である小・中学校の教室の建築などを草の根無償資金協力によって実施しています。

 このようにガーナ政府との意見交換などを更に強化することで、ガーナ政府の開発への指針と日本の援助の連携を更に強め、また日本の援助を効果的に組み合わせることで、よりよい顔の見える援助が実現すると考えられます。



相互の助け合いで自立支援を~対ウズベキスタン草の根・人間の安全保障無償資金協力より~ 原稿執筆:在ウズベキスタン 日本大使館 北村 弘子 書記官

 絹の道(シルクロード)における東西貿易の中継点として栄えてきた、サマルカンド、ブハラ、ヒヴァの古代都市を抱えるウズベキスタン。

 ソ連崩壊と共に独立したウズベキスタンは同じく旧ソ連構成国であるカザフスタン、タジキスタン、キルギス、トルクメニスタンと国境を接しており、また、アフガニスタンとも国境を接しています。

 国土面積は44万7,400平方キロメートルで、日本の約1.2倍です。
 人口は2,500万人を超え、中央アジア全体の約半分にあたり、世界でも珍しい「ダブル・ランドロックト・カントリー(二重内陸国)」です。

 東西南北どの方向に向かっても海に出るまでに2つ以上の国境を越える必要があります。

 気候は大陸性ステップ気候の特色そのものを体現しており、真夏(7月末頃から8月末まで)には日中の気温が40度を超え、まるでサウナ。
 日陰に吹く風もドライヤーが吹き付ける空気のようです。

 日本からは遠い未知の国という印象を持つ人もいるかもしれません。
 しかし、三蔵法師やアレクサンダー大王が訪れた土地と聞けば、学生時代の世界史の授業を思い出す人もいると思います。

 現在では、日本からタシケントへの定期直行便が週二回運航されています。
 さらに、ウズベキスタンの国民は、非常に親日的で、日本に対する関心も高く日本語学習熱も高く、学習機関も15か所あり、学習者が1800名以上います。

 ウズベキスタンに対する経済支援は1993年の技術協力から始まり、草の根・人間の安全保障無償資金協力(以下「草の根無償」)も1995年から始まりました。

 草の根無償は、直接住民に裨益する支援として、現在では年間20~30件の案件を実施し、高い評価を得ています。
 ウズベキスタンの地方への支援も進み、毎年多くの要望が寄せられています。

 今回は、これまで実施してきた草の根無償案件のうち2003年度案件「フェルガナ市女性と身体不自由者の適応センター整備計画」について紹介したいと思います。

 ウズベキスタンで障害者を持つ家庭は、障害者の教育、社会における自立に悩むことが多いのですが、フェルガナ市のある女性は、3人の障害児童を抱え、思い詰めていました。
 ある日、首をつって自殺をしようとしていたところ一人の女性から強く止められ、「私が助けるから」の言葉で自殺を思いとどまりました。
 この自殺を止めたのが「フェルガナ市女性と身体不自由者の適応センター」センター所長のムニシホンさんでした。

 ムニシホンさんは、どうにかして助けようと、この家族に食糧や車いすをプレゼントしました。
 しかし、何かを与えたところで、それらがなくなってしまっては結局元通りになってしまうと考え、職業訓練や、社会に適応していくための訓練ができるセンターの設立を思い立ちました。

 大変苦労しましたが、地方の行政府や、ビジネスマン等、彼女の熱意に賛同する人たちの協力によって、センターを設立することができました。

ムニシホンさん(センター長(写真中央))と裁縫を教える女性とセンターで学ぶ女性たち
ムニシホンさん(センター長(写真中央))
と裁縫を教える女性とセンターで学ぶ女性たち

 同センターから大使館に対しても、支援の要請があり、障害者の自立支援のため職業訓練に必要なミシンなど裁縫訓練用機材、散髪訓練用機材、マッサージ訓練機材、身体トレーニング機材の供与を行いました。

 障害というハンデを持つ人々の社会復帰を支援するこのセンターでは、障害のみならず貧困などの問題を抱える女性や若者たちにも職業訓練の機会を与えています。

裁縫を教える女性と裁縫を学ぶ若い女性たち
センターで裁縫を学ぶ女性
裁縫を教える女性と
裁縫を学ぶ若い女性たち

センターで裁縫を学ぶ女性

 こうした活動のみならず社会の弱者を救うためのボランティア活動も積極的に実施しています。
 理髪技術の訓練を受けている若者たちは、孤児院を訪れて無料で子供たちの散髪をしてあげたり、老人に対しても無料で散髪しています。

 このセンターは多くの支援者に支えられながら活動を続けており、その様子が地元紙にも掲載されました。

 このように草の根無償は、一般市民を直接支援することができます。
 特にウズベキスタンの地方では結婚により女性が中学、高校を卒業しないことがあり、若くして結婚した女性の中には十分な教育を受けられず、働きたくても働けない女性が大勢います。

センターでコンピューターを教えるムニシホンさん
センターでコンピューターを教える
ムニシホンさん

 草の根無償を通じて、政府の支援が届きにくい社会的弱者を含む一般市民に対し、自立のための職業訓練支援のみならず、教育、医療、地方のインフラ整備(飲料水等)にいたるさまざまな分野において支援を実施しています。



編集・発行 外務省経済協力局(〒100-8919 千代田区霞が関2-2-1)

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