広報・資料 ODAメールマガジン

ODAメールマガジン/2005年9月7日発行 第74号

 ODAメールマガジン第74号は、ケニアから『自然環境保全と住民の生活向上の両立を目指して』を、東ティモールから『21世紀最初の独立国「東ティモール」の挑戦~紛争後の国造りにおける開発援助~』をお届けします。


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 なお、このODAメールマガジンでは、ODAの現場で働いている人々や実際にODAを視察した方々の生の声をお伝えしておりますので、本メルマガに掲載されている意見は執筆者個人の意見であり、政府の立場を示すものではありません。


自然環境保全と住民の生活向上の両立を目指して 原稿執筆:JICA野生生物保全教育強化プロジェクト専門家 今栄(いまえ)博司さん

 ケニアといえばサファリ。
 一斉に飛び立つと空がピンク色に染まると言われるナクル湖の百万羽のフラミンゴや、 アフリカ最高峰のキリマンジャロ山を背景にサバンナをゆったりと歩くゾウの群れの写真をご覧になったことのある方も多いでしょう。

 野生動物に代表される、豊かな自然を楽しむサファリやインド洋西岸沿いでのビーチリゾートは、ケニアの重要な観光資源です。

 2004年には、欧米からの観光客を中心に世界中から136万人が、日本人だけでも2万6千人が、ケニアを訪れました。
 その観光業を通じて、2004年には5億USドルを稼ぎ出しており、ケニアの経済成長や雇用の創出に大きく貢献しています。
 ケニアが貧困から抜け出すためには、野生動物や豊かな自然をしっかり保護して、観光業をもっと発展させることが重要です。

 ケニアは日本の約1.5倍の面積を持ち、その自然は多様で、海洋、湿地、森林、サバンナ、砂漠、高山などの様々な生態系を有しています。

 保護区は国土の8.3%を占め、各地のユニークな生態系やそこに棲む野生動物を保護しています。
 この多種多様な自然を守り、保護区の運営管理を行っているのがケニア野生生物公社(KWS)です。

 保護区は観光のためだけにあるのではありません。
 豊かな自然が残されることで、様々な恩恵がもたらされます。
 例えば、ケニアに残されている天然林は国土のわずか1.7%しかありませんが、その森林が水を貯えてくれることで、下流の人々の生活や農業が可能になります。
 自然環境を保全するということは、地域の人々の生活を下支えすることでもあります。

 その一方で、保護区周辺の住民の人にとっては、保護区の土地を畑にできたらどれほど生活が楽になるでしょうか。
 また、保護区内の木を燃料や建築材料にできたら、生活にどれほど役に立つでしょうか。
 保護区を運営管理するということは、そういった人たちの生活をある程度犠牲にして成り立っている、とも言えるでしょう。

マングローブの植林の仕方を地元住民が説明
マングローブの植林の仕方を地元住民が説明

 KWSの教育活動は、学校の子供達や地域の住民に対して、ケニアの多種多様で豊かな自然を紹介したり、自然を保全することの大切さを説いたりするだけではありません。
 どうやれば自然環境を保全しながら、地域の人々の生活向上を図ることができるのか、 お互いに知恵を出し合いながら、地域の人たちと共に自然環境を保全していくための体制作りに努めています。

 先日、海岸部の北から南まで広がる九つの地域住民の代表者を集め、マングローブ林やウミガメなどの自然資源の保全に関する問題について、お互いに発表しあう機会を作りました。
 その場にはKWSのスタッフや地方自治体の職員も席を並べ、住民がどのように自然環境保全に取り組んでいるかについて、耳を傾けました。
 発表だけではなく、実際にいくつかの住民の活動を全員で視察しました。
 百聞は一見に如かず、です。

ワタム村のマングローブ林を横切るボードウォーク
ワタム村のエコツアーガイドと参加者
ワタム村のマングローブ林を
横切るボードウォーク

ワタム村のエコツアーガイドと参加者

 ワタムという村の住民は、NGOと協力してマングローブ林の中にボードウォークを作り、空中散歩ができるようにしていました。
 地元のガイドが観光客を案内して、マングローブやそこに生息する生物の姿を楽しんでもらう、エコツアーを展開していました。

 このエコツアーの参加料は、村の子供達が学校に行くための奨学金となります。
 それによって、村の人たちは自然を守りながら生活向上を図ることが可能になっています。

 また、豊かなマングローブ林が観光資源として観光客を惹き付ける物である事を実感し、村の女性グループが中心となってマングローブの植林を率先して行うようになりました。

女性グループの活動について説明
女性グループの活動について説明

 ワタム村のこの活動を視察した他の村の人たちにとって、この取り組みは非常に刺激的だったようです。
 ある地域の人たちは、現金収入を得るためにマングローブ林を切り開いて塩田を作りました。

 そのせいか、潮の流れが変わって魚が取れなくなり、また燃料となる薪も手に入らなくなりました。
 現金は手に入るようになったものの、生活は以前にも増して苦しくなったようです。
 マングローブ林を切ってしまったことを、とても悔やんでいました。

 また別の地域の人たちは、自分達の身の回りに豊富にあり、自分達が生活資源としてしか見ていなかったものが、観光資源として高く売れるということに大きな関心を示していました。

 その地域にはマングローブはありませんが、サンゴ礁と熱帯魚が豊富にあります。
 魚は地元の人々にとって食料でしかありませんでしたが、地域で魚の保護区を作り、そこでは漁をせずに観光客に海中散歩を楽しんでもらうような場所にすれば、非消費的な形で資源を有効活用できます。

 この視察の後、地域の人たちで話し合い、地域が運営する魚のための保護区を作りたいという要望がKWSに挙げられました。

 豊かな自然環境を様々な形で賢く利用することができれば、環境保全と住民の生活向上が両立できることが、各地で実証され始めています。
 そのような取り組みを拡げていくために、KWSと住民の対話を促進し、共同プロジェクトを展開していくための下地作りを、日本は支援しています。



21世紀最初の独立国「東ティモール」の挑戦 ~紛争後の国造りにおける開発援助~ 原稿執筆:JICA専門家 渡邉 健さん

 東ティモール民主共和国は、インドネシア東部に位置するティモール島の東半分と飛地からなる、面積約14,600平方キロメートル(日本の岩手県よりやや小さい)の国土に 人口約90万人が住む小さな国です。

 東ティモールは16世紀以来ポルトガルの植民地となり、第二次世界大戦中の日本軍の占領を経て、1976年にインドネシアに併合されました。

 1999年8月にインドネシア政府が提示した「拡大自治案」の是非を問う住民投票があり、約8割の投票者により否決されたところ、この結果に反発したインドネシア併合派の民兵による破壊、略奪、独立派住民に対する暴力行為が発生しました。
 その後、この紛争に対処するために国際連合が暫定行政機構を設立し、2002年5月に21世紀最初の独立国となったことは、皆さんのご記憶にあるかもしれません。

 独立後早や3年が経過しましたが、東ティモールでは国造りのための努力が続いています。
 問題は山積しています。

 一人当たりGDPは366ドル(2004年度)に過ぎず、国民の約4割が貧困層となっています。
 若年者人口が相対的に大きく、現在毎年約1万6千人が就業年齢となっている一方で、 コーヒー生産以外にこれといった産業も無く、これら若者の今後の就業機会が憂慮されています。

 独立派と併合派の和解、旧兵士の処遇など、紛争後特有の問題も抱えています。

 何よりも東ティモールの最大の課題は、これまで長きに亘って外国の支配下にあったため、独立国家を運営するための組織制度が弱体であり、これを担うべき人材のキャパシティが決定的に不足していることです。

 独立以後の東ティモールにおける開発の枠組みには、2つの大きな特徴があります。
 第一に、国家開発において海外援助の占める割合が大きく、その重要性が高いことです。

 2005年度6月より、石油・天然ガス価格の高騰による税収増に伴い、国家歳出予算が大幅に増額されましたが、それでも全体として必要な資金の5割以上を海外援助に依存しています。

 主な援助国は、ポルトガル、オーストラリア、日本、ヨーロッパ共同体、アメリカ合衆国ですが、この他にも英国、アイルランド、ドイツ、ノルウェイ、中国等ドナーは数多く、これに加えて国連諸機関、世界銀行、アジア開発銀行などの国際機関が活発に活動しています。

 第二に、紛争後に国連暫定行政機構から始まったこともあり、開発援助を巡る最近の議論が当初からごく自然に組み込まれていることです。
 東ティモールは国家開発計画(2002~2007年)で、貧困削減と持続的経済成長を2大目標に掲げていますが、これは貧困削減戦略やミレニアム開発目標の影響を色濃く受けています。

 また、この国家開発計画を実施に移していくために2003年にはロードマップ、2005年には15分野におけるセクター投資計画が策定され、政府予算計画全体に対する「財政支援」や被援助国のもつ計画(プログラム)に対し、各ドナーが密接に協調を図ろうとする「プログラム・アプローチ」等の援助モダリティ(供与形態)が採用されています。

 昨今、援助効果向上や援助調和化に関する議論が国際社会で活発に行われていますが、 東ティモールにおいては独立前より「開発援助は当該国の開発計画に基づき、他の援助機関と協調して実施するもの」が大前提になっていると言えます。

 しかしながら、現実には「理想的な開発援助」の達成は容易ではありません。
 開発における当該国の「オーナーシップ」(主体性)が全ての議論の前提であることは論を待たないところですが、「オーナーシップ」を発揮するためには「キャパシティ」(能力)が必要です。

 特に昨今の援助モダリティは、従来の独立型のプロジェクト支援に比べ、被援助国側がより高い計画・管理能力を持っていることが必要とされます。
 上述の通り、東ティモールでは、組織制度・個人のキャパシティ向上が最大の課題となっているところ、オーナーシップを発揮するに至る道程は決して平坦ではありません。

 実際には、セクター投資計画を進めていくために、関連援助国・機関との話し合いの場である、セクター・ワーキング・グループを立ち上げてはいますが、これまでのところ十分に機能できていないのが現状です。

 東ティモールの挑戦はまだまだ続きます。
 国際アドバイザーの手助けを借りず、真に自立した国家としてその開発を進め、また海外援助を管理するためのキャパシティは、一朝一夕には身につきません。

 日本を含めた援助国・機関は、東ティモールの自立へ向けて、息の長い援助を続けていくことが期待されています。



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