広報・資料 ODAメールマガジン

ODAメールマガジン/2005年8月10日発行 第72号

 ODAメールマガジン第72号は、ホンジュラスから「援助協調の模範~ホンジュラスの協力プロジェクト~」とベトナムから「援助効果向上」をお届けします。


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 なお、このODAメールマガジンでは、ODAの現場で働いている人々や実際にODAを視察した方々の生の声をお伝えしておりますので、本メルマガに掲載されている意見は執筆者個人の意見であり、政府の立場を示すものではありません。


援助協調の模範 ~ホンジュラスの協力プロジェクト~ 原稿執筆:在ホンジュラス JICA専門家 中川 淳さん、小島 路生さん、吾郷 珠子さん共著

 ホンジュラスは中南米地域における最貧国のひとつ。
 1998年に1万3000名を超える死者・行方不明者を出した、ハリケーンミッチの後に形成された支援国グループは、現在16の国と国際機関が参加、通称G16と呼ばれていますが、頻繁に会合を開催して、ホンジュラスの開発計画に連携して取り組んでいます。

 その連携の中でも、大きな成果を挙げて模範となっているのが、ここに紹介するわが国の2つのプロジェクトです。
 これらは今年の4月に沖縄で開催された米州開発銀行年次総会の折に、国際協力機構の緒方貞子理事長から成功事例として世界に紹介しました。

1 算数指導力向上プロジェクト(PROMETAM)

 ホンジュラスの初等教育現場で今(7月末現在)、大きな変化が起きようとしています。
 算数とスペイン語の新しい教科書が全国配布され、その新教科書に基づいた教員研修が全国で展開されているのです。

 その算数教科書は、2003年4月から開始されたJICAの「算数指導力向上プロジェクト(通称PROMETAM)」により開発されたもの。
 プロジェクトではこの教科書のことを児童用作業帳と呼んでいます。
 同作業帳は、児童一人一人に配布し、各自が直接書き込んで効率的に学習できるように作成されています。

 ホンジュラスではこれまで、
 全く教科書を使わずに先生が黒板に書くことを生徒がノートに書き写して授業を行っていたり、学校に保管されている教科書をみんなで共用したりしてきました。

 これではノートに書き写すために時間の多くが取られ、家で予習や復習をすることも難しいという問題がありました。
 中には共用の教科書すら備えていない学校も多かったのです。

 児童用作業帳に合わせて、教員には教員用指導書が配られています。
 日本で言うところの「赤本」に当たるものです。
 見開きの中央に児童用作業帳のページがそのまま印刷されており、その周囲に詳しい解説や解答が載っています。

 この指導書では、子供たちが自分で考え、気づくことで算数の面白みが分かる授業を目指します。
 それまでの算数の授業といえば、ただ機械的に公式を覚えさせ、練習問題を解かせていく内容が中心でした。
 その結果、算数嫌いの子供たちが増え、留年や中退の大きな原因となっているのです。
 教員自身にも算数に苦手意識を持つ者が多く、算数の授業の質が悪いためにさらに子供たちが算数嫌いになるという悪循環が生じていました。

ドナー協調で作成した教材
ドナー協調で作成した教材

 今回の新教科書導入には、日本の他にも多くの援助機関が協力しています。
 全国配布用に教科書印刷の資金を供与したのはスウェーデン政府、来年度配布分はカナダ政府の資金で現在印刷を行っています。

 印刷した教科書を全国に配布するには、ホンジュラス国軍が活躍しましたが、配布に必要な燃料等費用約1億円は、各国ドナーや援助機関が資金を出し合ってつくっている基金(コモンファンド)から支出されました。

 新しい教科書が現場で有効に活用されるための現職教員研修においては、多数の青年海外協力隊員とともに、スペイン政府が大きな役割を担ってきました。

 PROMETAMは地方の協力隊員との連携を強化して、現職教員の学位取得プログラムを通じて普及に貢献してきました。
 現在教育省が行っている全国研修には世界銀行から資金が提供されています。

 このようにPROMETAMで開発された教材を中心に、様々なドナーや関係者が連携して、ホンジュラスの教育現場に変革をもたらそうとしています。
 しかしこの動きはようやくはじめの一歩を踏み出したところです。
 今後、教科書が全国の小学校で有効に活用され、子供たちの得意科目が算数となる日を目指して、現場での継続的な努力が求められています。

 PROMETAMは2006年3月で終了を迎えますが、ホンジュラスでの成果は中米諸国を中心に広く知られるところとなっており、多くの国から協力を求められています。
 このため2006年4月に開始予定の第二フェーズは、広域プロジェクトとして、ホンジュラス国内での普及活動に加え、エルサルバドル、ニカラグア、ドミニカ共和国等の周辺国を対象にさらに大きく展開していく予定となっています。

2 シャーガス病対策プロジェクト

 シャーガス病は中南米の貧困層を蝕む恐ろしい疾病です。
 藁葺き屋根などに潜む吸血性カメムシ(サシガメ)が媒介し、心臓等の慢性疾患の原因となるシャーガス病は中南米ではエイズについで重要な疾病とされています。

 シャーガス病は、サシガメに対する低濃度の殺虫剤と住民参加を通して予防可能なことが南米で実証されていることから、1997年に中米諸国と米州保健機構(PAHO)は団結して「中米イニシアチブ」を開始しました。

ホンジュラスのシャーガス病対策ファミリー(JICA、カナダ、NGO、ホンジュラス厚生省関係者)
ホンジュラスのシャーガス病対策ファミリー(JICA、カナダ、NGO、ホンジュラス厚生省関係者)
シャーガス病を媒介するサシガメ
シャーガス病を媒介するサシガメ

 国際協力機構(JICA)は筆頭援助機関として、グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドルへ協力しており、裨益人口は100万人を超えています。

 疾病対策の立ち上げから一貫して関係援助機関が関わったことが、援助協調を促進しました。
 2003年にホンジュラス政府とJICAは、PAHOやカナダと協力して「シャーガス病対策5カ年計画」を作成して対策を開始しました。
 これが土台となり、国際NGOも対策に参加するなど、国際協調が広がりました。
 モニタリングや年次報告書作成もドナー機関別に行っていたものを共同ですることで重複を避け、プロセスと成果を共有するようになりました。
 こうして「シャーガス病対策グループ」が結成されました。

ドナー協調の成果:ホンジュラスの5か年計画
ドナー協調の成果:ホンジュラスの5か年計画

 ホンジュラス政府と援助機関の実務者レベルは、月2回は調整会合で率直な話い合いをしています。
 最初は警戒心もありましたが、「シャーガス病の感染をなくす」という共通目標のもとコミュニケーションを重ねるうちに、連帯意識が芽生えてきました。
 ドナー機関グループは今では「ファミリー」といってもよいほど付き合いは深まっています。

 援助協調の成果は国際ドナー会合でも高く評価されました。
 今年7月にはカナダ国際協力大臣が現地を視察し、「カナダ首相にも報告したい」とまで言われました。
 各援助機関の違いを乗り越えてシャーガス病対策は着実に進んでいます。



援助効果向上 原稿執筆:在ベトナム日本大使館 深堀 裕賢 書記官

 ODAを効果的に実施するためには、現場において様々な課題があります。もちろん、プジェクトの現場で一生懸命努力することが基本ですが、現在世界の援助潮流の中で、「援助効果向上」が重要性を増しつつあるテーマとして注目されています。

 これは、ODAが開発途上国のために真に効果的に役立っているのだろうかとの問題意識のもと、ドナー諸国間での援助手続きの調和化や合理化、開発援助を途上国の開発計画に沿ったものとすること、ODAマネージメントのための途上国の能力構築などを推進していこうとの流れです。

 例えば、通常は一つの開発途上国に対して、多くの国がそれぞれの立場から支援を行っていますが、これらが相互補完的に行われれば、全体として援助の効果は格段に向上します。また、援助の手続きが統一的に行われるようになれば、受け入れ国の事務負担は軽減し、迅速かつ効率的な事業の実施が実現します。また、調和化を本国主導ではなく現地レベルで進めれば、各国の事情に応じたきめ細かい対応が可能になります。

 このことは、2000年に採択された国連ミレニアム開発目標の中でも指摘され、以降、閣僚レベルによるハイレベル・フォーラムが2003年にローマで、2005年にパリで開催され、国際的な努力が進められています。

 さて、ベトナムは一人当たりGDPが500ドル程度の貧しい国ながら、人口8千万人を抱えており、莫大な開発ニーズが存在するため、多くのドナー諸国・機関が当地で援助を実施しています。そして、日本は、ベトナムでは常にトップ・ドナーの地位を占めているため、諸外国との援助調和化に関しても、指導的役割を担うべく努力しています。現地中心のオールジャパン体制で、このための多方面にわたるイニシアティブをベトナムにおいて展開している次第です。

 例えば、当地の日本チーム(大使館、JICA、JBIC)が世銀及び英国とコア・グループを形成し、援助効果向上を協議するための枠組みを確立したのも大きな一歩でした。この枠組みにより、当地での援助効果向上関連協議は統一された形で行われるようになりました。そして、その過程で採択された「ハノイ調和化行動計画」は、当地での援助調和化の基礎となる文書であり、重要な成果物の一つになりました。最近では、援助効果向上のための国際的指標である「パリ宣言」を現地化する形で、「ハノイ宣言」の採択が実現しました。

 また、援助を効果的に行うためには、受け入れ国側の能力向上が不可欠との観点から、日英などが中心となり、包括的能力向上計画も導入しました。手続き面では、JBICが世銀、ADB、AFD、KfWと協力して、調達手続きを統一し、ベトナム政府側の負担軽減に貢献しています。JICAも手続きコストに関する調査報告書を作成するなど、多くの貢献を行っています。

 これら努力の甲斐があって、関係者の間では、ベトナムでの援助効果向上は世界の中でも最も進んでいると評価されるに至っています。

 とはいえ、援助に対する考え方自体が国毎に異なっている場合も多く、国際協調は簡単な話ではありません。しかし、限られた予算で最大限の効果を上げ、できるだけ多くの人々の生活を改善するようにするためには、今後ともこの国際面での調和化を、不断の努力を持って、陰ながら続けていかなければなりません。なかなか目に見えず、一般には評価されにくいものではあっても、決して手を抜くことのできない重要な課題なのです。

 現地における援助関係者の努力の一端を御理解頂ければ嬉しく思います。

ビン橋完通式
ビン橋完通式
フエ中央病院整備計画
フエ中央病院整備計画


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