広報・資料 ODAメールマガジン

ODAメールマガジン/2005年6月8日発行 第68号

 ODAメールマガジン第68号は、インドから「小泉総理のインド訪問~日印協力のシンボル、デリー・メトロ~」、シリアから「独創性を持てる教育を~シリアの繊維専門学校での技術指導~」とザンビアから「住民の手で取り組む健康な町づくり~ザンビア・ルサカ市健康管理(プライマリーヘルスケア)プロジェクト・フェーズ2~」をお届けします。


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小泉総理のインド訪問
~日印協力のシンボル、デリー・メトロ~ 原稿執筆:在インド日本大使館 伊与田 充彦書記官
写真 写真
(写真をクリックすると拡大画像をご覧頂けます。)

 4月29日、インドの首都ニューデリーを訪問中の小泉総理は、日本の円借款を受けて建設が進められているデリーの地下鉄、「デリー・メトロ」の工事現場であるセントラル・セクレタリアト駅を訪れました。
 ここは大統領府や国会のすぐそばで、日本で言えば国会議事堂前か霞ヶ関のような場所です。

 デリー・メトロは、急速に人口増加が進み、自動車の数が増えたことによる渋滞や交通事故、大気汚染等の問題を解決するために建設が行われているもので、デリー・メトロ公社としては、将来8路線、総延長250キロメートルの都市交通網とする計画を持っています。

 既に全線地上部分の1号線22キロメートルが昨年3月に、地下部分の2号線のうち、カシミール・ゲート駅からデリー大学駅までの4キロメートルが、昨年12月に開通しています。

 デリーの人々に新しい交通手段として親しまれているデリー・メトロは、その建設過程の中で、これまでインドではあまり重視されてこなかった安全対策や工程管理に力を入れてきました。

 作業員全員が安全帽・安全靴を着用した工事現場の様子や、予定された工期を7ヶ月前倒しした2号線の部分開業は、順調な経済発展の中で同じような公共工事が各地で予定されているインドで大きな注目を集めています。

 昨年12月の開通式に出席したマンモハン・シン首相も、デリー・メトロは日本とインドの協力の象徴であり、日本からのODAに感謝していると述べられました。

 今回小泉総理が訪問したのは、総理が滞在されていた宿舎から車で5分程度の場所にあり、今年6月末に全線開通が予定されている2号線の終点となる、セントラル・セクレタリアト駅の建設現場でした。

 「日印協力のシンボル:デリー・メトロ」と記された看板が掲げられた中を、スリダラン・デリー・メトロ総裁の案内で地下ホームまで下りた小泉総理は、掲示板に示された路線図を前に、
 「このプロジェクトは2006年3月に開通予定の3号線までを第一期としており、そのために日本の国際協力銀行から1,620億円の融資を受けていること、今後の将来計画としては、第4期まで総延長250キロメートルを2021年までに完成させたいと考えていること」
 などの説明を受けました。

 この後、ホームに停車中の車両に乗り込み、客室や運転席を見学した小泉総理の様子は、当日のテレビ番組や翌日の新聞で大きく取上げられ、今回のインド訪問のハイライトの一つとなりました。

 既に部分開業したデリー・メトロの2号線に乗車してみると、民族衣装サリーやパンジャビ・スーツを着た人々が、私たち日本人と同じように地下鉄を利用している姿に、この新しい交通手段が地域住民の足として受け入れられていることを実感します。

 今後未開通部分の建設が進み、デリー・メトロで移動可能な地域が増えるに従って、環境に優しいライフスタイルの変化が起き、デリーの生活環境が一層改善されることが期待されています。



独創性を持てる教育を
~シリアの繊維専門学校での技術指導~原稿執筆:シニア海外ボランティア 縫製(配属先:工業省ダマスカス繊維専門学校)信夫 俊子さん

写真  シリアは、古代より東西文明及び交易の重要な中継点として栄光の歴史を持つ国で、北にトルコ、南にヨルダン、東にイラク、西はレバノン、パレスチナ及びイスラエルと国境を接する、面積18.5万平方米、人口約1800万の、地中海性気候帯と山岳、砂漠、草原の4つの特徴ある地域を有し、3500の動植物が生息しています。

 農業は数千年前シリアが起源とされ、文化では世界史上最初のアルファベットが地中海近郊の遺跡であるウガリットに残されています。

 首都ダマスカスは4000年の昔から現存する世界最古の都市の1つで、シャーム(美の象徴)に行くとはダマスカスに行くとの意味が旧約聖書に記されています。
 ダマスカスのシンボルであるカシオン山を背にオリエントの真珠と称えられる誇り高き都市であります。

国旗は、無償機材供与の式典以降、学校が飾ってくれています。 国旗は、無償機材供与の式典以降、学校が飾ってくれています。
国旗は、無償機材供与の式典以降、学校が飾ってくれています。

 嬉しい事にそのダマスカスで、私はJICAのSV(シニアボランティア)として、繊維専門学校の縫製科で技術指導を担当しています。
 当国の基幹産業である繊維産業にかける期待は大きく、1969年創立した学校はその中核となる技術者養成の専門学校で、卒業生は国営の繊維公団に就職します。
 私企業に行く場合は2年間の授業料を戻入するか、もしくは、公団に6年間勤務すれば移籍する事が可能となります。

 シリア政府から老朽化した機材の更新要請を受けて、2003年12月に日本政府のODAによる無償資金援助で機材が提供をされました。
 この機材を有効に活用するカリキュラムの改善及び技術指導等を求められ、縫製科担当として2004年4月着任、9月の新入生入学と同時に授業を開始しました。

 着任早々、校長先生から
 「改善点を提案して、指導カリキュラムを作成するように」
 とのことだったので、3回にわたり提出しましたが、すべて保留のまま。
 それで9月最終週を迎え明日から10月という時になり、ようやくタイムスケジュールが提示されただけでした。

 結局、独創性を持てる教育を受けて欲しいと願い立案したものが消えていました。
 シリアの教育は個性よりも点数が優先します。
 教科書がなく講師のプリント、板書、口頭講義、質疑応答で生徒にノート化させています。
 生徒は慣れているのかきれいに清書できます。

 それで私は教科書を作ろうと計画し、帰省の折、資料も集めてきました。
 これは、最終的には生徒個人にもプレゼントしようと思っていますが、教科書があれば器用な人は作品を作ることが出来ますし、生涯手元において参考ともなります。
 教科書作成が今年の目標の1つです。
 何しろ着任した時、私のカウンターパートは1983年のブル1冊のみでした。
 作成する多くの教科書で、彼も学んでくれることと楽しみにしています。

生徒を指導する信夫俊子SV
生徒を指導する信夫俊子SV
写真

ブルダ
 ブルダとは、もともとエジプトで用いられていた、木の葉を使ったテキスト(教科書)のこと。木の葉を紙代わりにした教科書。


住民の手で取り組む健康な町づくり~ザンビア・ルサカ市健康管理(プライマリーヘルスケア)プロジェクト・フェーズ2~ 原稿執筆:JICAザンビア事務所 菊地 太郎さん

 「栄養失調で子どもが死ななくなった」と口々に話す母親たち。
 「トイレや排水溝は私がつくったんだ」と誇らしげな住民ボランティア。
 そしてきれいに管理された給水場に水を汲みに集まる子どもたち。

環境衛生:排水溝建設活動
環境衛生:排水溝建設活動

 アフリカで最も貧しい国の1つであるザンビアの首都ルサカ市近郊の未計画居住区・ジョージ地区に暮らす人々の表情は、今ではとても明るい。
 これまでの日本の支援によって、劣悪だった衛生環境が改善され、自分たちで取り組んできた保健活動の成果がはっきりと現れてきたからだ。

●急激な人口増と追いつかない公共サービス
 未計画居住区とは、地方から流入した人々によって都市計画がないまま形成された場所。
 急激に都市化が進むザンビアでは、国全体の人口の10~20%にあたる150万人がルサカ市周辺の未計画居住区にいるとされている。

 農村部からの急激な人口流入に社会インフラ整備や公共サービスが追いつかず、人々は、放置されたゴミや穴を掘っただけのトイレによる汚水など劣悪な衛生状況の中で暮らしていた。
 そのため、5歳未満で死亡する乳幼児は15%以上、雨季にはコレラが集団発生していた。

 こうした状態を改善するため、未計画居住地区の1つ、ジョージ地区(人口約13万人)に対し、日本政府が無償資金協力(1994~98年)をし、給水施設が建設された。

●住民ボランティアを育成して
 97年からは同地区で技術協力プロジェクト
 「ルサカ市プライマリーヘルスケア(PHC)プロジェクト・フェーズ1」を開始した。

 地域住民から育成されたボランティアとヘルスセンター職員らが毎月定期的に5歳未満の子どもの体重を測定し、栄養指導、予防接種などを行った結果、低体重児の減少、予防接種率の増加、麻疹発生率が低下した。

乳幼児成長促進
乳幼児成長促進

 また、保健教育の推進や栄養普及員による栄養面の改善、トイレ建設やゴミ収集システムの普及などを行った。
 給水施設の完成とこうした活動があいまって、人口1万人当たりのコレラ死亡者数は、活動実施前の1994年の70人から、2000年には1人にまで減少した。

 ザンビア政府はこうした成果を高く評価、活動を他地区に拡大する協力を要請。
 2002年からは周辺5地区に対象を広げ、同様のアプローチで、特に5歳未満の子どもの健康状態の改善をめざすフェーズ2を実施している。

●ジョージ地区を見習おう
 フェーズ2が始まって2年半、プロジェクトの成果は着実に数字に表れている。
 対象地区の5歳児未満の下痢症罹患率や低体重児の比率が02年から04年にかけて半減したほか、麻疹の罹患率については90%以上も低下した。

●「人々の間に、地域のこと、健康のことを考えるという意識ができつつある」と五十嵐久美子・JICA専門家(地域保健)は見る。
 実際、先の数字の大きな改善は、飲料水の煮沸や塩素消毒の普及、手洗い励行などプロジェクト活動を通じて各家庭での衛生行動が大きく変化したことに因るところが大きい。

 また、カウンターパートであるルサカ郡保健管理チームとヘルスセンター職員の成長も大きいと日本人専門家チームは評価する。
 大半がフェーズ1からの同様のメンバー。
 年数を経てコミュニケーションが深まり、住民ボランティア養成研修の企画・実施などメンバー主体の運営が可能になった。

 また、住民たちとカウンターパートの協働体制が強固になり、政府による各種の予防接種実施キャンペーンが効果的に行われるといった波及効果も現れた。

●ボランティアの活動をどう維持するか
 こうした変化に「カウンターパートがどのようにしたら、住民ボランティアの意欲を高め、持続できるかを真剣に考え始めた」(藤野康之JICA専門家(業務調整))という。
 ルサカ郡保健管理チーム長が管轄内の各ヘルスセンター内に配分される総予算の1%を住民ボランティアの謝金として予算措置することを保健省に提案したほか同様の事業を、ルサカ郡保健管理チームの独自予算でプロジェクト対象地域以外にも導入した。

自己資金創出活動の一環として機能している有料公衆トイレ
自己資金創出活動の一環として機能している有料公衆トイレ

 一方、住民たちが自らも地区内に設置された公衆トイレや給水設備などの維持管理、住民ボランティアや栄養普及員の活動費をまかなう「コミュニティ・バスケット・ファンド(基金)」制度の導入に取り組んでいる。

 ジョージ地区では、住民組織の代表が集まり、この制度の運営管理委員会を設立し、「有料公衆トイレ」や「メイズの製粉サービス」などの事業を行い、その収益を住民ボランティアへ還元する仕組みを確立した。
 他の5地区もこの制度の導入を始めている。

 フェーズ2プロジェクトの終了まであと2年半。
 日本人専門家チームは、確立したPHCシステムを自立発展的に継続させ、面的に展開させられるような行政システムに強化することが今後の最大の課題ととらえている。

JICA FRONTIER 6月号より抜粋)



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