広報・資料 ODAメールマガジン

ODAメールマガジン/2013年11月27日発行 第265号

ODAメールマガジン第265号は,ニカラグア共和国からの「坂の上の向こう」「日本語教育で国際協力 ~ニカラグアと日本の架け橋を担う人材の育成~」と,「2013年度版ODA評価年次報告書の公表」をお届けします。

ニカラグア共和国

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なお,このODAメールマガジンでは,ODAの現場で働いている人々や,実際にODA事業を視察した方々の生の声をお伝えしていますので,本メルマガに掲載されている内容は執筆者個人の感想に基づいた意見であり,政府の立場を示すものではありません。



「坂の上の向こう」原稿執筆:在ニカラグア日本国大使館 経済協力班 西山 愼二 一等書記官

前回,ODAメールマガジンにてニカラグアの紹介を行ったのは,2011年6月頃でした。そのとき,近年のニカラグアの経済は好調であることをお伝えしました。その後もニカラグアは,年間経済成長率は4%以上であり,外国からの投資も増加傾向で,経済が好調である状況に変わりはありません。とはいえ,これはマクロ経済の話で,一般国民からみれば,なかなか安定した職を得ることもできず,物価の割には,給料もあがらないという生活実感であり,格差社会という状況にもかわりありません。

そこで日本は,ニカラグアの経済発展に不可欠となる電力分野の「持続可能な電化及び再生可能エネルギー促進計画」を実施することを決定しました。この案件は,1970年代以来,久々のプロジェクト型円借款となります。日本は,ニカラグアに対し,2004年までに,積み上がっていた債務の免除を行いましたが,近年は,前述のように経済が好調なこと等もあり,米州開発銀行(IDB)等との協調融資にて,今回の円借款供与の運びとなりました。

もともと,ニカラグアではIDBが中心となり「持続可能な電化及び再生可能エネルギー促進プログラム(英語の頭文字からPNESER)」が,2010年に策定されました。PNESERには,(1)配電網拡張による地方電化,(2)各戸接続の正常化(盗電防止),(3)再生可能エネルギーによる遠隔集落電化,(4)再生可能エネルギー事業化調査,(5)省エネルギー促進,(6)送電線拡張,(7)電力公社系統外の電源交換の7つの分野の電化支援があります。

今回の日本の円借款では,(3)再生可能エネルギーの中の遠隔集落電化の中の送電網からはずれた遠隔集落の「小規模水力発電」建設による電化と,(5)省エネルギー促進の中の街灯,公共施設照明,住宅照明等の省エネルギー化の2つの支援を行います。これは,日本の対ニカラグア援助重点分野「環境保全と防災」,開発課題「災害リスク軽減・環境保全」に対応したものです。PNESERに対しては,日本のJICA,IDBの他に,中米経済統合銀行(CABEI),欧州投資銀行(EIB),韓国輸出入銀行(KEVIX)他が協調融資を行う予定です。

さて,経済が好調とはいえ,まだまだ,電力も足りない,道路・橋も学校も保健衛生施設等も足りない,これら社会経済基盤の質の向上も必要というニカラグアですが,当地で昨今の話題となっているのは,太平洋と大西洋(カリブ海)を結ぶ運河の建設計画です。

中米地峡の運河といえば,パナマ運河がありますが,米国主導による同運河が完成したのは,1914年ですので,およそ1世紀前のことです。なお,パナマ運河建設のときは,ニカラグアも有力建設地候補となっていました。

現在,パナマ運河はその運用能力向上のため拡張工事中で,完成すると12万トンクラスの船の通行が可能となります。一方,これから建設しようとしているニカラグア運河は,25万トンクラスの船の通行を可能とする壮大な計画で,現在,中国企業に建設全般の開発権(コンセッション)を与え,具体的な建設可能性調査(F/S調査)が進んでいます。中国と国交はないものの,最近では,当地でも中国企業の進出が少しずつ進んでおります。

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古くから大西洋から船で遡航したサン・フアン川。現在,我が国無償資金協力にてサンタフェ地区にて同川を跨ぐ初めての橋の建設が進んでいます。サンタフェ橋が完成すると,コスタリカとニカラグアを結ぶ,新たな陸上交通ルートとなり,中米全体の発展に寄与することが期待されています。なお,同川は水深が浅く,今のところ今回の運河建設ルートからは外されています。

とはいえ,パナマ運河より数倍長く,幅も広く,高低差があり水深の深い運河を掘削し,琵琶湖の約12倍の面積で世界第10位の淡水湖ですが,平均水深が13メートルと浅いニカラグア湖を25万トン級の船舶で航行できるようにして,更に太平洋側にも運河をつくる必要のあるこの計画は,環境面での配慮も含めて一朝一夕にできるものではありません。また,調査終了前の現段階での試算でも400億ドル(約4兆円)という,ニカラグアの国民総生産の約4年分にあたる巨大な事業です。

運河建設計画は,スペイン植民地以来,何度も浮かんでは,消えており,果たして今度こそ具体化していくのかは,まだまだ不確定要素が大きいと見られます。

しかし,未だ海のものとも山のものともわからない計画が,どうしてニカラグア国民の強い関心を呼ぶのでしょうか?日本の戦後の高度成長期において,東京オリンピックに向けた,世界銀行からの融資による世界最速の新幹線建設,東名・名神高速道路建設など,国民の誇りとなり心を繋いだ事業がいろいろありました。国の発展期には,国民の心を一つにするような事業が,その国の経済発展を強く後押しするのだからと考えます。

内戦終了から20数年を経て,1979年の革命前の経済水準を超えつつあるニカラグアは,経済発展の上り坂にさしかかっているのです。そして今のニカラグアには,国民の心に響き,一つにするような事業が,やはり必要なようです。ご紹介した運河計画がそのような事業となるかどうかは,今の段階ではわかりませんが,今後の推移を見守っていきたいと思います。



「日本語教育で国際協力 ~ニカラグアと日本の架け橋を担う人材の育成~」原稿執筆:青年海外協力隊 平成23年3次隊 黒田 直美 さん

ニカラグアにおける日本語教育の歴史は,1990年代に入り在ニカラグア日本国大使館が首都マナグアにある中米大学に国内初の日本語講座を設置したのが始まりです。以降20年以上に渡り継続的に開講され,ここ数年でニカラグア人の日本語教師(以下,現地教師)が誕生するまでになりました。日本から遠く離れたこの国で日本語や日本文化と真摯に向き合う学生たち,そして現地教師と取り組んでいる活動について紹介します。

<中米大学人文学部言語センター>
カトリック系の私立大学で,国内唯一の日本語教育機関となっています。配属先の言語センターは複数の外国語講座を広く一般に開講しており,中でも英語,独語,日本語,韓国語は常時開講の人気講座です。

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中米大学正門
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キャンパス内は緑が多くてきれいです

<学習者の学習動機>
アニメやJ-POPなどのサブカルチャーに影響を受けて学習を始めるケースが多いですが,語学が好き,日本への留学を目指している,両親や親戚が日本と繋がりがあるなどの動機も少なくありません。また,普段の生活の中で日本語を使う機会はほとんどないにもかかわらず,学生たちはとても熱心です。最近では,文部科学省の国費留学生として日本の大学院へ留学する人もでてきました。こうして,長い年月をかけて少しずつ,日本語教育を通してニカラグアの将来を担う人材を育成していくことが,日本語教師隊員の役割といえます。

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日本語講座の学生たち

試験でドラえもんの絵を描かせる問題を出してみたら…
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こんな結果に…!
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<現地教師の育成>
隊員として大切な役割のもう一つは,現地教師の育成です。これまでおよそ20年の間ニカラグアには現地教師がおらず,日本語講座と付随業務の全てを隊員が全面的に運営してきました。現在は第二段階に入り,現地教師やアシスタントと協働した講座およびイベント運営の基盤づくりをしているところです。将来的には現地教師が中心となり,隊員がそこを補うような運営体制になればいいなと思います。

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ニカラグア初の現地教師Mさん(左から2番目),ほぼ日本語だけで授業しています

<国際親善フェスティバル>
毎年10月に大学内で開催されるイベントです。様々な国が文化紹介のブースを出展し,ステージでは歌や踊りなどを披露します。今年は,日本食(テリヤキチキン弁当),折り紙,書道,あやとり,ヨーヨー釣り,ステージでは獅子舞とソーラン節を披露しました。例年,ブースもステージも盛況で,ニカラグアの人々に日本文化を知ってもらういい機会となっています。

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学生と協力隊隊員コラボの日本ブースは今年も大盛況
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学生がデザインしたオリジナルTシャツを着て記念写真

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ソーラン節の最後の決めポーズ,気合いが入っています!!

また,2014年8月には「第6回中米カリブ日本語教育セミナー」の開催国を務めることになりました。教授能力向上のワークショップや中米カリブ弁論大会の実現に向け,当該諸国の日本語教師がマナグアに集結します。セミナーの企画や準備は大変な面もありますが,現地教師との二人三脚ならきっと達成できると感じています。



2013年度版ODA評価年次報告書の公表

11月14日(木曜日),外務省は2013年度「ODA評価年次報告書」日本語版及び英語版を公表しました。

この報告書は,2012年度に外務省が実施したODA評価の概要を中心に,他のODA関係省庁と国際協力機構(JICA)が実施したODA評価の概要等を取りまとめて掲載し,政府全体のODA評価の取組について紹介する内容になっています。今回の公表は,1982年の初回公表から31回目となります。ODAに携わる方々やODAに関心のある方々に,ぜひ参照・活用いただければと思います。

報告書は,外務省ODAホームページに掲載しています。
日本語版  ・英語版

また,この報告書に掲載されている外務省による各評価案件の個別報告書も,外務省ODAホームページに掲載しているので,本報告書を読んで関心を持たれた方は,ぜひこちらも御覧ください。
政府開発援助(ODA) 個別評価報告書

「ODA評価年次報告書」日本語版 「ODA評価年次報告書」日本語版


New!ODAホームページ新着情報
国際協力紹介テレビ番組「佐藤隆太の地球元気!」
「ODA出前講座」講師を派遣いたします!
平成26年度NGO研究会テーマ募集(12月25日締切)
「経済協力調整員」募集のお知らせ(在タンザニア大使館及び在バングラデシュ大使館)(12月4日応募締切)
経済協力専門員(アジア・大洋州)の募集(12月13日応募締切)
フィリピン台風連絡室の立ち上げ(報道発表)
フィリピン中部における台風被害に対する緊急無償資金協力について
フィリピン中部における台風被害に対する国際緊急援助隊・医療チーム派遣(報道発表)
フィリピン中部における台風被害に関する国際緊急援助隊・医療チームの活動(11月16日付報道発表)
フィリピン中部における台風被害に関する国際緊急援助隊・医療チームの活動(11月17日付報道発表)
フィリピンにおける台風被害に対する国際緊急援助隊・医療チーム二次隊の派遣(報道発表)
タクロバンにおけるジャパンデスクの設置
フィリピン中部における台風被害に対するタクロバン臨時事務所の設置(報道発表)
フィリピン中部における台風被害に関する国際緊急援助隊・医療チーム第二次隊(報道発表)
日・フィリピン電話首脳会談
フィリピンにおける台風被害に対する国際緊急援助隊・専門家チームの派遣(報道発表)
モンゴルに対する円借款に関する交換公文の署名
インドに対する円借款に関する書簡の交換について
アフガニスタンに対する無償資金協力「大統領選挙及び県議会選挙支援計画」(国際連合開発計画(UNDP)との連携)に関する書簡の交換について
国連世界食糧計画(WFP)を通じたパレスチナ自治区に対する無償資金協力(食糧援助)に関する書簡の交換について
ブルキナファソに対する無償資金協力「第二次中央プラトー及び南部中央地方飲料水供給計画」に関する書簡の交換について
トーゴ共和国に対する無償資金協力「食糧援助」に関する書簡の交換について
ニジェールに対する無償資金協力「貧困農民支援」に関する書簡の交換について
ニジェールに対するコミュニティ開発支援無償資金協力に関する書簡の交換について
リベリアに対する無償資金協力(食糧援助)に関する書簡の交換について
コスタリカに対する円借款に関する書簡の交換について
パラオにおける台風30号の被害に対する緊急援助について
2013年度版「ODA評価年次報告書」の公表(報道発表)
パンフレット「国際協力とNGO」(日本語版:平成25年度発行)(PDF:3.6MB)
ヘレン・クラーク国連開発計画(UNDP)総裁による安倍総理表敬
リチャード・ディクタス国連ボランティア計画(UNV)事務局長による木原外務大臣政務官表敬(概要)
近衞国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)会長の再任について(外務報道官談話)
「攻めの地球温暖化外交戦略」の策定
国連気候変動枠組条約第19回締約国会議(COP19)京都議定書第9回締約国会合(CMP9)等の概要と評価
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ODAホームページ
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index.html


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