広報・資料 ODAメールマガジン

ODAメールマガジン/2013年7月10日発行 第256号

ODAメールマガジン第256号は,エルサルバドル共和国からの「日本の経験・知見が共有されやすい「中米の日本」-エルサルバドル-」「エルサルバドルにおけるシャーガス病対策の取り組み」をお届けします。

エルサルバドル共和国

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「日本の経験・知見が共有されやすい「中米の日本」-エルサルバドル-」原稿執筆:在エルサルバドル日本国大使館 吉江 翼 三等書記官

エルサルバドルは日本人にはあまりなじみのない国ですが,実際に当地を訪問すると,日本と類似点が多いことに驚きます。まさに「中米の日本」という表現がエルサルバドルにはピッタリなのです。

まず,エルサルバルは日本と同様,国土は起伏に富み,火山,湖,森林等風光明媚な土地が多くありますが,国土は狭小(日本の四国よりやや大きい)で資源が乏しい割に人口が多く,台風,豪雨に加え地震の多い国でもあります。また,国民は勤勉で忍耐強く,12年に及ぶ内戦が1992年に終了した後,数年で民主主義プロセスを成功させています。

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富士山を連想させるサンサルバドル市から見たチンチョンテペック火山。
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エルサルバドルの国木「マキリシュアット」。桜と似ていることから日本が実施するプロジェクトの竣工式等では両国の友好の証として植樹している。

実は,この民主主義プロセスにあわせて日本の開発経験を共有する目的で,2003年から2006年まで日本大使館の協力の下,エルサルバドルでNHKの「プロジェクトX」が毎週放送されました。日本の戦後復興とエルサルバドルの内戦からの復興のイメージが重なったこともあり「プロジェクトX」は大きな反響を呼び,サカ前大統領は,当国が「中米の日本」と呼ばれることは光栄であるとスピーチで述べたほどです。

このように日本と地理・気候・社会的背景に共通点が多いエルサルバドルでは,日本の経験は受け入れられやすく,また,現地の人々は真剣に自国の発展に取り組むため,日本のODAプロジェクトの成果が上がりやすいと言うことができると思います。日本はこれまでインフラの整備(空港,港,道路,橋梁,学校等)や技術支援(保健,農業,教育,環境,防災等)を実施してきており,当地で高く評価されています。

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草の根無償の学校案件の竣工式で生徒から歓迎される峯村大使

その中でも今回は,保健分野での協力をご紹介したいと思います。当地の保健分野はまだまだ発展途上であり,日本の協力に対して政府の高い期待があります。特に,日本の看護分野の知見や経験を共有した「看護教育強化」を目的とした技術協力は1997年から継続して行われており,エルサルバドルの看護制度の基礎を築いたと高く評価されています。また,後述するシャーガス病対策プロジェクトも大きな成功を収めています。

この他にも,病院や保健所の建設といったインフラ整備において日本は長年協力しており,地域保健所等で指導を行う青年海外協力隊やシニア海外ボランティア(2013年6月30日現在,9名が保健分野で活動中)も現地の人々にとって大きな助けとなっています。さらに,日本は,整備が遅れている公立病院の医療設備を改善するために日本の優れた医療機材等を供与すべく,本年3月,総額4億円の医療機材整備のための無償資金協力の実施を決定しました。

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草の根無償で改修を行ったペルキン保健所。青年海外協力隊が理学療法士として同保健所で活動中。
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エルサルバドルの医療機関の中核となっているロサレス病院で実施した日本のプロジェクトを峯村大使とともに視察するフネス大統領とロドリゲス保健大臣。

このように,保健分野一つをとっても日本はハード,ソフトの両面で様々な協力を実施してきており,今後も引き続き勤勉な国民性をもつエルサルバドルの人々と,当国の発展に共に取り組んでいきたいと思います。



「エルサルバドルにおけるシャーガス病対策の取り組み」原稿執筆:JICA専門家 橋本 謙 中米シャーガス病対策広域アドバイザー

エルサルバドル国民の約3.4%(23万人超)が感染に悩むシャーガス病という病気があります。シャーガス病は,病原体が体内に入ると10~30年かけて徐々に心臓を肥大させる感染症で,心筋症や心筋梗塞から時には突然死を引き起こします。

感染の80%以上が媒介昆虫サシガメ(刺すカメムシ)によるものです。サシガメは,貧しい農村部に多い,ひび割れた土壁や藁ぶき屋根などの家屋に棲みつくため,シャーガス病は「貧困の病」とも言われます。

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媒介昆虫サシガメ(全長約3センチメートル)
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シャーガス病患者が見つかった土壁の家屋

1913年に初めてシャーガス病患者が発見されたエルサルバドルでは,単発の調査やサシガメ駆除は行われてきましたが,国家プログラムとしての対策は遅れていました。こうした背景の中,サシガメの駆除を目的に,日本は2003年からJICA専門家と青年海外協力隊の派遣を通じて,エルサルバドル保健省への技術協力を開始しました。

活動現場では,サシガメの生息調査,殺虫剤散布,サシガメが再び蔓延する状態を防ぐための住民参加型監視体制の構築,啓発教育などを,住民組織,教育省,地元の大学,国連機関などと連携し,展開してきました。

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家屋調査時に住民に啓発する青年海外協力隊員
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青年海外協力隊員による小学校の啓発訪問
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家屋の殺虫剤散布
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保健省の現場職員による啓発教育

こうした現地での取り組みを支えるものとして,1997年の中米諸国及びPAHO/WHOによる中米シャーガス病対策イニシアチブ(IPCA)の発足,2000年のミレニアム開発目標,2005年の東京宣言(第2回日・中米首脳会談の決議),2008年のG8洞爺湖サミットなど国際場裡でのシャーガス病や感染症対策に関するイニシアチブの動きも見られました。

エルサルバドルのみならず,グアテマラ,ホンジュラス,ニカラグアでも展開されてきた中米地域広域の協力ですが,エルサルバドルの年間新規感染者数は,1990年代後半の10,594人から2000年代半ばには2,500人に減少するなど大きな成果を挙げており,2010年にはついにIPCAとPAHO/WHO が第12回IPCA年次会合において,エルサルバドルでの外来種サシガメの消滅を認定しました。2011年のプロジェクト終了後,2012年からはJICAは広域協力の一環として,今までの成果や好事例をまとめる支援に取り組んでいます。現場での奮闘記録は,今年初めに発売された『中米の知られざる風土病「シャーガス病」克服への道』にも記されています。

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外来種サシガメの消滅を達成し,国際認定を受ける保健大臣
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7月9日は「シャーガス病の日」

【参考リンク先】



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