広報・資料 ODAメールマガジン

ODAメールマガジン/2012年9月26日発行 第237号

ODAメールマガジン第237号は,ハイチ共和国からの,「切れ目のない支援を-震災後3年目を迎えるにあたり-」「シグノ結核療養所再建へ向けて-ハイチ大地震からの再生」をお届けします。


ハイチ共和国

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「切れ目のない支援を-震災後3年目を迎えるにあたり-」原稿執筆:在ハイチ日本国大使館 井上 理恵 三等書記官

2010年1月のハイチ大地震から早いもので2年半以上が経過しました。 死者約31万6千人,負傷者約31万人を出した未曾有の大震災は,「西半球の最貧国」といわれるハイチに大きな爪痕を残しました。 国民の約3分の1にあたる370万人の人々が被災生活を余儀なくされましたし,震災後衛生状態の悪化も起因してコレラの発生にも見舞われました。 町中瓦礫の山となり,一体どうやって国を建て直していくのかハイチの国中,世界中が途方に暮れたものですが,震災後3年目を前にしてハイチも,ゆっくりとしたペースではありますが,着実に復旧への歩みを進めています。

たとえば,地震で倒壊した首都ポルトープランスにある大統領府の映像は,当時から目にする機会が多かったのではないでしょうか。 1918年にハイチ人建築家ジョージ・ボサンによって設計された白亜の宮殿は,カリブ海一美しいと謳われハイチの人々が誇る政治の拠点でしたが,地震後はハイチ大地震の被害の象徴となってしまいました。 長らく倒壊状態のまま使用されていましたが,この大統領府も今年9月にやっと再建に向けた工事が着手されました。

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解体作業中の大統領府

また,震災直後は広場や学校がテントで埋め尽くされていましたが,その避難キャンプの数も,ハイチ政府をはじめとする様々なアクターの避難民帰還プロジェクトの実施により当初の約3分の1程度になりました。 避難者の総数も2012年8月時点で約37万人と当初の4分の1まで減ってきました。

その他にも教育,農業,インフラ等様々な分野で国際社会の支援のもと復興への努力は進展しています。 これまでは緊急・復興支援という枠組みでの支援が大きかったのですが,今後は「ハイチの発展」というより長期的視野に基づいた開発計画が重要になってきます。 この移行期をいかにスムーズに進めていくかがハイチにおける重要課題の一つといえるでしょう。

日本の支援に関しては,震災直後から緊急物資支援や国際緊急援助隊の派遣,コレラ対策など迅速な緊急支援を行う一方,レオガン市街地の給水システム整備や道路整備,病院・診療所の建設など復興支援も実施してきました。

2010年から2011年にかけて実施された大統領選挙では,公正な選挙が実現できるように我が国からも選挙監視団を派遣し,同年5月には国民的人気歌手であったマルテリー現大統領の当選が無事確定しました。

(写真) (写真)
大統領選挙の際の票の集計作業風景

また,当国に展開している国連ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)へ,我が国の自衛隊施設部隊も震災後初めてハイチ復興支援のために派遣されました。 主な業務としては倒壊した建物の解体,瓦礫除去,避難民キャンプ地の整地や,ハイチ人を対象とした重機操作に関する研修も実施し,国連,ハイチ政府関係者からは高い評価を受けることができました。 このように日本・ハイチ間の関係は震災を契機に着実に強化されてきています。同じ地震国,共有できる経験・知恵を持つ友好国として,ますますの二国間の友好関係の発展に努めていきたいと思います。



「シグノ結核療養所再建へ向けて-ハイチ大地震からの再生」原稿執筆:在ハイチ日本国大使館 若林 真幸 草の根・人間の安全保障無償資金協力委嘱員

2010年1月の大地震の震源地に近く,甚大な被害を受けたレオガン市。 ここに,全国でも数少ない結核患者のための療養施設のひとつ,シグノ結核療養所があります。 この療養所では,日本人の医師,シスター須藤昭子さんが30年以上にわたって活動を行ってきました。 2010年の大地震では,全国から60名にものぼる患者が入院していた結核病棟が全壊,建物内にいた数名が亡くなりました。 また,奇跡的に助かった方々も,療養所の敷地内で,大地震後1年以上にわたり,テントの下での療養を余儀なくされました。

こうした深刻な状況に対応するため,大地震直後からハイチに派遣されていた自衛隊施設部隊,日本大使館が協力し,これまで様々な協力を行ってきました。 自衛隊部隊は,大地震後すぐに,被災した病棟の取り壊し作業と瓦礫の除去を行い,昨年6月には療養所の衛生環境改善のため,洗濯場の設置を行いました。 また,日本大使館は,療養所で使用されていた井戸に大地震の被害により大腸菌が検出されていたことから,草の根・人間の安全保障無償資金協力(以下,草の根無償)により,新規の井戸建設を支援しました。

(写真)
(写真)

大地震後最も重要な課題であったのが,テントの下で療養を続ける患者の方々のための新しい病棟の建設でした。 大地震後1年が経過する中,依然として多くの患者の方々が厳しい環境で療養を続けているという差し迫った状況から,最も迅速に対応できる草の根無償の枠組みで支援を行うことが最良の策であると判断されました。

病棟の再建のための案件準備に当たっては,様々な課題がありました。 まず一つ目は,療養所側の実施能力の欠如でした。 療養所は国立の医療機関でありながら,実際の運営は幼子テレサ修道会という現地の修道会により行われています。 国からの人的資金的支援がほとんど得られない中,入院患者の方々の日々の食事をどのように確保するかに頭を悩ませながら,シスターたちがぎりぎりのところで療養所運営を行っているという状況にあります。 草の根無償による支援では,支援の受け手となる団体が,案件の形成から実施までを自立的に行うことが前提とされています。 しかしながら,療養所の現在の運営体制では,建設計画の実施のために多くの人員を割く余力はなく,計画を自立的に実施することは現実的に厳しい状況にありました。

二つ目の問題は,計画が想定をはるかに超える予算規模を必要とするものであったということでした。 60床の規模を持つ病棟の建設が必要とされましたが,レオガンという地盤の軟弱な地域での建設のため,耐震強度の高い建設が必要であったこと,そこに地震後の急激な建設費の高騰という状況が加わり,計画の予算は通常の草の根無償の予算規模を大きく超えるものとなることが,案件形成の段階で明らかになりました。 ただでさえ案件の実施能力に限界のある療養所が,このような大規模の案件を自力で実施することは,非現実的であると思われました。

こうした問題を解決するため,日本大使館としては,建設業者の選定から病棟のコンセプトの確定,建設価格についての業者との交渉など,案件形成のすべての段階で,全面的に支援をすることで,案件を実現することを目指しました。 案件の担当として,療養所の厳しい人員体制の現状に限界を感じ,この計画を実現させることが本当に可能なのか,と思い悩むこともありました。 しかしながら,地震後一年以上が経過する中,依然としてテントの下で療養を続ける患者の方々や,療養所で日々奮闘するシスターたちの姿を,現地を視察する度に目の当たりにし,なんとしても計画を実現させなければと,思いを新たにしました。

そうして数ヶ月間の検討期間を経て,ようやく昨年の11月,療養所と日本大使館との間で,病棟建設のための贈与契約を結ぶ運びとなりました。 現在は,シスターたちと協力しながら,来年年明けの完成を目指して,工事の進捗を管理しているところです。

ハイチで勤務を始めて約2年,この案件をはじめいくつかの草の根の案件に関わり,改めて実感したのは,厳しい環境の中で何とか生き抜こうとする人々のたくましい姿と,圧倒的な「政府の不在」です。 療養所の例では,国からの支援が不在のまま,シスターたちの努力のみが療養所の運営を継続させています。その姿はたくましいですが,同時に,仮に彼女たちの数人が疲労に倒れ,活動を続けられなくなれば,療養所の運営自体が行き詰まりを見せてしまうという,脆弱な体制であるともいえます。 こうした脆弱な体制を改善し,持続的に療養所を運営していくためには,地域の住民の協力を動員する体制や,より大きな次元では,ハイチ国民全体の協力を動員するための政府の存在が必要であるといえます。 このことが欠如していることこそに,ハイチの問題の根幹があるのだろうと感じています。

建物の建設や機材の供与という協力が補いきれない,このような深刻な脆弱性の問題をどのように解消するのか,その解決策を探る努力が,現在の草の根無償をはじめとした経済協力案件の限界を乗り越える鍵となるのであろうと思います。



「「グローバルフェスタJAPAN 2012」の開催(10月6日及び7日)」

日本国内最大の国際協力イベントである「グローバルフェスタ JAPAN」が10月6日及び7日の両日,東京の日比谷公園で開催されます。 本イベントは,国民の皆様に国際協力を身近なものに感じて頂くと共に,国際協力の現状・重要性などについての理解と認識を深めて頂くことを目的としています。 10月6日の「国際協力の日」の前後の週末に毎年開催されるもので,本年で22回目の開催となります。 本年のテーマは「Think Global, Think Green 世界を変えよう。未来をつくろう。」です。

国際協力を実践する多くの団体(NGO,国際機関,政府機関,企業等約230団体)による展示やステージイベント,ワークショップなどが行われるほか,参加型企画(スタンプラリー等)も行われ,楽しみながら国際協力に触れることができるイベントとなっています。

日比谷野外小音楽堂のメインステージでは,藤原紀香さんがメインナビゲーターを務める国際協力テレビ番組「地球VOCE(ヴォーチェ)」のステージ(「藤原紀香の「地球VOCE」トークショー」,「ルー大柴の「地球VOCE」トークショー」)やゾマホン大使も出演する成長する元気なアフリカについて語るステージ(「成長する元気なアフリカを語ろう!」),世界各地でスポーツを通じた国際協力を行う方々の話を聞くステージ(「世界を変えるスポーツの力」)などが予定されています。

また,日比谷図書文化館内では,近年著しい発展を遂げるアフリカで活躍する日本の団体(NGO,企業,援助機関等)や個人の写真を展示する写真展「成長するアフリカと日本」が開催されます。

皆様のご参加をお待ちしております。

詳細・最新情報はグローバルフェスタJAPAN 2012の公式ホームページ他のサイトヘをご覧ください。

グローバルフェスタJAPAN 2012



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国際協力紹介テレビ番組「地球VOCE」
「ODA出前講座」講師を派遣いたします!
第178回ODA出前講座 開催報告~立命館守山高等学校~
任期付外務省職員の臨時募集(ODA評価分野)
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「開発協力適正会議」第6回会合の開催について
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わかる!国際情勢 Vol.91 リオ+20~持続可能な未来を創るために
日本NGO連携無償資金協力(平成24年度 地域・国名別)
国連総会におけるポスト2015開発目標(ポストMDGs)サイドイベントの開催
ポスト2015年開発目標に関するハイレベルパネル第1回会合の開催及び菅前総理大臣の参加
アフガニスタンにおける麻薬対策に関する日露協力(アフガニスタン警察職員に対する研修事業の開始)
トルコにおける第2回アフガニスタン警察官訓練に対する支援
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ベラルーシ共和国議会下院選挙に対する我が国選挙監視要員の派遣
山根外務副大臣のセルビア訪問(概要)
ジャブリール・リビア社会大臣による浜田外務大臣政務官への表敬
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