広報・資料 ODAメールマガジン

ODAメールマガジン/2012年5月9日発行 第228号

ODAメールマガジン第228号は,カザフスタン共和国からの「カザフスタン―知る人ぞ知る中央アジアの親日大国―」「カザフスタン~友好の架け橋~」と,主要援助供与国である英国からのレポート「英国の開発への取り組みについて」をお届けします。


カザフスタン共和国,英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)

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「カザフスタン―知る人ぞ知る中央アジアの親日大国―」原稿執筆:在カザフスタン日本国大使館 金津 直人 三等書記官

カザフスタンは,ユーラシア大陸の真ん中に位置し,世界第9位の広大な国土を持つ中央アジアの国です。 石油・天然ガスの他,レアアースも豊富で,「メンデレーエフの周期表」にある全ての元素が豊富に存在すると言われるほどの資源大国です。 近年,日本企業も資源が豊富で成長著しいカザフスタンに熱い視線を向け始めています。

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カザフスタン共和国の国旗

第二次世界大戦後には,ソ連によって5万人以上の日本人抑留者が現在のカザフスタンに送られた過去があります。 当時建設された施設はほとんどが老朽化して今は使われていませんが,日本人抑留者が建設した建物は現在も使用されていて,その頑丈で丁寧な造りは,日本人の技術の高さと勤勉さを示すものとして,市民の感心と敬意の対象となっています。

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ラガンダ州(アスタナの南東約200キロメートル)にある日本人抑留者慰霊碑

日本とカザフスタンには,核兵器による被害という共通点もあり,カザフスタン人が日本人に対して共感を抱く理由の一つになっています。 北東部セメイ市(旧セミパラチンスク市)近くの核実験場では,ソ連時代に456回の核実験が行われました。 カザフスタンは独立後この実験場を閉鎖し,それ以降,日本は放射線による健康被害が指摘されているセメイ市で医療支援を行い,市民から非常に感謝されています。

市民のための支援では,「草の根・人間の安全保障無償資金協力」がよく知られています。 病院への医療機材供与,障害者団体への活動支援等,これまで全国で60件近いプロジェクトを実施しています。 近年の経済発展に伴って格差が拡大する中,社会的弱者を対象とした「草の根」支援は今後益々重要になると考えています。

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「草の根・人間の安全保障無償資金協力」署名式の様子(平成23年3月)
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「草の根」支援で農村地方に整備された救急車(平成20年度。6台供与)

なお,首都のアスタナは1997年に遷都された人口約70万人の新しい都市ですが,街のグランドデザインは故黒川紀章氏によるものです。 同じく黒川氏設計のアスタナ国際空港や,市の上下水道も日本の円借款で整備されています。

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アスタナ市のシンボルタワー,バイテレク展望台(約97メートル)
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アスタナ国際空港

様々な支援の甲斐あってか,カザフスタンの人々は非常に親日的で,「自分たちは日本人と容姿が良く似ている。」と誇らしげに語る人も少なくありません。 そんなカザフスタンとの一層の関係発展に,大使館員一同,JICAや現地在留日本人の皆様とも力を合わせて取り組んで参ります。



「カザフスタン~友好の架け橋~」原稿執筆:JICAアスタナ連絡所 岡崎 裕之 企画調査員

昨年12月に独立20周年を迎えたカザフスタンは,日本の約7倍の国土に約1,600万人が暮らし,国土の大部分がステップ気候に属し,乾燥地帯という内陸国家です。 内陸国ゆえに寒暖差は激しく,首都では夏は40度,冬は零下40度まで変動します。

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ハンシャティール:2010年完成のショッピングモール。中には人工ビーチ付プールもあり,たくさんの市民が訪れている。
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リングロード(環状道路)から見た首都アスタナ

カザフスタンは特に南部で地震が多い国でもあり,昨年の東日本大震災の際には,カザフスタン国民が我が事のように日本の状況を心配していました。 また,旧ソ連時代に核実験場があったという事情もあってか,旧核実験場近くのセメイ市の人々を始め,福島の原発事故に深い悲しみと関心を寄せています。 私自身も「フクシマは大丈夫か?我々も本当に心配している。」という声を幾度となく掛けられました。

そのセメイ市に,2001年に有償資金協力で建設された橋があります。 交通利便性向上のみならず,その美しいフォルムは人々を魅了し,市民や観光客が立ち寄る名所ともなっています。 その橋も完成後10年を経過して本格的な補修が必要な時期に来ています。 JICAでは今年調査団を派遣し,現地の技術者と共に今後の適切な維持管理について検討する予定です。

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セメイ市橋梁

JICAではその他にも首都アスタナでの空港建設,上下水道整備など様々な事業を実施してきていますが,「人材育成」も重要な事業の一つです。 JICAの日本での研修にはこれまでカザフスタンから延べ1,200名以上が参加していますが,彼らは日本の研修で学んだことを活かしてカザフスタンの将来を担う優秀な人材であると共に,日本に対するサポーターともなってくれています。

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アスタナ市郊外にある取水口。
市民の水はここから供給される。
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アスタナ市内にある浄水施設

帰国研修員によって組織された同窓会が今年3月に発行したニュースレターの表紙には,セメイ市の橋の写真が使われています。 「橋」は単に物を渡すだけではなく,日本とカザフスタンの「友好関係,心と心をつなぐ架け橋」であるとの意味を込めたものです。

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2011年度JICA帰国研修員同窓会年次総会
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JICA帰国研修員同窓会
第1回ニュースレター表紙

日本とカザフスタンの今後のより良い友好関係を願い,JICAもその「架け橋」の一翼として活動を続けてまいります。



「英国の開発への取り組みについて」原稿執筆:在英国日本国大使館 佐藤 盟信 二等書記官

英国は,欧州の西端に位置し,日本の約3分の2の国土,約半分の人口を有する,世界第6位の主要経済国です。 一方,国際開発の分野では,英国は政府開発援助(ODA)に130億5,297万ドルを支出する世界第2位の援助国(2010年支出純額ベース。OECD DAC)です。 「国際開発法」(2002年制定)では,英国の開発援助は,貧困削減への貢献を前提に,持続可能な開発と福利厚生のために行うとあります。

2010年5月に成立した保守党と自由民主党の連立政権は,ミッチェル国際開発大臣のリーダーシップの下,貧困削減の基本方針は維持しつつ,右を超えた(Beyond Aid)政策面での展開を示しています。 例えば,新機軸として,省庁横断的な援助の取り組み(外務省,国防省との連携),新興ドナーとの連携強化,民間部門・成長・貿易の重視(官民連携のための部署の創設,民間出身者の採用),成果が明確な分野への選択・集中(母子保健,教育),脆弱国への支援,透明性の向上(独立の成果監視機関の創設)などを打ち出してきました。

英国の援助の大部分は,国際開発省(DFID)が実施しています。DFIDは,ロンドンとスコットランドに本部を持つほか,各国の海外事務所を通じプロジェクトを実施しています。

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DFID外観

2010年10月,英国政府は,全省庁を対象とした「歳出見直し」(スペンディング・レビュー)を発表しました。 2014年度まで,全体で810億ポンド,平均で実質19%の大幅な歳出削減が決定される中,ODAは,国民医療制度(NHS)とともに唯一の例外として,2014年度までに実質37%増加することが決定されました。

その結果,英国のODA支出は,2010年の84億ポンド(GNI比0.56%)から,2013年までに120億ポンドまで増額し,ODAに国民総支出(GNI)の0.7%を支出するとの国際公約を同年までに達成する見通しです。

英国政府は援助予算を増額する一方で,援助の費用対効果(バリュー・フォー・マネー),説明責任を重視しています。 このため,英国政府は,2011年3月に,国際機関を通じた援助,二国間援助,人道支援の3分野ごとに「援助見直し」(エイド・レビュー)を発表しました。

この結果,英国が資金を拠出する43の国際機関は,貧困削減への効果,英国の政策目的への適合性,改革の進み具合といった基準に従い,「非常に良い」(9機関),「良い」(16機関),「適切」(9機関),「悪い」(9機関)の「成績表」をつけられています。

また,二国間援助については,中国,ロシア,インドネシア,ベトナム,イラクなどの16か国への援助を停止しました。 そして,重点国として,27か国(注)への援助の集中が決定されました。

(注)アフガニスタン,バングラデシュ,ミャンマー,コンゴ民主共和国,エチオピア,ガーナ,インド,ケニア,キルギスタン,リベリア,マラウイ,モザンビーク,ネパール,ナイジェリア,パレスチナ,パキスタン,ルワンダ,シエラレオネ,ソマリア,南アフリカ,スーダン,タジキスタン,タンザニア,ウガンダ,イエメン,ザンビア,ジンバブエ

これら重点国の選定にあたっては,保健(妊産婦死亡率,マラリア死亡率),教育(非就学児童率),脆弱国家(紛争),英国にとっての比較優位などの観点が考慮されています。

人道支援については,国連ボスニア・ヘルツェゴビナ上級代表を務めたアシュダウン卿が主導した独立報告書に基づき,取り組みの強化が進められています。

英国は,BRICS諸国などのいわゆる新興ドナー国の出現による国際状況の変化にも敏感に対応しています。 例えば,2011年にはDFID本部内に新興ドナー国との協力強化を目的とした,「グローバル・パートナーシップ部」を新設しました。 同時に,中国,ロシアなどの「援助卒業国」においても,二国間援助の終了後も外国事務所は残し,連携・対話を継続しています。

英国はまた,慈善活動(チャリティー)の伝統を有し,国民レベルで途上国支援に熱心なことで知られています。 ハイチ,パキスタンの災害時には,「災害緊急委員会」(DEC)と呼ばれる募金統括団体を通じ,多額の義援金が集まりました。 昨年の東日本大震災に際しては,英国赤十字社を通じ1億3,500万ポンドを超える義援金が寄せられています。 また,震災発生直後には,英国国内の消防隊から構成される緊急援助隊が大船渡市及び釜石市に派遣されました。

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緊急救助隊の被災地救援

また,英国には,オックスファム,セーブ・ザ・チルドレン等の国際的に有名なNGOが本拠地を置いています。 英政府は市民社会を通じた援助を重視しており,DFIDの二国間援助の19%はNGOを通じて実施されています(2010年)。

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セーブ・ザ・チルドレンの被災地の子供への支援

英国ではメディア・文化を通じた援助に関する啓蒙活動も盛んです。 例えば,「ミスター・ビーン」や「ノッテングヒルの恋人」などの脚本で知られるコメディ作家のリチャード・カーティスは,2005年に,ボブ・ゲルドフなどともに,「ライブ8」という世界的なチャリティー音楽イベントを開催しました。 最近でも,東日本大震災に際し,ポール・スミス,ポール・マッカートニー,ローリングストーンズ,といった英国出身のいわゆる「セレブ」が,日本への支援メッセージを出したことが大きく報道されています。

このように英国は,政府,市民社会,国民それぞれで多様かつ裾野の広い開発支援,啓蒙活動を行っています。 しかしながら,欧州をはじめとする世界的な景気後退の中,英国国内でも援助のあり方に関する議論が行われており,例えば,高成長を続けるインドに対する援助の継続は,議会や主要メディアで様々な議論を呼びました。

昨年12月に行われたミッチェル英国国際開発大臣の玄葉外務大臣への表敬では,玄葉大臣より,我が国が第5回アフリカ開発会議(TICAD V)を開催し,英国がG8議長国となる2013年における日英の連携が提案されました。 今後,新興ドナーの台頭に代表される国際開発を巡る大きな変化の中で,主要ドナーである日英の協力強化の重要性がますます高まってくると考えられます。

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玄葉大臣とミッチェル英国国際開発大臣の会談



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