広報・資料 ODAメールマガジン

ODAメールマガジン/2012年3月22日発行 第225号

ODAメールマガジン第225号は,エチオピア連邦民主共和国からの,「エチオピアの干ばつ被害に対する支援の全体像」と,「アフリカの角の干ばつ」をお届けします。


エチオピア連邦民主共和国

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「エチオピアの干ばつ被害に対する支援の全体像」原稿執筆:在エチオピア日本国大使館 横田 暁子 二等書記官

皆さんのエチオピアに対するイメージはどんなものでしょうか。 以前は,エチオピアを含めアフリカと言えば,「貧困,紛争,飢餓,難民」という印象が強かったと思います。 しかし,近年のアフリカの国々は資源の輸出を中心に目覚ましい成長を続けており,エチオピアも8年連続で2桁の経済成長を遂げています。 とはいいましても,同国の人間開発指数は全世界169か国中157位,人口の30%が食糧不安による貧困に苦しみ,また人口の40%強が栄養不足にあるとされている国です。

エチオピアが位置するアフリカ東部の「アフリカの角」地域では,これまでも干ばつが頻繁に発生し,多くの人々が被害を受けてきました。 特に2011年は,国連の発表によると過去60年間で最も深刻な干ばつがこの地域を襲い,約1,240万人以上が支援を必要とする状況に陥りました。

中でもエチオピアについては,これまでの紛争に加え,干ばつの影響により隣国ソマリアから毎日2,000人以上の難民が流入してきただけでなく,雨水農業に依存する不安定な生産性に加え,2010年と比べ国内の穀物価格が71%上昇し,食糧全体のインフレ率も45%に達していた国内の経済事情も併せれば,難民を含めた干ばつの影響を受ける多くの人々の栄養不良問題は深刻化していました。 もちろん食糧だけでなく,難民に対する社会サービスや医療施設といった行政サービスの提供も追いつかず,全ての面で緊急の支援を必要としていました。

エチオピア政府は過去の教訓から主要ドナーと共に早期警戒システムを設け,毎年1~2月に上半期及び年間の緊急援助必要者予測数を公表することで国際機関やドナー国に早期対応(支援)を呼びかけてきていました。 しかし,国連は2011年中の改善見通しはないとし,エチオピアを含む「アフリカの角」地域に対する24億ドル相当の支援が必要との緊急アピールを出しました。

このような未曾有の危機的状況を受け,日本は,国際社会の一員として,また,第4回アフリカ開発会議 (TICAD IV)で日本が表明した,人間の安全保障の実現に向けての取り組みを示す意味で,エチオピア政府への直接支援と併せ,迅速性と効率性の観点から国際機関経由の支援も実施しています。 その支援内容は,(1)WFPを通じた食糧の配給,(2)UNHCRを通じた難民に対する保健,水,衛生(石けん,衛生用品,毛布,調理用品等)の提供・シェルター建設,(3)国際赤十字との協力で食糧の配給,伝染病防止及び栄養失調対策・水の配給・井戸の掘削,そして(4)UNDPを通じた水供給施設の改築・干ばつ被害にあった農業従事者に対する技術支援と種子配布・家畜支援など,実に多岐にわたっています。

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WFPを通じた食糧配給の様子

各国際機関のエチオピア事務所では,10名弱の邦人職員が活躍しています。彼らから現場の状況を聞きながら,今後も,食糧援助と並行しきめ細かくも幅広い分野での協力を展開し,干ばつの被害によって危機的な状況にあるエチオピアの人々や難民の人達を支援していきます。



「アフリカの角の干ばつ」原稿執筆:JICAエチオピア事務所 梨本 篤司 企画調査員

「ここに赴任して2年経つが,雨が降ったのは今日がはじめて」。 2012年9月,エチオピアのソマリ州ゴデに訪問したJICA調査団に,UNICEFのDirectorは感慨深げに漏らした。 彼女の出身ウガンダでは,雨期,滝のように雨が降る。 しかし,ここではすべてが乾いている。 エチオピアのソマリ州はソマリアとの国境にある州で,州都ジジガの標高は1600メートル,ゴデは標高約300メートル,人口約440万人(2007年),民族的にはソマリアとの類似性が高い。

近年,エチオピアの降水量の変動は激しく,農業,牧畜で生計を立てている住民のほとんどは,気候の変化に大きな影響を受けている。 昨年のアフリカの角の干ばつと呼ばれる被災は,アフリカの角地域全体で大よそ1,330万人が現在も緊急人道支援が必要な状況。 内,干ばつ等の影響で,70万人以上のソマリア難民が隣国のエチオピア,ケニア,ジブチに避難している。 エチオピア国内で人道支援が必要な人の数は,おおそよ480万人(UNOCHA 2011年12月)で,国内にいるソマリア難民は18万人(UNHCR 2012年2月)。

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ドロアド難民キャンプで登録を待つ人達
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難民キャンプを走る給水車
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遊牧民の家
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衛生的な水の確保は難しい

「2008年の干ばつで家畜の半数を失い,昨年の干ばつで何もなくなった。」オロミア州バレ県で会った元遊牧民の声。 「今は食糧援助がすべて。援助パッケージに砂糖と油の量を増やしてもらえないか。」

遊牧民にとって「Live Stock」は単なる「家畜」ではない。それは「生きた財産」で,彼らのすべてだ。 Live Stockの数を維持し増やすため,水と草を求めて移動する。 十分な水が確保できず定住が困難なこの地では,遊牧が最も環境に適した生活形態といえる。 マーケットで売ると,ラクダ一頭約8万円,牛一頭約4万円。この資産が草を食み水を飲むことで増える。

遊牧の形態は様々だが,今回の調査で話をした遊牧民は,エチオピアの国境を越え,ケニアやソマリアへも水場と牧草を求めて,生きぬくために移動していた。 彼らは経験的に水場を知っているが,近年の気候変動で水の量が変化していることが多い。 なので,まず若手を斥候として派遣し,水量の確認と他の遊牧民との衝突可能性を探る。 先発隊の若手は携帯電話で本隊に結果を知らせ,遊牧ルートが決定する。

他方,単身赴任型の遊牧民もおり,子供の教育や保健衛生の関係で家族を地元に残し,男性のみ遊牧に出かける。 戻ってくるのは地元で水が確保できる1年後。

「何頭の牛を失ったか聞くのはご法度です。」現地語の通訳が耳打ちしてくれた。 調査とはいえ,よそ者がやってきて,いきなりその人の資産額を聞くのは失礼だとのこと。 遊牧民への対応は文化的な理解がまず必要だ。

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ゴデの遊牧民(家財道具一式を持って)
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池から家に水を運ぶロバ
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家畜の骨
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痩せたラクダ

「また牛とヤギを買い戻したい。」資産を失った遊牧民にこれからどうするのか聞いたとき,この答えが返ってきた。 しかしながら遊牧,この伝統的に乾燥地に適していた生計手段は,徐々に環境に合わなくなってきている。 毎年気候が大きく変動し降雨量の予測がつかない環境下では,増えた家畜を生かすだけの牧草が確保できない。 土地が疲弊し,伝統的な遊牧が許容できない状態。牧草地が自力で回復できなくなってきているのだ。

政府やドナーは干ばつの被災者である遊牧民に多様な支援を実施している。 家畜を失った遊牧民への代替生計手段の紹介,一頭あたりの価値が高い家畜の生産管理手法の移転,頭数管理のための家畜買取,マーケットの整備,改良された牧草種子の導入,耐寒性の高い牛への品種改良,獣医師の養成,遊牧民と共に歩くモバイル学校・保健所の設立……

JICAが取り組む干ばつ支援のキーワードはResilience。 回復力,対応能力という意味。生命維持としての緊急支援だけではなく,開発ポテンシャルの高いところへの経済開発でもない。 弱体化した基盤を発展に向けて強化し,伝統的な遊牧形態を今の環境にあわせて少しでも改善することを目指した取り組み。具体的には以下のとおり。

エチオピアでの協力内容
拡大版はこちら

干ばつ対応のオペレーションは困難を極める。特に今回の支援地域のひとつであるソマリ州のゴデには,舗装された道路はなく,電話が通じず,衛生的な水の確保が困難で,予約できる宿泊場所もない。 ソマリアとの国境を接しているソマリ州は治安にも不安が残り,支援する側にも非常な苦労を伴う。

エチオピアはアフリカ最大の家畜数を誇る国。 本協力は,干ばつの被災者を救うとの視点だけでなく,アフリカと周辺国に向けた食肉供給を促進し,国の経済の牽引役への支援としても重要な取り組みだと考える。

エチオピアの飢餓をきっかけにアメリカのミュージシャンが集まりWe are the Worldを歌ったのは,27年前。 歌が遠い記憶となった今も,気候の変化はこの国の弱者にダメージを与え続けている。 東北大震災の支援で海外から集まった義捐金は約570億円。 今回のアフリカの角の干ばつでエチオピアに世界各国から集まった募金は660億円。 日本にとってエチオピアは依然,遠くて遠い国。 でも家族や財産を失う痛みはどこでも同じ。 今回の干ばつ対応が日本とエチオピアをつなげる取り組みになることを祈って。




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