広報・資料 ODAメールマガジン

ODAメールマガジン/2010年11月24日発行 第196号

 ODAメールマガジン第196号は,キルギス共和国からの「国難を乗り越えて-キルギス」「キルギスの道路技術能力の向上を目指して」とセネガル共和国からの「西アフリカの中心国,セネガル」「青年海外協力隊派遣30周年記念式典」をお届けします。

キルギス共和国とセネガル共和国

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「困難を乗り越えて-キルギス」原稿執筆:在キルギス共和国日本国大使館 堀口 剛輔 二等書記官

1. キルギスの概要

 キルギスは,ユーラシア大陸の内奥に位置し,中国,カザフスタン,タジキスタン,ウズベキスタンと国境を接しています。

 キルギスは,美しい自然に恵まれた国です。日本の半分ほどの国土に4000メートルを超える山脈が連なっています。人口100万人を超える首都ビシュケクからも真夏でも雪を被った4000メートル級の山脈を眺めることができます。

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キルギスの夏
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キルギスの秋
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ビシュケク市内の様子
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ビシュケクの冬

 キルギス人は,背格好も日本人に似ており,同じアジアの国である日本に親近感を持っています。キルギスでは,日本人とキルギス人の祖先は共通であり,魚を好む祖先は海へ向かい日本人となり,肉を好む祖先はキルギスの地に残りキルギス人となったという話をよく耳にします。

2. 2010年の出来事

 2010年は,キルギスにとって困難な年となりました。4月,公共料金等の値上げ,大統領の親族支配及び生活の困窮に対する国民の不満から首都及び地方各地で反政府集会が発生し,群衆と野党勢力の勢いにより,バキーエフ政権は事実上崩壊しました。続く6月にはキルギス南部において民族衝突が発生し,200名以上が犠牲となり(数千名が犠牲になったとも言われています),2,000棟を越える住宅・公共施設等が破壊され,約7.5万人の難民,約30万人の国内避難民が発生しました。

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4月政変時のビシュケク市内の様子
(4月7日執筆者撮影)
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4月政変時に活躍した我が国が供与した
救急車(4月7日執筆者撮影)

 このような困難の中,国際社会はキルギスの民主化及び復興に向け支援すべく,7月には,ドナー国及び国際機関の参加を得て,キルギス・ハイレベル・ドナー会合が開催されました。

3. 我が国の対キルギス支援

 キルギスが一刻も早く困難を乗り越え,復興できるよう,我が国は,他のドナーとも連携し,キルギスを支援しています。我が国は,6月,医療環境改善のためにビシュケク市内の4つの病院に対して草の根・人間の安全保障無償資金協力による総額約38万米ドルの支援の他,総額約50万米ドルの緊急無償資金協力を決定しました。また,9月には,国連難民高等弁務官事務所と連携し,南部民族衝突により住宅を失った住民のための仮設住宅建設のために総額約700万米ドルの支援を決定しました。更に10月の議会選挙に際しては,欧州安全保障協力機構等と協力し,選挙に参加する政党党首によるTV討論番組制作のための支援を行いました。

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キルギス共和国に対する紛争予防・平和構築無償資金協力「キルギス南部における避難民及び帰還民コミュニティの帰還・再統合プログラム(UNHCR連携)」
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平成22年度「キルギス国立病院における医療環境改善計画」において供与した超音波診断装置
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平成22年度「国立外科センターにおける医療環境改善計画」において供与した心電計


「キルギスの道路技術能力の向上を目指して」原稿執筆:キルギス共和国運輸通信省 JICA道路行政アドバイザー 木全 俊雄 専門家

 中国と南西アジアを結ぶ交通の要路にあるキルギスにとって,道路は国内の経済・産業の発展のみならず国際物流輸送の観点からもきわめて重要な存在です。しかし,国土の大部分が山岳地帯という地形的ハンディキャップ,さらには独立後の厳しい経済事情もあって,道路整備はおろか,十分な管理ができないため,道路の状態が年々悪化しているという状況に至っていました。最近では,日本をはじめ国際社会の支援によって国際道路の改修が始められておりますが,ここで一番大切なのはこれら整備された道路をいかに良好な状態に保つかという技術です。これまで道路維持管理に旧ソ連時代から使われてきた道路台帳や設計基準などをキルギスの実情にあわせて更新することや技術者自らの能力向上が求められていました。

 日本政府は,キルギス政府のこうした要請に応えて,2008年から「道路行政アドバイザー」と「道路維持管理能力向上プロジェクト」という2つの技術協力を同時に開始しています。

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平成20年度対キルギス一般無償「チュイ州中小橋梁架け替え計画」(アラメジン橋)の完成現場
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アラメジン橋 開通式テープカット
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開通記念式典 橋名板序幕

 まず,首都ビシュケクの南230キロメートルに位置するコチ・コルで,アスファルト舗装補修のパイロットプロジェクトをスタートしました。舗装破損の激しい場所を選んで,日本が無償供与したスタビライザーやモーターグレーダーを使って,傷んだ舗装路盤にセメントを混ぜて改良する「セメント安定処理工法」をはじめ,各種補修工法の実地訓練を実施しました。

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現場の技術者,ワーカーたち

 また,道路行政アドバイザーおよびプロジェクト専門家により,上下車線に分けて効率よく工事を進めるノウハウ,材料試験技術,改修工事のセメント配合設計などの技術指導も行いました。今では,中程度までの舗装破損は全面工事をしなくても補修できるようになりました。この施工の様子を撮影した映像は,その後,キルギス各地の道路管理に活用されています。また,このような施工技術だけなく管理技術として道路の舗装状態を簡易にモニタリングできる技術(VIMS)も導入しています。

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VIMS(Vehicle Intelligent Monitoring System)の学習風景

 また,今年からは,シニアボランティアとの協働によりキルギスの実情により合ったコンクリート舗装(転圧コンクリート舗装)の技術を導入するためのパイロットプロジェクトをスタートしました。この技術は通常のコンクリート舗装と違い,アスファルト舗装用の機械で施工できるのでアスファルト舗装に慣れたキルギスの技術者でも受け入れやすいことと,水分が少なく乾燥収縮の影響を受けにくいので寒暖の差が激しいキルギスでも適用が可能という優れモノです。いったん作ってしまえば,アスファルトと違い20年から30年は維持管理が不要なので維持管理コストを大幅に削減できます。 

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転圧コンクリート舗装(RCCP)のパイロットプロジェクト現場の様子

 キルギスでは,独立時に技術の継承がうまくいかなったことに加え,豊富な経験をもつ技術者が退職期を迎え,若い世代への技術の継承とキルギスの実情に適合した技術基盤の確立が課題です。大臣も日本の協力に大きな期待を寄せています。若い技術者が成功経験を積んで活躍の場を広げられるよう一層力を注いでいきます。

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オトゥンバエヴァ大統領現場視察


「西アフリカの中心国,セネガル」原稿執筆:在セネガル日本国大使館 金野 裕子 経済協力調整員

 セネガルは西アフリカに位置し,日本の半分程度の国土に東京の人口程度の1,253万人(世銀2009年)が暮らしています。セネガルという国に聞き覚えがなくても,パリ・ダカール・ラリーは聞いたことがあるのではないでしょうか。2009年に南米にコースが変更になるまでの約30年間,このラリーのゴールとなっていたダカールはセネガルの首都です。アフリカでは内政が不安定になりがちですが,セネガルは,1960年の独立以来,一度もクーデターを経験したことがなく,内政上高い安定を維持し,民主主義が定着しています。

 セネガルは鉱物・エネルギー資源にはあまり恵まれてはいません。しかし,安定した内政,アフリカでも存在感のある大統領,沿岸国であるという立地条件等により,西アフリカ,特にフランス語圏アフリカの玄関口,政治・経済的中心国となっています。経済活動としては,労働人口の約4分の3が第1次産業に従事しており,主要産品は落花生,綿花,豆類ですが,天候の影響を受けやすく,産出量は安定しているとは言えません。セネガルの主食は日本同様お米なのですが,未だ輸入米,援助米に頼っているのが現状です。沿岸国ということで,漁業も盛んで,新鮮な魚介類が市場に並びます。セネガル人がお米と魚を愛するところは日本人と共通するところがあります。

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セネガル人の足となっているミニバスのカーラピッド

 奴隷貿易の拠点となったゴレ島を含めセネガルには5つの世界遺産があり,歴史的にも自然的にも豊かな国です。またセネガルは文化的にも豊かで,ジャンベという西アフリカの伝統的な太鼓の演奏やその音楽に合わせた踊り等があり,日本のテレビCMで楽曲が使用されたことがあるユッスン・ドゥール等世界で活躍するミュージシャンも輩出しています。

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奴隷貿易の拠点となったゴレ島は今もコロニアル調の雰囲気が残る

 西アフリカの中心国として発展してきているセネガルの更なる経済・社会開発を支援すべく,セネガル独立以降,日本は,農業・水産,教育,保健,水,環境といった様々な分野で経済協力を実施しています。



「青年海外協力隊派遣30周年記念式典」原稿執筆:JICAセネガル事務所 内島 光孝 次長

 去る10月27日にセネガル国の首都ダカールにおいて,青年海外協力隊(JOCV)のセネガル派遣開始30周年を記念する式典が開催され,日本側からは深田特命全権大使をはじめとする多くの関係者,また,セネガル側からも地方分権・自治体大臣をはじめ協力隊員が活動する遠隔地からこの日のために上京した関係者の他,UNDP代表などの援助関係者を併せ,多くの参加者を得ての盛大な式となりました。

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開会式の様子(隊員が現地語でスピーチ)

 1980年の10月にこの地に降り立った3名(野菜,水産物加工,看護師)がセネガルにおける初代派遣隊員で,それからの30年間に800名を超える協力隊員が派遣され,首都や地方部・遠隔地での協力活動を行ってきました。セネガル政府関係者の協力も得て10月の式典開催に漕ぎ着け,恐らく30年前と同じであろう乾季の晴天の下での式典となりました。

 式典を盛り上げたのはやはり現地語を駆使して様々な発表を行った隊員たちの活躍でした。会場には前夜遅くまで準備した多くの展示ブースが並び,隊員たちが実際に普及している改良かまどや肥料生産機や野菜の苗(試食付き)や養殖魚が並びました。

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隊員による地方分権・自治体大臣への活動説明

 また,過去数代の隊員たちが力を合わせて編纂し最近になって教育省の全面協力により国家検定を合格した初等教育用の情操教育指導要領(図工・体育・音楽)については展示の他に隊員代表による模擬授業も行われ,全国の小学校の教室でセネガルの子供たちが隊員たちと行っている授業(セネガルではまだ珍しい情操教育の授業)を各出席者が体験するという一幕もありました。子供の役になって「幸せなら手を叩こう」を歌いながら実際に手を叩いたり足を踏み鳴らしたりした参加者からは,他の様々な活動報告と同様,隊員の活動が良く分かる発表として好評を博しました。

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「幸せなら手を叩こう」を歌いながら行った隊員代表による音楽の模擬授業


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